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2014.05.27

AKBの刃傷騒ぎが拡大したのでさすがに書いてみる

 当たり前のことなんですが、握手会に関する部分はデリケートな部分を含むし、多くのファンが楽しみにしていることは理解でき、かついわゆる「AKB商法」の根幹である会いにいけるアイドルという目線を維持することが人気を保つ秘訣である、ということで、単なる芸事の騒ぎとは違った現象が起きております。

 そんな中で、警視庁万世橋署が「対策が打てるようになるまでAKSに握手会等の自粛を」という要望を出しております。今朝出演した『とくダネ!』でもなぜかトップニュースで伝えられ、大変話題になっているようです。

AKBは触れ合いイベント自粛を…警視庁要請
http://www.yomiuri.co.jp/national/20140526-OYT1T50198.html
AKB運営者に安全対策求める=警備強化まで握手会自粛も-警視庁
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2014052600818

 ちょっとデリケートな話なのはこの辺なんですが。

[引用] 同署幹部によると、いずれも法律に基づくものではなく、強制力もないが、安全策が固まるまでイベントの自粛を要請。

 番組でも喋りましたが、かつては美空ひばりに薬品がかけられたり、松田聖子がコンサート中に壇上で金属バットで殴られるという騒ぎもあって、いわゆる芸事と騒動の関係で言うと昔から普遍的にあったことで、AKBだからNGだ、という文脈とは異なる部分があります。いつの時代にも一定のキチガイがおり、芸能というのはそういうキチガイをその気にさせて金を召し上げるという側面もないわけではないので、本気になったキチガイや騙されたと感じたキチガイがタレントに危害を加えることなど容易に起きることなのでしょう。

 ただし、その芸事今昔のお話と安全対策を怠って結果として流血沙汰を起こした事態とは別です。凶行を100%は防げないからといって、何の対策もせず武器をスルーさせるイベント開催は好ましくないのは言うまでもありません。それまでも、婚姻届を手渡したり、手に精液を塗りたくる等の排除可能なレベルのキチガイは量産されていたと思いますけれども、刃物を振り回す系のキチガイは想定できなかった、というのは実に微妙な話です。

 そこに「AKB商法」が乗っかるわけですが、行き過ぎているとされるのは単純で、そもそも大人が相応の資金を提供して未成年者に接触させるという行為は、風俗的にどこまで許されるのかということでしょう。話の前提として、このファン側に回っている大人の99%以上はまともであり、凶行など考えず純粋に応援しているとは思います。ポップカルチャーとしてまだ受容できているのは、日本のファンの「民度の高さ」にもよるところがあります。

 そういうファンに支えられて大きくなってすばらしいコンテンツとなったAKBが、その営業の手法を地下アイドルの延長線上に置き続けて、一種のエコシステムを形成できていたのは奇跡といっていいと思います。ただ、いくら民度の高いファンが集っていたとしても、確率的にわずかでも存在した以上、こんにちのような刃傷沙汰はいずれ起きることだったのは間違いありません。

 なので、そういうキチガイが犯罪を誘発しないように、模倣犯を出さないためにも活動の一部自粛を警視庁が求めるのは当然の話であって、いかに運営会社のAKSが当局の意向を斟酌するか、またファンがうまく許容するか、といったあたりが不幸中の幸い的な着地をできるか否かの分かれ道ではないかと思います。

 別にAKBに限らず、宝塚だろうが大相撲だろうがプロ野球だろうが、好きな人は好きでいいんですよ。ヲタ向けビジネスも、世間を無駄に騒がせて不安にさせるような事件を起こさなければ、大概においては許容されます。ただし、それこそ秋葉原通り魔事件のような犯行が、多くの人の便益になっていた歩行者天国をそれなりに長い期間中止に追い込んだように、AKBに何の興味もない人たちの嫌悪感や不安感を引き立てるような社会の中の対立にならないよう願うばかりです。

 今後、ファンとの交流は他の客がおらず人目につかないmixiのコミュニティやセカンドライフに限定するなど、抜本的な対策を採っていただきたく、関係者一同の穏便な解決と模倣犯発生の防止を求める次第であります。

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    やまもといちろう

    ブロガー・投資家・イレギュラーズアンドパートナーズ代表取締役。
    著書に「ネットビジネスの終わり (Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など多数。

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