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自主避難に初の賠償仮払い命令  京都地裁、東電に

 福島第1原発事故で福島県内から京都市内へ自主避難し、東京電力に損害賠償を求めて京都地裁へ提訴した40代男性が賠償金の仮払いを申し立てた仮処分の決定で、京都地裁(佐藤明裁判長)が東電に月額40万円の支払いを命じたことが25日、分かった。決定は20日付。東電によると、原発事故賠償で裁判所が避難者への仮払いを命じる仮処分決定を出すのは全国初。

 男性の代理人の井戸謙一弁護士は「長い裁判を見据えると、生活維持のために不満でも低い賠償額をのまざるを得ない避難者は多いはず。こうした決定があれば、納得のいく解決を裁判で探れる」と評価した。

 決定では「男性の休業損害は事故と因果関係がある」と認定した。東電は、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会の指針で損害項目に就労不能損害が挙がっておらず「因果関係なし」と主張したが、佐藤裁判長は同指針の「個別具体的な事情に応じて因果関係を認め得る」との基本姿勢に触れ、「自主避難の損害と事故の因果関係は事案ごとに判断すべき」と指摘した。

 その上で、避難前は会社経営していた男性にとって少なくとも約1200万円の休業損害が「原子力損害」に当たると算出した。事故が原因で精神疾患になったとする男性の主張を認め、男性と子育て中の30代の妻は無職無収入で就労が難しいことから今年5月から1年間、月額40万円を支払う必要性を認めた。

 申立書などによると、男性は妻と幼児ら3人の5人家族で福島県の避難指示区域外から避難し、昨年5月に約1億3千万円の損害賠償を求め提訴。同12月、「仮払いがないと生活を維持できない」として仮処分を申し立てた。東電は答弁書で「自主避難者への公平な基準で賠償済み」などとして却下を求めていた。

 井戸弁護士によると、男性の妻は「ほっとしている。ただ、1年先からの生活には不安が残る」と話したという。東京電力は「個別事案の対応に関する詳細は回答を差し控える。決定内容を精査し、真摯(しんし)に対応する」とコメントした。

【 2014年05月26日 08時26分 】

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