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在日米軍・防衛

砂川判決、政府は「誤読」 当時の弁護団らが批判

 政府、自民党が集団的自衛権行使容認の論拠として援用している「砂川事件」をめぐり、同事件を考える市民団体らが25日、川崎市内で「集団的自衛権と日本の進むべき道」と題したシンポジウムを開いた。当時の弁護団関係者らが講演し、「明確な誤読であり、こじつけだ」と批判した。

 1959年に最高裁判決が出された同事件の被告7人には、川崎の労働組合関係者3人も含まれる。米公文書を通じ、当時の最高裁長官が米国側に裁判日程や見通しを伝えていたことを明らかにした山梨学院大の布川玲子・元教授=川崎市川崎区在住=らが「砂川闘争を継(つな)ぐ川崎の会」を結成し、シンポを企画。市民ら約60人が参加した。

 当時、上告審の弁護団事務局長だった内藤功・元参院議員が講演し、「政権は自らの主張を権威づけるために、判決の片言隻句を利用した」と指摘。「最高裁判決は個別的自衛権の判断さえ回避しているのに、そこから『他衛』を読み取ることなどできるはずがない」として、誤読であることを強調した。

 また、山梨学院大の椎名慎太郎名誉教授(行政法)は、集団的自衛権を行使すれば相手の反撃もあり得るとして、「米軍基地のある沖縄や原発が狙われる可能性がある。今後引き起こす重大な結果を考えていない」と非難した。

 鳴門教育大の麻生多聞准教授(憲法学)は、歴代政府の統一見解を変えようとする安倍政権を「暴走」と断じた上で、「集会やデモで反対するだけでなく、米国のように政治の中枢に直接働き掛ける『インサイド戦術』が効果的だ」と、今後の平和運動の在り方にも言及した。

 砂川事件の弁護団は6月にも、7人が罰金刑を受けた61年3月の東京地裁判決の免訴を求め、同地裁に再審請求を行う見通しだ。

 ◆砂川事件 1957年7月、東京都砂川町(現立川市)の米軍基地に立ち入ったデモ参加者7人が、刑事特別法違反罪で起訴された事件。東京地裁は59年3月、日米安全保障条約に基づく駐留米軍を憲法9条が禁じた「戦力」に当たるとして無罪を言い渡した。最高裁は同12月、安保条約や駐留米軍を「司法審査権の範囲外」として、一審判決を破棄し、差し戻した。後に有罪が確定した。

【神奈川新聞】