岸田文雄外相は19日、日本と北朝鮮の外務省局長級の政府間協議を26~28日にスウェーデンのストックホルムで開くと発表した。両政府の公式協議は3月末に北京で開いて以来2カ月ぶり。日本側は北朝鮮による日本人拉致問題を議題にし、被害者の再調査などで合意を目指す。
岸田氏は19日、記者団に「しっかり意思疎通を図り、北朝鮮から前向きな対応を引き出したい」と強調した。協議には日本から伊原純一外務省アジア大洋州局長、北朝鮮から宋日昊(ソン・イルホ)朝日国交正常化交渉担当大使が出席する。
日朝間の政府間協議はモンゴルや中国などアジアでの開催が続いており、外務省によると、ストックホルムでの開催は初めて。スウェーデンは日本と北朝鮮の双方と外交関係があり、前回協議後、北朝鮮側がストックホルムを指定してきたという。
北朝鮮は前回協議で日本による経済制裁の緩和を要求。在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部の売却を許可した東京地裁の決定を巡り、「日朝関係に大きな影響を与える」と問題視していた。日本は北朝鮮の核・ミサイル開発に強い懸念を表明。北朝鮮に残された日本人遺骨の帰還、北朝鮮にいる日航機「よど号」乗っ取り犯の引き渡しなども取り上げた。
その後の非公式協議などを通じ、北朝鮮側が拉致の可能性のある特定失踪者を含む再調査に応じる場合、日本側が北朝鮮への制裁措置の緩和を検討することなどを巡り、水面下で調整を続けた。
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