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糖尿病治療の中断防げ 医師の取り組みは
5月24日 16時53分

糖尿病治療の中断防げ 医師の取り組みは
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糖尿病の患者が治療を中断し、重症化するケースが多いことから、厚生労働省の研究班は、夜間や週末に診察したり、価格の安い後発医薬品の処方を検討したりするなどとした医師向けの対策マニュアルをまとめました。

厚生労働省の推計によりますと、糖尿病の患者は950万人で、その可能性がある予備群の人も合わせると2000万人を超えています。
症状が重くなると失明したり、腎不全になったりするなど深刻な症状を引き起こしますが、国の調査では治療を中断している患者が55万人に上ると推計されています。このため厚生労働省の研究班は治療の中断を防ごうと、医師向けのマニュアルをまとめました。
この中では、治療中断の理由として、痛みがないため治療の必要を感じないほか、治療しようとしても仕事などが忙しく通院が難しいケースや、治療費の負担が重いと感じるケースが多いと分析しています。
そのうえで、対策として夜間や休日に診察するなど受診時間の融通を図るほか、後発医薬品など価格の安い薬を積極的に処方するよう求めています。
また、予約した日に受診しなかった患者に対しては、電話や手紙などで連絡するよう呼びかけています。
マニュアルをまとめた国立国際医療研究センターの野田光彦部長は「医療機関はこれまで患者の受診行動に受け身な姿勢だったが、患者が治療を中断することを念頭に置いて、対応を取ることが重要だ」と話しています。

負担が大きく治療中断し症状悪化

京都市左京区に住む高島良明(42)さんは、20歳のときに糖尿病と診断されましたが、治療を中断した結果、症状が悪化し人工透析を受けています。
高島さんは、診断直後、薬による治療を続けていましたが、運送の仕事が忙しく通院時間を確保できなかったといいます。
また、1か月に2万円近い治療費も負担だったため、医師から求められた月1回の受診を徐々にしなくなりました。
その結果、30代になって目と腎臓の機能が徐々に悪化し、去年3月から人工透析が必要となりました。
週に3回、1日4時間の透析治療を受けているため、仕事は辞めざるをえなくなり、現在は生活保護を受給しながら暮らしています。高島さんは「まずいなと思いながら痛みもなく日々の生活に困らないので、ついつい治療を後回しにしていました。仕事や経済面もきつかったが、それでも今から思えば1か月に1度のことなので治療に行っておけばよかったと思っています」と話しています。

医療者側から働きかける必要

茨城県つくば市にある糖尿病専門の診療所では、患者の治療中断を防ごうと、いち早く対策を始めています。
初診のときにパンフレットで治療継続の重要性を説明したうえで、予約の日に受診せず、3か月以上来院しない患者には、スタッフが電話をして受診の再開を促しています。
また、受診の間隔を開けたり、土曜日に受診したりするよう助言しています。
こうした取り組みの結果、治療を中断した人の6割に当たる人が再開したということです。
診療所の川井紘一医師は「患者には仕事など生活のいちばんの関心事があって治療を中断しているので、それを防ぐには医療者側から『心配してますよ』という姿勢で働きかける必要がある」と話しています。

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