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福島沿岸でパート求人難 女性が減少、営業時間短縮の店も

 福島県沿岸部でパート従業員の求人難が続いている。福島第1原発事故に伴う域外避難で女性の人数自体が減っているほか、東京電力から賠償金が出ていることに伴う就業意欲の低下も要因として指摘されている。人手不足で営業時間短縮に追い込まれる小売業が相次いでおり、地域経済への悪影響が懸念されている。(野内貴史)

 福島県広野町の和食料理店「みかさ」は現在、営業を平日のランチ時間に限っている。パートが集まらず、休日、夜間は配膳係の人の手当てができないためだ。
 店主の坂本賢一さん(58)は1年ほど前、公共職業安定所を通し求人を募った。時給は1000円。原発事故前より200〜300円高く設定したが、60代の女性1人しか応募がなかった。今も採用には至っていない。
 坂本さんは「広野の線量は比較的低いのに原発まで二十数キロというイメージが悪い」とぼやく。
 いわき市を除く県沿岸部(相双地域)の有効求人倍率の推移はグラフの通り。東日本大震災からの復興に合わせて上向き、2012年末から高止まりの状態が続く。
 ことし3月現在のパートの職種別倍率は、接客・給仕7.25、商品販売5.93など。母子避難などで20〜50歳代の女性求職者が減り、求人倍率を押し上げる結果になっている。相双公共職業安定所(南相馬市)の担当者は「建設作業員などと異なり、女性が遠隔地からパートの職場に通うとは考えにくい。人手不足で営業時間を短縮するスーパーなどが目立っている」と話す。
 いわき市内も傾向は変わらない。労働力確保に向けて民間事業所が時給を引き上げているため、待遇で劣る市の臨時職員採用への応募も減っているという。
 同市に事務所を置く人材派遣会社の担当者は「東電からの就労補償、精神的賠償で就業意欲が薄れている可能性もある。まだ収束しない原発近くで働くことへの抵抗感も根強い」と指摘している。


2014年05月23日金曜日

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