フルーツ訪問販売・果物押し売り商法の仕組み2012年12月16日 社会・時事

フルーツ訪問販売・果物押し売り商法の仕組み
フルーツ訪問販売・果物押し売り商法の仕組み
フルーツ訪問販売・果物押し売り商法の仕組み
フルーツ訪問販売・果物押し売り商法の仕組み・組織図→

日本語教師として勤めている日本語学校に何度も果物の押し売り・訪問販売がやってくる。もう何度目か数えられないくらいだ。
ヅケヅケと部外者立ち入り禁止の学校敷地内に入ってきては、挙句の果てに、生徒(留学生)を相手にも商売を始めだす有様。

そもそもだが、 食べ物は体の中に入れる大切なものであり、突然、どこからともなくやってきた人物から、例えタダでいただいたとしても、そんなもの口には入れない。ましてや、訪問販売で一日中、どこで出入りしてきたのかわからない果物である。これを買う人は相当、自身のリスクコントロールができない人だろう。

調べたら日本各地でいろいろと問題になっているようなので、どうやらこの訪問販売会社はダイナミックにフルーツを販売することをモットーにしているらしい。

このフルーツ販売会社の仕組みをまとめてみた。

なぜフルーツなのか?
なぜ数ある商品のうちで果物を訪問販売するのか。理由は簡単、フルーツは生鮮食品につき、その日の市場で売れ残ったもの(傷物や人気がないもの)は、その日のうちに処分しないといけないので、タダ同然で仕入れられるため。「安く仕入れ、高く売る」これが商売の大鉄則。
(このマルチ系列会社群は、1990年代は安物の輸入雑貨...例えば今では百均で100円で売られているMade in Chinaの計算機などを500円程度で訪問販売していたが、1990年代後半からの100円ショップ台頭で売れなくなった。)

訪問販売員によって異なる売り文句・ストーリー
・契約農家から仕入れた。
・今日市場で仕入れたばかり。
・八百屋に卸しにいったら閉まっていたので、今街角で売っている。
など、販売員によって異なるストーリーを販売時に展開する。ということは結局「詐欺」に抵触するのでは?

※先日は街頭で大福を売りつけているのも見かけた。結局、「八百屋」なんて仮の姿。彼らにとって、果物なんてどうでもいいということがよくわかる。ただ同然で仕入れたものは、相変わらず何でもかんでも売りつけている。

売り文句の定型文句(販売方法のマニュアル?)の特徴
1.最初はまず1パック5000円くらいなんですよ、と言う。
2.でも今なら特別に3000円で販売します、と3000円ラインを持ち出す。
3.3000円は高い、とこちらがゴネるとそこからさらに底値を言い出す。
4.最初はバラ売りはしない、というが、こちらがゴネるとバラ売りもする。
5.バラ売りの場合は、果物一個あたり400円で売ろうとする。

3000円基準で売値をスタートする理由
3000円以上はクーリングオフ(購入後のキャンセル・返金)が適用されてしまうため。つまり3000円以下で売れば、クーリングオフは適用できないので、売り逃げできる。
こうした突発的な訪問販売・押し売りは、当然、購入者は頭が冷静な状態(cooling;クーリング)で買えるとは限らず、なんやかんや押し切られて、ついつい本意ではない購入をしてしまうものである。よって通常は買わされてしまっても、冷静に考えたら買うつもりではなかったものはキャンセルできるクーリング・オフ制度が法的に利用できる。但し、3000円以下の購入物には通常は適用されない。

勤務形態
フルコミッション制で、売れなければ給与ゼロなので誰でも入社できる。(能力がなく商品が売れなければ給料ゼロだけの話。雇用側のリスクは低い。) しかし最近はフルコミッション制を採用の際に掲げていると誰も入社しないので、求人の段階では一見、固定給制に見える形で応募をかけているが、いざ採用の段階ないし入社後しばらくすると、フルコミッション制を持ちかけられる。

「夢」「独立」が求人募集の うたい文句
勤務形態は、朝、倉庫のようなオフィスに集合し、「夢を実現しよう」と「独立しよう」「自分の会社を持とう!「社長になろう!」「南の島を買おう」とか、あたかもマインドコントロールを促進するような勢いだけの学生サークル的な、ともすれば新興宗教的な啓蒙集会がまずおこなわれる。

そして今日訪問販売するべき商品をダンボールで渡される。商品はいずれも仕入れ値がゼロ(タダ)に近い計算機などの輸入雑貨から、フルーツまで様々。

販売員はその日何を売らされるのか知らない場合が多い。そのため販売時にこちらがつっこんだ質問をするとごまかしか、あやふやな回答しか返ってこない。
そしてそれぞれ担当の区画の住宅地図のコピーを渡され、その4,5-10ブロックの住宅から雑居ビルのすべてのテナントを組まなくアポなしで飛び込んで訪問販売せよ、というスタイル。
ちなみに成果が挙げられないと給与はゼロなので、入社してもすぐスタッフが辞めてしまう。実際、私のところに訪問販売に来たスタッフも短期間だがすべて違うスタッフだった。能力がないと給料ゼロなので、採用した側にとっては痛くも痒くもない。だから最初はとりあえず誰でも入社できる。その後、自動的に「ふるい」にかけられ、次々と辞めていく。

ネット対策
このフルーツの訪問販売に対しては、ブログなどでも批判的な記事が多い。そのため、
・記事削除依頼隊、コメント書き込み隊
・自作自演のサクラなブログによる拡散営業
らしきものが存在しているようだ。訪問販売に批判的なブログを見つけるとそのコメント欄にことごとく同じような文言の反論を書き込んでいる人がいるのがそれだ。内容は「ヤクルトだって詐欺じゃない」的なコメント (←ヤクルトとこのマルチ会社はそもそも仕組みが根本的に異なり、同列に挙げるべきものではない)。
そしてスタッフより「NHK、読売新聞、TBSで紹介されたフルーツの訪問販売。おいしかった。」的な自作自演なサクラ記事をアップを業務の一環としているスタッフもいるようである。

訪問販売の極意
・販売員である若者への同情を誘う
・訪問という突発性により、購入者に考える暇を与えない
主にこの2点に依存した商品販売形態。

ブリタニカ商法の遺伝子
元々は昔からあるブリタニカ商法(ブリタニカ百科事典を訪問販売する会社)の遺伝子が脈々と引き継がれている訪問販売である。売る物は時を変え、場所を変えて様々。
実際、この訪問販売会社のホームページなどを見てみると事業内容には「海外雑貨、果物の販売業」その他多種多様な商品取り扱いを目的としている。

会社名を知りたい人は「海外雑貨 果物の販売業」のキーワードで検索してみれば、このブリタニカ商法の遺伝子を持った会社の会社概要のページや求人広告ページがヒットするので、簡単に探し出すことができる。
しかも、たいがい、カタカナ名の社名を付けており、グループの同じホームページ作成業者にweb作成を依頼しているためか、この系列会社はどこもホームページの作りも同じであることが多い。
webの細かい作りやデザインを知らない素人が見ても、ホームページのパッと見の印象が同じなことがわかるだろう。どこまでもマルチ遺伝子コピーのネズミ算式大量生産で、浮かんでは消えていっている。結局、この商法は、質より量であることがわかる。

これまでもブリタニカ商法では直近ではいかのような会社が倒産したことが記憶に新しい。

・LADO ラド・インターナショナル(英会話教材・英会話学校→2007年4月倒産)
・ゲートウェイ21(留学商品販売→2008年9月倒産)
・サクシーオ(東日本・西日本留学センター)-(留学商品販売→2010年7月倒産)

※ゲートウェイ21とサクシーオを「大手留学会社」と勘違いしている人がいるが、厳密には一般的な留学会社とは異なる。これらの会社はそれらの屋号の下、つまり「留学商品」を各子会社が代理販売していただけのマルチ商法の連鎖販売取引会社であり、「留学への愛」なぞ本当のところは、ない。
その辺りが一般的な留学会社とは成り立ちや販売方法からして根本的に性質が異なる。
要は上図のフルーツの訪問販売会社群と同様、LADO ラド・インターナショナルが、LADOの英会話教材を、その下のブリタニカ商法の複数の別会社が販売していたのと同じ(←書店の入口などで勧誘している系のアレ)で、英会話教材の代わりに「留学商品」を売っていただけ。


このブリタニカ商法は、フルコミッションの給与体系のため、売らないと給料がないため「お客様のため」な営業ができず、とにかく利益優先のため、かなり社内的な雰囲気がギラギラ・殺伐としてしまう傾向があり、社員が定着することもなく、結果、長期的なスパンでの経営ができず、経営が不安定になりがちな特徴がある。
ここで働くとスタッフは「お客は一人10万円にしか見えない」(お客がお金にしか見えなくなる)という。(LADOやゲートウェイ21では、客一人あたり10万円のコミッション制になっていたため。)

ブリタニカ商法の特徴
・マルチ商法(特定商取引に関する法律(33条)にいうピラミッド式連鎖販売取引)
・給与はフルコミッション制または低基礎給与+出来高制。
・商品名や屋号の元、別の子会社がその商品を販売する形態。
・売上による夢や希望などの一種、宗教的な啓蒙マインドコントールを従業員へ施す。

最近では百科事典や輸入雑貨に限らず、英会話教材から留学商品、エステ・サロン系ネイル系まで有形・無形を問わず、いろいろな商品・サービス販売に、このブリタニカ商法は進出しているので注意が必要。

この商法遺伝子を持つ会社の見分け方
このブリタニカ商法を持つ会社はどれも同じギラギラした独特の「カラー」(雰囲気)を持っているので、慣れてくるとそこのスタッフに会っただけ/ホームページを見ただけで、察知することはでき、わかる人は分かるものである。なんとなく信仰宗教信者と同じような雰囲気をかもしだしており、かつ売らないと生活ができないため、売り売りのちょっとギラっとした感じがあり、やはら夢や希望や熱さを全面押しして営業している「観念先行型」系である。

一般人にとっての見分け方は、
・フルコミッション制になっていないか(←HPの求人採用情報をチェック)
・なんとなく新興宗教と同じようなカラー(雰囲気)をかもしだしている。
・連絡先住所や同じビルに複数の関連子会社(カタカナ名が多い)が集合・入居している
例えば、あるAという屋号の商品やサービスを、別の会社(たいていカタカナ名の会社)が取り扱う形で販売していたり、といった点が挙げられる。その会社の郵便受けを見に行ったら、1つの郵便箱に複数の会社名がつらなっていることがよくある。

断るのも若者への親切と愛情
消費生活センターのwebなどでも告知されているが、突然の訪問販売を受けた場合は、まずは「ドアを開ける前に、きっぱり断ること」。

訪問販売の厳しさを教えるのも、販売員である若者への親切であり、愛情であるから容赦なく断ったほうがいい。

そもそも商売の真髄というのは、「必要としていない人に物やサービスを売りつけること」ではなく、 商売の本質は「有益な商品やサービスや情報を提供することで少しだけお金をもらうこと」である。本当に「有益な商品やサービスや情報」であれば、本来はお客さんのほうから自ら欲して出向くものである。

本来なら「その場で売り切り・売り逃げ」ではなく、それだけ商品に自信があるのなら、試供品を無料で配り、「よろしければうちの店舗まで買いに来て下さい」のスタイルで販売するべきであろう。本当に良い商品なら、客は自ら寄ってくるものである。押しかけて不意を突いて無理に買わせるような「実力行使の売り方」勝負ではなく、客が寄ってくるような「商品の実力」で勝負するべきである。

よって訪問販売や押し売りは商売の本質からズレており、商売の本質と社会の厳しさを教えるためにも購入は断るべきなのである。

それが販売員である若者のマルチ商法からの脱却へつながり、ゆくゆくは販売員であるその若者のため、社会のためにもつながる。同情による購入は「ため」にはならない。

こうした言葉巧みにとにかく売りつけさえすればいい、という誤った感覚を植えつけてしまうことは、若者を「オレオレ詐欺」の受け子へ将来、走らせてしまう一因にもなる。

※それに市場で売れ残った商品だから、かわいそう・もったいない、という感情で買う必要もない。売れ残りや規格外商品は、野菜・果物ジュースへ転用されたりするルートもあるので、心配無用。あなたがいっさいを引き受ける必要はない。

もし買ってしまったら
必ず連絡先や領収証を書面でもらい、極力、バラ売りなどの低額に抑えること。思わず高額を買ってしまって後悔したら、すぐにクーリングオフなどを考えること。また、国民生活センターなどに相談するなり、その法人の情報をセンターに提供しておくとよいだろう。
また、Twitterや知恵袋、mixi、ブログなどでメモとして情報を拡散し、広く世間に注意喚起をうながしておくのも後世のためになる。

■備考:

国民生活センター発表「りんごやみかんの押し売りにご注意!」
www.kokusen.go.jp/news/data/n-20100303_1.html

千葉県富里市役所からの注意喚起「果物の押し売りに注意!
「果物の訪問販売に関するトラブルが全国的に増えています。果物の訪問販売は、平成21年12月から特定商取引法の規制対象となっています」
www.city.tomisato.lg.jp/0000001505.html

柿、リンゴ、ミカン…果物20箱放置の怪 神奈川・横須賀で相次いで発見
2012.11.22 18:23 の記事(右上2枚目の画像)
sankei.jp.msn.com/affairs/news/121122/crm12112218240028-n1.htm
大量の果物放置、誰が置いた? 横須賀、柿やリンゴ
www.47news.jp/CN/201211/CN2012112201001516.html

ニュースなどで報道されたこの果物たち(右上2枚目写真)は、これらマルチ商法の訪問販売員らが、売れ残ったものを放置したもの。結局、ノルマ達成ばかりで、彼らには果物への「愛」などはない。彼らの訪問販売に出かける前の、朝の朝礼などを見てみればすぐにわかる。「君の夢はなんだ?」「私は南の島を買うこと!」「私は社長になること!!」「夢実現のためにがんばろう!!」という、とにかく自分達のことしか考えていない、まったく某宗教団体と同じような洗脳・啓蒙朝礼が、訪問販売出発前におこなわれている。
若者をまちがった方向へ導かないためにも、路上・訪問販売の押し売りは、買うべきではない。

コメント

コメントは現在受け付けておりません。