熱戦譜〜2005年6月の試合から


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試合日 試合 結果
2005.06.04 10回戦  福島 学  KO3R  タタ・ポリナール
2005.06.04 10回戦  阪東タカ  TKO4R  円谷篤史
2005.06.13  日本ライト級王座決定10回戦  久保田和樹  判定  田中光吉
2005.06.13 8回戦  中釜兵武  KO8R  瓜生崇大
2005.06.18  日本ミドル級
 タイトルマッチ10回戦
 板垣俊彦  判定  鈴木 悟
2005.06.18 8回戦  小暮飛鴻  TKO8R  鈴木哲記
2005.06.20 10回戦  亀田興毅  KO1R  サマン・ソー・チャトロン
2005.06.21  東洋太平洋ライトヘビー級
 タイトルマッチ12回戦
 デール・ウェスターマン  判定  西澤ヨシノリ
2005.06.21 10回戦  阿部元一  TKO3R  ティラサック・ユーチュンポン
10 2005.06.25 10回戦  三谷将之  判定  大神淳二
11 2005.06.25 10回戦  江口啓二  KO3R  チャチャイ・キャットパヤタイ
12 2005.06.26  WBA世界スーパーフライ級
 タイトルマッチ12回戦
 マーティン・カスティーヨ  判定  石原英康
13 2005.06.26  東洋太平洋スーパーバンタム級
 タイトルマッチ12回戦
 ウェート・サクムランクラン  TKO3R  菅原雅兼
14 2005.06.28  東洋太平洋フライ級
 王座決定12回戦
 ワンミーチョーク・シンワンチャー  判定  榎本信行

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                           2005年6月4日(土)    後楽園ホール
                                  10回戦
                   WBA世界バンタム級7位   K      O   比国S・フライ級8位  
                ○    福島 学      3回1分46秒    タタ・ポリナール    ●
                         (JBスポーツ) 118 lbs                       (比国) 117 1/4 lbs

 落ち着いた滑り出しを見せた福島。細かく左を突き,前に出る。ポリナールの右フックがヒットするが,福島も接近して右アッパーを放つ。ポリナールをロープに詰めて顔面にパンチを集め,すかさずボディを左アッパーで叩けばポリナールは呆気なく崩れ落ちてダウン。
 2回,ポリナールをロープに詰めてボディブローを浴びせる福島だが,ワイルドな左右フックを食う場面が目立つ。しかし,ポリナールは終了10秒前の拍子木と同時に背を向けてコーナーに下がってしまう。浅尾主審に再開を促されたポリナールは何とか応じたが,左アッパーをボディに受けて再びダウン。
 3回,福島はテンプルへの右ストレートでポリナールをダウンさせる。ポリナールは立ち上がったものの,右ストレートをボディに打ち込まれて4度目のダウン。半ば戦意を失った様子でカウントアウトされた。

 ウラジミール・シドレンコ(ウクライナ)のWBA世界バンタム級王座に福島が挑戦する予定だったが,シドレンコが練習中に右手親指を骨折したため急遽ノンタイトル戦に変更になったもの。福島にとっては勝ち負けよりも内容が問われる一戦だった。しかし,ワイルドな左右フックを食うなど危ない場面を見せ,世界戦に不安を残す試合となった。ノンタイトル戦とは言うものの,敢えてバンタム級のリミットを守り,万全の態勢で臨んだ前哨戦である。体の切れやパンチのスピードがあり,コンディションそのものは十分だった。しかし,相変わらずのガードの甘さを露呈した。世界戦では不用意な被弾は致命傷になることを十分に肝に銘じて欲しい。相手のペースに合わせてしまうことも気になる。世界戦までに時間ができたのだから,もう一度総点検をお願いしたい。
 ポリナールは左右フックをワイルドに振って捨て身の攻撃を仕掛ける右ファイタータイプ。ボディブローを嫌って弱気になる面を見せた。

     主審:浅尾和信,副審:ウクリッド・サラサス&山田一公&熊崎広大
     ○福島:36戦28勝(19KO)6敗2分     ●ポリナール:25戦8勝(2KO)16敗1分
     放送:G+     解説:浜田剛史&セレス小林     実況:羽鳥慎一

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                         2005年6月4日(土)    後楽園ホール
                                 10回戦
                 日本フェザー級(ノーランク)   T  K   O   日本フェザー級(ノーランク)
                ○   阪東タカ      3回1分46秒     円谷篤史   ●
                       (フォーラムスポーツ) 126 lbs                       (アベ) 125 1/2 lbs

 新旧新人王の対決。初回,積極的な円谷に対し,阪東はゆとりのある立ち上がりを見せる。阪東がクロス気味の右ストレートをカウンターでヒットすると円谷は早くもバランスを崩す。
 2回,距離を詰める円谷だが,阪東はよく見て右ストレートをヒット。円谷も右ストレートを返すが,阪東が踏み込んで放った左ストレートに次ぐ右フックが相打ち気味にヒットすれば,円谷はたまらずダウン。倒れた円谷にパンチを浴びせた阪東は1点減点され,円谷に30秒間のインターバルが与えられた。荒れ模様となるが,終了間際の左フックで円谷は大きくぐらつく。阪東はバッティングで左目上をカットするが,一気に攻勢に出た。
 3回,踏み込んで放ったワンツーがヒットし,大きくぐらつく円谷。阪東の冷静さが目立つ。円谷は足にダメージが来ている。
 4回,左フックをヒットして反撃に出る円谷だが,阪東は左アッパーのボディブローを連発し,接近戦での右アッパーで円谷の上体を起こしにかかる。左フックからの右ストレートが円谷を捉える。この見事なワンツーで円谷の腰が砕け,力なく後退したところで鮫島主審がストップした。

 阪東は円谷の打ち始め,打ち終わりにタイミングのいいパンチを集めたことが勝因。ワンツーが武器で,接近してのボディブロー,右アッパーもある。特に相打ちの右ストレート,フックが強い。
 円谷は東京五輪のマラソンで銅メダリストとなった故・円谷幸吉を大叔父に持つことで話題となった右ファイター。大叔父譲りとも言える頑張りと気迫あふれるボクシングが身上だが,試合運びがやや正直なことが惜しまれる。もう少しサイドからゆさぶることを覚えて欲しい。

     主審:鮫島英一郎,副審:熊崎広大&山田一公&浅尾和信
     ○阪東:23戦11勝(9KO)10敗2分     ●円谷:12戦8勝(5KO)3敗1分
     放送:G+     解説:セレス小林     実況:高橋雄一

※ 第2ラウンドにダウン後の加撃により,阪東が1点減点されている。

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                         2005年6月13日(月)    後楽園ホール
                         日本ライト級王座決定10回戦
                    日本ライト級2位           日本ライト級1位
                ○  久保田和樹    判 定    田中光吉   ●
                       (相模原ヨネクラ) 135 lbs               (シャイアン) 135 lbs

 距離を取りたい田中,潜り込みたい久保田。対照的なタイプの両者の一戦は,予想通り激しい主導権争いでスタートした。接近してボディ狙いの久保田に対し,序盤は田中が距離を取り,左ジャブを突き,ワンツーからボディに左アッパーを放つ。4回には左ジャブからのワンツーでチャンスを掴んだ田中が一気に攻勢に出た。
 しかし,久保田も黙っていない。5回からは執拗に体を密着させて得意の接近戦に持ち込む。右フックをヒットし,ボディに左右フック,アッパー,さらにアゴに右アッパーを突き上げる執拗な連打で田中に迫る。
 久保田は6回にバッティングで右目上から出血するが,密着して左から右のフックを浴びせるなど,しだいに自分のペースに田中を巻き込んでいった。
 7回には右フックを受けた田中がぐらつき,久保田が攻勢に出る場面も見られる。田中は序盤のように突き放して自分のボクシングを取り戻したいところだが,久保田の執拗な肉薄に遭う。
 9回,執拗な久保田の接近戦が続く。ロープを背にした田中に連打を浴びせる久保田は,接近して田中のアゴに再三右アッパーを突き上げた。結局最後まで自分のペースで戦った久保田が判定勝ちで念願のタイトルを獲得した。

 去る3月の王座決定戦で負傷ドローのために決着が持ち越された因縁の対決。両者は2002年3月にも対戦して久保田が判定勝ちしており,今夜のラバーマッチで久保田の2勝1分となった。
 久保田の勝因は何と言っても徹底した接近戦で自分本来のボクシングを貫いたこと。最も得意とする密着しての打ち合いで田中の持ち味を殺したことが奏功した。フックを打つときに反対側の腕が上がる悪い癖があるが,これはぜひ矯正した方がいいだろう。
 田中の敗因はまさに久保田の勝因の裏返し。序盤こそうまく間合いを取り,広目のスタンスから左ジャブ,ワンツーを放って上々の立ち上がりを見せたが,しだいにズルズルと久保田のペースにはまってしまった。

採点結果 久保田 田中
主審:浦谷信彰 *** ***
副審:土屋末広 96 95
副審:ビニー・マーチン 97 96
副審:福地勇治 97 94
参考:MAOMIE 98 94


     ○久保田:22戦15勝(3KO)5敗2分
     ●田中:34戦23勝(11KO)9敗2分

     放送:フジテレビ739
     解説:川島郭志
     実況:佐野瑞樹

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                            2005年6月13日(月)    後楽園ホール
                                  8回戦
                 日本フライ級(ノーランク)    T   K   O   日本スーパー・フライ級5位
                ○  中釜兵武       8回1分02秒     瓜生崇大   ●
                      (白井・具志堅) 111 1/4 lbs                     (輪島スポーツ) 112 lbs
                  中釜兵武=なかがま・ひょうぶ                 瓜生崇大=うりゅう・たかひろ

 サウスポーの瓜生は良く伸びる左ストレート,中釜は左右フックの連打からスタート。やや中釜リードの立ち上がりとなったが,4回,瓜生の右フックがテンプルを捉え,ワンテンポ置いて大きく足がもつれる中釜。瓜生はなおも中釜のガードが下がったところを突き,タイミングのいい左ストレートをヒットしてのけぞらせた。
 5回,中釜の右ストレートにたじろぐ瓜生だが,右フック,左ストレートを巧打して中間距離での激しい打ち合いを制した。中釜も気迫のこもったボクシングを見せ,好試合となった。
 落ち着きのあるボクシングを見せる瓜生は7回,接近戦で右フックから左ストレートをヒットして中釜の動きを止める。
 一進一退ながらも瓜生がややリードして迎えた8回に波乱が待っていた。開始早々激しい打ち合いになるが,中釜の左フックがカウンターになり,大きくよろめく瓜生。チャンスと見た中釜は一気に勝負を賭ける。瓜生が出した左ストレートより一瞬早く中釜の大きな左フックが炸裂し,瓜生は膝を折るように仰向けにダウン。染谷主審はすぐさま試合をストップした。

 なかなか見応えのある一戦となったが,土壇場で劇的な結末となった。中釜は右ファイタータイプで右ストレートからの左右フックの連打を武器としている。積極的でよく手数が出るのが長所で,ファイティングスピリットに優れたものがある。ただし,ガードが下がることと,パンチを打つときに脇が開くことが欠点。今夜の勝利によってランクインの可能性が出たが,これらの課題を克服して精進願いたい。
 瓜生はアマチュア経験があるだけに,非常にクレバーなボクシングをする。特に中間距離から巧打する右フック,左ストレートにいいものがある。しかし,こちらもガードが下がることが欠点。今夜は見事にその欠点を突かれてしまった。

     主審:染谷路朗,副審:ウクリッド・サラサス&土屋末広&浦谷信彰
     ○中釜:10戦7勝(5KO)3敗     ●瓜生:10戦7勝(2KO)2敗1分
     放送:フジテレビ739     解説:川島郭志     実況:桜井堅一郎

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                         2005年6月18日(土)    後楽園ホール
                         日本ミドル級タイトルマッチ10回戦
                    挑戦者(同級1位)            チャンピオン
                ○    板垣俊彦     判 定     鈴木 悟  ●
                    (木更津グリーンベイ) 158 3/4 lbs           (八王子中屋) 159 1/2 lbs

 ここ数試合にないほど好調な滑り出しを見せたのは王者・鈴木。切れのある動きから積極的に左ジャブを突き,右ストレートで板垣を追い込んで行く。初挑戦の板垣は緊張からか,やや硬さが目立つ。
 2回には板垣も下がりながらチャンスを窺い,右クロスのクリーンヒットから攻勢に出て右フックを浴びせる。板垣は3回にヒジ打ちで減点されたが,4回には王者の右ストレートの打ち終わりに左から右のフックをヒットしてぐらつかせた。鈴木も右ストレートをヒットして応戦。
 5回,鈴木の右ストレートがクリーンヒットしてチャンスを迎えるが,板垣のボディブローが低く入って一時中断。
 7回,鈴木の右ストレートがヒットするが,板垣は終盤に左右のボディブローから左フックを決める。8回には必死の形相で迫る鈴木に対し,板垣は右フックのカウンターを決めて王者をわずかにぐらつかせた。
 激しい打ち合いが続くが,9回終盤にも板垣が右フックからの攻勢で鈴木にロープを背負わせた。

 後半戦で追い上げた板垣が初挑戦で王座を獲得した。板垣は右ボクサーファイターで,左ジャブに次いで相手の左にかぶせるように放つ右クロスや左右フックの連打を武器としている。比較的オーソドックスな攻撃パターンだが,ときおり巧みにヒジ打ちやローブローなどを織り交ぜて相手の攻勢を中断させる老獪な一面も見せた。非常に冷静で,ムダ打ちせずにここぞというときにタイミングをうまく取ってパンチをまとめるうまさが目立った。欲を言えば,せっかくいい左ジャブを持っているのだから,これを有効に活用することを心がけて欲しい。
 今年2月に2度目の王座獲得を果たした鈴木は初防衛に失敗。立ち上がりこそ好調をアピールしたが,板垣の老獪なボクシングに徐々に冷静さを失い,僅差で試合を落とした。打ち終わりをうまく狙い打ちされて焦りを生んだことが敗因。

採点結果 板垣 鈴木
主審:福地勇治 *** ***
副審:鮫島英一郎 96 95
副審:浦谷信彰 96 95
副審:杉山利夫 96 95
参考:MAOMIE 96 95


     ○板垣:24戦17勝(9KO)7敗
     ●鈴木:29戦23勝(15KO)6敗

     放送:G+
     解説:葛西裕一
     実況:長谷川憲司

※ 第3ラウンドのヒジ打ちによる板垣の減点1を含む採点。

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                          2005年6月18日(土)    後楽園ホール
                                    8回戦
                   日本スーパーライト級(ノーランク)    T  K O    日本スーパーライト級(ノーランク)   
                ○     小暮飛鴻       8回40秒       鈴木哲記 ●
                          (八王子中屋) 140 lbs                        (ワールド日立) 139 1/4 lbs
                       小暮飛鴻=こぐれ・ふぇいふぉん                  鈴木哲記=すずき・あきのり

 初回からファイター同士の打ち合いとなった。ともによく手数が出るが,2回,小暮は左右のボディブロー,鈴木は左アッパー,フック,右ストレートで応戦。手数は小暮が上回るが,的確さはやや鈴木が上。
 4回以降は小暮が左右のボディブローなど,手数でリード。相手が音を上げるほどの執拗なボクシングが身上の鈴木だが,いつもの覇気がやや影を潜めている。鈴木はバッティングで右目上をカット。
 6回,小暮のボディ攻撃が効いたのか,やや押される鈴木。7回には左フックからの右ストレートで鈴木がバランスを崩す場面が見られた。終盤には左右フックで珍しく鈴木が後退し,ロープを背にする場面が見られた。
 8回開始早々,鮫島主審が中断して,鈴木の口の中をドクターチェック。結局,下顎部骨折の疑い(富樫リングアナの発表)のためにすぐさまストップとなった。有効打による負傷との判断により,小暮のTKO勝ちが宣告された。

 小暮はスピードはなく打ち方もよくないが,旺盛な手数を身上とする変則ファイター。地道にボクシングに取り組む姿勢と礼儀正しい試合態度は非常に好感が持てる。
 鈴木はいつものような猛烈なアタックが見られず,やや精彩を欠いた印象を受けた。中盤にマウスピースを自ら吐き出したように見えた場面があり,この時点で負傷していた可能性がある。完治させて再起願いたい。

     主審:鮫島英一郎,副審:中村勝彦&葛城明彦&島川 威
     ○小暮:24戦17勝(7KO)6敗1分     ●鈴木:18戦9勝(2KO)6敗3分
     放送:G+     解説:なし     実況:田中毅

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                          2005年6月20日(月)    後楽園ホール
                                10回戦
                   日本フライ級10位    K      O   元WBC世界ライトフライ級チャンピオン
                ○   亀田興毅    1回2分59秒      サマン・ソー・チャトロン    ●
                          (協栄) 112 lbs                           (タイ) 112 lbs

 開始ゴングと同時にどんどんプレッシャーをかける亀田。ガードを固めて前進し,ノーモーションの左ストレートを伸ばす。左ストレートで泳ぐサマンのわき腹を強烈な右フックが抉り,最初のダウン。立ち上がったものの亀田の詰めは鋭く,連打からボディへの右アッパーで2度目。最後は左ストレートでロープに飛んだところで浅尾主審が割って入った。

 亀田が初めて迎えるビッグネームに圧勝した。スピード,体の切れともに上々で,パンチにも威力があった。接近する相手をグラブで回し,態勢を崩しておいてパンチを放つなど,少しずつ細かいテクニックも見えるようになった。歴戦の元世界チャンピオンを向こうに回してまったく物怖じしない度胸の良さは見事である。試合後のインタビューのコメントも徐々に大人の対応に変化している。その一方で課題も残る。攻撃一辺倒の弊害か,相手の正面に立ったままガードを下げてしまうなど,不用意な面も見られた。りきみが目立つ点も相変わらず。焦らずにじっくりと経験を積んで欲しい。
 サマンは3年ぶりの来日だったが,いいところを見せられないままに完敗を喫した。往年のスピード,切れ,爆発的な攻撃力がまったく影を潜め,世界タイトル10度防衛の栄光が泣くような不甲斐なさを露呈した。

     主審:浅尾和信,副審:山田一公&福地勇治&安部和夫
     ○亀田:7戦7勝(6KO)     ●サマン:55戦46勝(35KO)8敗1分
     放送:TBS     解説:竹原慎二&畑山隆則     実況:藤森祥平

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                         2005年6月21日(火)    後楽園ホール
                     東洋太平洋ライトヘビー級タイトルマッチ12回戦
                      チャンピオン              挑戦者(同級4位)
                ○ デール・ウェスターマン   判 定   西澤ヨシノリ  ●
                        (豪州) 172 1/4 lbs                 (ヨネクラ) 175 lbs

 ウェスターマンは動きながら右フック,ボディへの左アッパー,西澤も低く構えてボディ攻撃からスタートする。2回,ウェスターマンはよく動いてうまく間合いを取り,西澤の攻撃をかわす。さらに,チャンスと見ると左フックを上下に放ち,ボディブローにつなげる。西澤は早くも左目上をカット(有効打によるもの)。3回,ウェスターマンはうまく距離を置き,単発ながらも左右フックやボディ攻撃でリードする。西澤は不用意な被弾で序盤戦の主導権を譲った。
 西澤が意地を見せたのは中盤。4・5・7回にボディにパンチを集めて押し気味に試合を進めた。このボディ攻撃に,動きのあるウェスターマンの足が鈍る場面も見られ,終盤に期待が膨らんだ。
 しかし,終盤は再びウェスターマンのペース。9回,西澤の左目上の傷のため,ドクターチェックが入る。左フック,右ストレートでぐらつく西澤。チャンスと見たウェスターマンが左フックを連発して攻勢に出ると,疲れが見える西澤はピンチ。
 10回,疲れとダメージで思うように足を運べない西澤。正面に立ったところに左アッパーから右ストレートを受けてぐらつき,さらに左フック,右ストレートでピンチ。西澤は右目上もカットしてドクターチェックを受ける(有効打によるもの)。終了間際には体ごと押し込んで攻勢をかけるが,クリ−ンヒットを奪えない。
 11回,両目上からの出血で距離感が取れないのか,西澤のパンチに正確さがない。気迫を見せて打ち合いを挑むが,逆に左フックを受けてぐらつく場面があった。最後まで決定打を欠いたまま試合終了。

 健闘した西澤だが,終盤に失ったポイントが響いた。中盤はよくボディ攻撃で王者を苦しめる場面もあったが,後半は疲れが見え,出血で距離感が鈍ったこともあって,思うような攻撃ができなかった。
 ウェスターマンはガッシリとした体躯の右ファイタータイプ。左右によく動き,相手の出方をよく見て,左右フックを的確にヒットする。パンチ力は並だが,なかなかクレバーな試合運びをする。武器は接近して放つ左フックである。

採点結果 ウェスターマン 西澤
主審:ブルース・マクタビッシュ(比国) 115 113
副審:熊崎広大 114 115
副審:カール・ザッピア(豪州) 118 110
参考:MAOMIE 117 114

     ○ウェスターマン:19戦14勝(6KO)5敗
     ●西澤:47戦26勝(14KO)16敗5分

     放送:スカイA
     解説:大橋秀行&石本雅巳
     実況:河路直樹

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                          2005年6月21日(火)    後楽園ホール
                                10回戦
                   日本フェザー級1位    T   K  O    タイ国フェザー級(ノーランク)   
                ○   阿部元一    3回2分05秒    ティラサック・ユーチュンポン ●
                          (ヨネクラ) 127 lbs                          (タイ) 128 lbs

 長身のティラサックは右アッパー,フックを多用するが,阿部は初回後半,右ストレートでぐらつかせ,ぐいぐいとプレッシャーをかける。終了間際の連打にティラサックは早くもピンチを迎え,ゴングに救われた。
 2回も阿部が右ストレート,左右のボディ攻撃で圧倒する。右アッパーを狙って多用するティラサックだが,阿部に読まれる。
 そして3回に呆気なく勝負が決まった。開始早々から連打で圧倒する阿部。右アッパーを狙うティラサックだが,右ストレートでロープに詰まる。阿部が連打から右フックを浴びせたところで鮫島主審がストップした。

 3度目の日本タイトル挑戦を目指す阿部だが,ボクシングがいかにも単調。ダイナミックな攻撃だが,パンチに強弱がないので,うまい相手にかかったら読まれてしまうだろう。パンチ力はあるので,もう少し出入りを鋭くし,メリハリを利かせたボクシングを心がけることが必要。
 ティラサックは長身の右ボクサーファイター。スピードはなく,動きそのものがぎこちない。離れても接近しても右アッパーを多用し,右フックを打ち下ろすのが攻撃パターン。

     主審:鮫島英一郎,副審:葛城明彦&染谷路朗&島川威
     ○阿部:17戦13勝(9KO)2敗2分     ●ティラサック:13戦9勝4敗
     放送:スカイA     解説:大橋秀行&石本雅巳     実況:河路直樹

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                      2005年6月25日(土)    高砂市総合体育館
                                10回戦
                  WBC世界S・フライ級30位         日本S・フライ級(ノーランク)   
                ○   三谷将之      判 定    大神淳二   ●
                         (高砂) 118 lbs                   (関博之) 118 lbs

 長身でリーチに恵まれた三谷が初回から鋭い左ジャブを多用して大神をコントロールする。左ジャブに次ぐボディへの左アッパー,ワンツーのコンビネーションを繰り出して距離を取る三谷。大神は上体を揺すって距離を詰めようとするが,三谷はサッと引いてかわす。
 5回までは三谷が優勢のまま試合が進んだ。ボディを狙ってプレッシャーをかける大神だが,三谷は鋭い見切りで大神の攻撃をかわしながら左ジャブ,ワンツーを浴びせる。
 6回,大神のワンツーで三谷が後退する場面があったが,8回,三谷は足を使って大神を翻弄し,左ジャブから左フック,アッパーを放って大神を寄せつけない。
 9回,大神は左右フックで三谷をわずかにぐらつかせたが,10回は再び三谷がリード。足を使いながら左ジャブを浴びせ,大神の出バナにタイミングのいい右アッパーをヒットする。

 三谷は右ボクサータイプ。スピードがあり,フットワークに乗せた左ジャブ,ワンツー,左右アッパーなどの多彩なコンビネーションブローを持っている。ボクシングの組立は基本に忠実で,オーソドックスな試合運びである。見切りが良く,相手の出バナを叩く勘に優れている。経験を積めば非常に楽しみな存在である。
 大神は右ファイタータイプで,上体を振ってどんどんプレッシャーをかける果敢なボクシングが身上。しかし,今夜は三谷のうまさに屈し,最後まで攻め口を見出せないままに終わった。

採点結果 三谷 大神
主審:宮崎久利 *** ***
副審:北村信行 98 92
副審:野田昌宏 98 92
副審:安田裕候 98 92
参考:MAOMIE 98 93


     ○三谷:15戦14勝(7KO)1敗
     ●大神:13戦8勝(5KO)4敗1分

     放送:スカイA
     ゲスト:三谷将之(本人)
     実況:岩本計介

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                      2005年6月25日(土)    高砂市総合体育館
                                10回戦
                   日本ミドル級8位     K      O    タイ国ウェルター級(ノーランク)   
                ○  江口啓二     3回2分11秒    チャチャイ・キャットパヤタイ ●
                      (姫路木下) 153 1/4 lbs                       (タイ) 150 lbs

 サウスポーの江口が初回からパワフルな左ストレートを振ってプレッシャーをかける。ロープ,コーナーに下がりながらもワンツーで応戦するチャチャイだが,パンチに力がない。
 3回,勝負は呆気なく決まった。重い左ストレート,右フックでプレッシャーを強める江口。ロープに詰め,最後は右ボディブローから返した左フックが見事にアゴを捉え,チャチャイはたまらずダウン。立ち上がったものの,ダメージを重く見た北村主審はそのままカウントアウトした。

 ”浜田剛史2世”というキャッチコピーで売る江口はアマチュア相撲出身という異色の左ファイタータイプ。重い左ストレート,フックを武器にプレッシャーをかける試合運びだが,いかんせんスピード不足で鈍重な印象は拭えない。上体の動きに乏しく,相手の正面に立ってしまう欠点がある。プレッシャーをかけている割にはパンチを出さずに見ている時間が長いことも気になる。パワーはあるが,今のままでは中央で上位を狙うことは望めない。これらの欠点を矯正することが急務である。

     主審:北村信行,副審:安田裕候&大黒利明&宮崎久利
     ○江口:10戦9勝(7KO)1敗     ●チャチャイ:11戦6勝5敗
     放送:スカイA     ゲスト:江口啓二(本人)     実況:岩本計介

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                      2005年6月26日(日)    愛知県体育館
                  WBA世界スーパー・フライ級タイトルマッチ12回戦
                   チャンピオン             挑戦者(同級5位)
             ○  マーティン・カスティーヨ   判 定    石原英康   ●
                 (メキシコ) 114 1/2 lbs                   (松田) 115 lbs


 初回,石原はグラブで顔面をカバーしながら左ストレートを放つが,カスティーヨは左フック,アッパーから右フックをボディに連打。さらにアゴに左アッパーをヒットする。2回にもカスティーヨのハイテンポなコンビネーションブローが冴える。左右に動き,左右連打を上下に打ち分けるカスティーヨ。
 リベンジに燃える石原は3回,ようやく接近しての左フック,アッパーをヒットするが,もっと手数が欲しいところ。
 6回,ロープを背に左右アッパーをボディに集めるカスティーヨに対し,石原は体ごと押し込んで左ストレート,フックを叩きつける。カスティーヨはローブローで減点されたが,これは少々厳しい減点。
 石原最大の見せ場は7回。接近して石原が放った左アッパー。これは見切ってスリッピングアウェイで殺したカスティーヨだが,直後の右フックが軽く当たり,バランスを崩して前のめりにキャンバスに落ちる。ノックダウンを取ってもいい場面だったが,死角に入ったのかクリストドーロー主審の判定はスリップ。勢いづいた石原は押し込んで左ストレート,フックで攻勢に出るが,カスティーヨも右ストレート,左右フックを連打し,手数で応戦する。
 ここまでは石原も善戦したが,終盤はカスティーヨのペース。8回,カスティーヨはよく見て右ストレート,左右フックを上下に持って行く。左アッパーがアゴを捉えるとわずかに石原がぐらつく場面が見られた。
 9回,カスティーヨのワンツーに次ぐボディへの左アッパーがヒット。10,石原は大きく右目を腫らしながらも反撃を試みるが,カスティーヨは冷静に動きを読んで左右アッパーを上下に打ち分ける。11回にはカスティーヨの大きい左フックがヒット。12回にも必死の形相で攻め込む石原だが,カスティーヨは笑みさえ浮かべる余裕を見せた。

 石原はよく健闘したが,昨年5月に続いてカスティーヨのうまさに屈した。攻勢には出ているものの,肝心の手数が出ないため,逆にカスティーヨに動きを読まれてしまったことが痛かった。攻撃が左強打による顔面攻撃だけでは,やはり読まれてしまうのは当然。せっかくロープに詰めても,単発では効果はない。カスティーヨのガードは中央が開く癖があるので,前半からどんどん左ストレートをボディに打って手数を出すべきだった。
 カスティーヨは相変わらずの試合巧者ぶりを披露した。相手の動きを冷静に読み,ガードが空いているところに巧みに散らすコンビネーションブローが光る。パンチは多彩で,特に今夜は左右フック,アッパーで序盤からボディを連打していたことが効果的だった。大振りや打ち急ぎをすることなく,やや力をセーブしたハイテンポな打ち分けが秀逸である。

採点結果 カスティーヨ 石原
主審:スタンレー・クリストドーロー(南アフリカ) *** ***
副審:セサール・ラモス(プエルトリコ) 116 111
副審:ミカエル・フック(スウェーデン) 116 112
副審:ピニット・プラヤドサブ(タイ) 116 111
参考:MAOMIE 116 113


   ○カスティーヨ:30戦29勝(16KO)1敗
   ●石原:21戦16勝(11KO)4敗1分

   放送:東海テレビ
   解説:川島郭志
   実況:加藤晃

※ 第6ラウンドのローブローによるカステーヨの減点1を含む採点。

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                         2005年6月26日(日)    愛知県体育館
                     東洋太平洋スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦
                     挑戦者(同級1位)    T   K   O     チャンピオン
                ○ ウェート・サクムランクラン    3回2分00秒    菅原雅兼  ●
                        (タイ) 119 1/4 lbs                          (松田) 121 1/2 lbs
                                               菅原雅兼=すがわら・まさかず

 初回からサウスポーのウェートが不敵な表情でじわじわと距離を詰め,長身の菅原が足と左で距離を取る展開。菅原の左ジャブは踏み込みが足りず,ウェートにパリーされる。2回,ウェートの左ストレートで菅原は大きくバランスを崩して後退。ロープを背にした菅原にウェートはすかさずボディ連打を浴びせる。
 そして3回,呆気なく勝負がついた。ウェートは左ストレートをボディに放ってプレッシャーをかける。右フック,左ストレートでロープを背にする菅原。フォローの強烈な右フックがアゴを一閃すれば,菅原はたまらず崩れ落ち,深々とキャンバスに沈む。仰向けに昏倒した菅原のダメージは深く,マクタビッシュ主審はカウント中に試合をストップした。ダウンの際のカウント途中のレフェリーストップのため,この試合はTKOとなる(JBC東京地区試合役員会での確認事項 2005.06.10)。

 菅原は174cmという長身の右ボクサータイプ。左ジャブを突いて,足を使いながらウェートの出方を見る作戦だったと推測するが,上体の動きがなく,正面に立ってまともに強打を浴びる結果となった。ウェートに追い足がないだけに,もう少し左右に動いたり出入りを鋭くするなど,変化をつけるべきだった。威圧感に呑まれたようで,非常に動きが硬かった。
 世界挑戦の経験もあるウェートはサウスポーのハードパンチャー。じわじわと距離を詰め,強打を打ち込む左ファイタータイプである。手数は少ないが,右フックには一発でKOするだけの破壊力がある。左ストレートにも伸びがある。ただし待ちのボクシングで追い足が鈍いため,動き回られると弱そう。

     主審:ブルース・マクタビッシュ(比国),副審(2名ともに不明)
     ○ウェート:66戦62勝(39KO)4敗     ●菅原:29戦22勝(11KO)3敗4分
     放送:東海テレビ     解説:川島郭志     実況:加藤晃

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                          2005年6月28日(火)    タイ国バンコク
                        東洋太平洋フライ級王座決定12回戦
                    東洋太平洋フライ級1位            東洋太平洋フライ級2位 
                ○ ワンミーチョーク・シンワンチャー   判 定    榎本信行  ●
                           (タイ) 112 lbs                       (三迫) 112 lbs

 サウスポー同士の一戦。初回,やや焦り気味に突っかかる榎本に対し,ワンミーチョークは冷静に動きを見極め,左ストレート。さらに榎本の入り際に右フックを巧打する。2回に入って落ち着きを取り戻した榎本は右ストレートをワンミーチョークのボディに。しかし,ワンミーチョークは終盤に攻勢を仕掛け,左右フックを連打する。
 3回後半,打ち合いになり,榎本の左フックがアゴを捉え,ワンミーチョークが腰を落とす場面が見られた。逆に4回終盤にはワンミーチョークが反撃を見せる。榎本をロープに詰め,左右フックの連打を浴びせる。榎本は先に手を出したいところ。
 終盤は冷静なワンミーチョークが主導権を握った。8回,距離を取ると見せて飛び込みざまに右フックをヒットするワンミーチョーク。榎本が打ち気に出るとすかさず引いて距離を取る。終了間際に再び飛び込んで右フックをヒットすると榎本がバランスを崩す場面が見られた。
 榎本最大のピンチは9回。右から左のフックでコーナーに詰まった榎本に攻勢をかけるワンミーチョーク。ここは距離を取って態勢を立て直したが,後半再びワンミーチョークの攻勢。左ストレートに次ぐ右フックの追撃でぐらついてロープを背にする榎本。ワンミーチョークは再び攻勢に出る。
 10回は榎本も右フック,左ストレートで攻勢をかけるが,12回,勝利を確信したワンミーチョークは危険を冒さずに距離を取って逃げ切りの態勢。榎本は負い切れず,終了ゴングを聞いた。

 ワンミーチョークはサウスポーのボクサーファイター。手数はあまり多くはないが,冷静に相手の動きを見極め,左ストレート,右フックをカウンター気味に巧打する。なかなかの試合巧者である。パンチを当てる勘に優れている。チャンスには左右の連打で攻勢に出るが,危険は冒さず,安全運転をする面も見られた。
 敵地で健闘した榎本だが,ワンミーチョークの冷静な試合運びの前に決め手を欠いたことが痛かった。ときおりいい攻撃で追い込みながら,後続打を封じられたことが響いた。敵地ということもあり,序盤からもっと手数を出して攻めていれば変わった展開になったはず。

採点結果 ワンミーチョーク 榎本
主審:フランツ・マルティ(タイ=スイス) 119 110
副審:不明(タイ) 120 109
副審:金谷武明 118 114
参考:MAOMIE 117 114


     ○ワンミーチョーク:25戦19勝(9KO)6敗
     ●榎本:25戦17勝(2KO)5敗3分
     放送:不明
     解説:なし
     実況:不明

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