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【政治】

戸惑う自衛隊員 集団的自衛権 議論を注視

2014年5月25日 07時02分

2004年2月、イラク・サマワの宿営地で整列する陸上自衛隊員。集団的自衛権の行使容認なら、どこまで活動範囲が広がるのか、現役自衛官たちには不安や戸惑いも=岡本宏撮影

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 海外で武力を使って密接な関係にある他国を守る集団的自衛権について、国会では二十八日の衆院予算委員会での集中審議から、本格的な論戦が始まる。憲法九条の歯止めが事実上外れるとしたら、自衛隊の海外での活動範囲はどこまで広がるのか。自衛官たちの胸中にも不安や戸惑いが広がっている。

 陸上自衛隊のある幹部は「あるべき国家として、グレーゾーン(武力攻撃に至らない領域侵害)などの問題を議論し整えるのは、当然の姿だ」と政府の姿勢を評価する。

 ただ「新聞を見ると、賛否両論がはっきりしている。われわれは政治的意見はなかなか言えないが、国民にとって本当に一番いい形を探してほしい」と今後の議論の行方を見守る。

 一方、ある幹部は「安倍晋三首相はいろいろ説明しているが、日本を戦争のできる国にしようとしているだけだ」と指摘。

 安倍首相は集団的自衛権が必要になる事例として「日本人を輸送している米艦船が攻撃を受ける」との想定を挙げた。幹部は「そんなケースが今まであっただろうか? 極端な事例で、今後も考えられない」と切り捨てる。

 集団的自衛権に道を開くのは「対米関係を考えただけ。『国民の生命を守る』という言葉は、口実で使っているだけだ」と批判する。

 自衛隊内部での関心の薄さを危ぶむ声もある。「若い隊員は新聞や雑誌を読まないから、少しやることが増えた、くらいにしか考えていないようだ」と、関東地方の五十代の陸自隊員。

 安倍首相の言動を見ていると近い将来、どこかの国と武力衝突する事態が起きるような気がして不安だという。二十日から自民と与党協議を始めた公明党は、解釈改憲で集団的自衛権を容認することに反対姿勢を強めているが、あまり期待はしていない。

 「戦前、治安維持法などでさんざんひどい目に遭った支持母体の創価学会が危機感を持って意思表示をしても、政党としての公明党がどこまで踏ん張るか…」

 公明の意向で、与党協議は武力攻撃に至らないグレーゾーン事態への対処から議論を始める。自民党は離島に上陸した外国勢力を武力で排除する事態を想定する。陸自幹部の一人はこれにも戸惑いを隠さない。「起きてみないと分からない。事態に即して任務が与えられ、はじめてリアリティーが出てくる」

 また、潜水したまま領海にとどまる潜水艦にはどう対処するのか。海上自衛隊幹部は「追い出そうと、爆弾が当たらないよう外して撃ったとしても、警告と受け取るだろうか」。本格的な戦闘に発展するおそれを不安視している。

(東京新聞)

 

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