ＡＫＢ川栄、入山が切られる！！　握手会にノコギリ男襲撃

　２５日午後５時ごろ、岩手県滝沢市のイベント会場で「刃物を持った男が暴れている」と１１０番があった。岩手県警によると、アイドルグループ「ＡＫＢ４８」のメンバー川栄李奈（１９）、入山杏奈（１８）、男性スタッフ１人が男にノコギリで切りつけられ、病院に搬送された。３人は頭や手などにけがを負ったが、意識はあり命に別条はないという。同県警は同日、殺人未遂の疑いで青森県十和田市三本木、無職梅田悟容疑者（２４）を現行犯逮捕した。

　「キャー」「やめて」−。悲鳴が飛び交い、国民的アイドルグループの握手会が修羅場になった。

　同県警盛岡西署などによると、梅田容疑者は、握手会の会場となった岩手産業文化センターアピオで、１０に分かれたレーンのうち、川栄らがいた第６レーンに設置されたテントに入ったとたん、いきなり長さ約５０センチのノコギリで川栄と入山の頭や手を切りつけた。目撃者によれば、梅田容疑者はノコギリを構え、大声を出して振り回したという。すぐに近くにいた男性スタッフが必死に止めに入ったが、川栄らは血だらけで運ばれたという。男性スタッフも左手にけがを負った。梅田容疑者はその場でスタッフに取り押さえられ、駆け付けた同署員に引き渡された。梅田容疑者は「私がやりました」と容疑を認めているという。

　盛岡西消防署滝沢分室によると、３人は盛岡市内の病院に搬送。ＡＫＢ４８の運営会社「ＡＫＳ」によれば川栄は右手親指の骨折と裂傷、入山は右手小指の骨折や頭の裂傷でそれぞれ縫合手術を受けた。

　関係者などによると、イベントは午後１時からスタート。３３枚目のシングル「ハート・エレキ」と３５枚目のシングル「前しか向かねえ」の購入者を対象にした全国握手会イベント（東北エリア）で４７人のメンバーが参加。１０のレーンにメンバーが分かれ、ファンが希望のレーンで握手ができるイベントだった。川栄と入山はともに第６レーンで、このレーンには、ほかに倉持明日香（２４）、高城亜樹（２２）、大島涼花（１５）が参加していた。

　川栄は「りっちゃん」の愛称で、昨年の選抜総選挙は２５位、今年の総選挙の速報結果は４５位。テレビのバラエティー番組で“おバカキャラ”でブレークした。現在フジテレビ系「バイキング」に水曜レギュラーで出演中。ユーキャンのＣＭで薬膳コーディネーターにも挑戦していた。

　一方の入山は「あんにん」の愛称で親しまれ、昨年の選抜総選挙は３０位、今年の総選挙の速報結果は７７位。上位８０位以内のランキング圏内に入る人気を保つ。初出演で初主演の映画「青鬼」が７月５日に公開を控えている。

　梅田容疑者の母親は２５日、青森県十和田市内の自宅で記者団の取材に応じ「大変なことをしてくれた。なんでこんなことを…。どうやって謝ればいいのかわかりません」と話した。母親によると、梅田容疑者は「口数少ない、おとなしい子」。梅田容疑者からＡＫＢの話を聞いたことはなかった。前日に散歩に出掛けるといって自宅を出たまま連絡がつかず、事件はテレビ局からの電話で知ったという。

　２６日には金沢市内で握手会が予定されており、高橋みなみ、大家志津香、藤江れいならが参加予定。２５日の時点で中止は発表されていないが、関係者によると事件の影響を受け、メンバーの心情を考慮し中止になる可能性もあるという。

　名古屋市港区のポートメッセなごやでは、この日、ＳＫＥ４８が握手会を実施していた。約６０人の全メンバーがファンと交流していたが、事件を受けて午後７時から８時半に予定されていた第７部を中止した。スタッフが事件による中止を伝えたが、メンバーもファンも比較的冷静だったという。今後の握手会をどうするかは未定という。

　過去に、イベントや公演中にファンに襲われた女性歌手やタレントは少なくない。大きなニュースになったのは、昭和の大スターだった美空ひばりさん。１９５７年、劇場公演中に花道に上がってきた１９歳の少女に塩酸をかけられ、顔などにやけどを負った。

　８３年には、歌手松田聖子の沖縄でのコンサートで、客席にいた男がステージに上がり、工具で聖子を殴る事件が起きた。聖子は頭に軽いけがをした。また、「わらべ」で人気だった倉沢淳美はソロ転向後の８４年に札幌のサイン会で男に刃物で切り付けられ、手首にけがを負った。

　女性だけではない。歌手の橋幸夫は６３年、金沢のショーで、客の男に軍刀で切り付けられ、手や腕に２週間の傷を負う事件も起きている。

　ＡＫＢの握手会に参加している熱烈なファンによると、ファンのメンバーに対する暴言や罵声により、そのメンバーの握手会が中止になることはあったという。また、このファンは本紙の取材に「（容疑者は）持ち物チェックが甘いことを把握した上で、刃物を持ち込んだのではないか」とも話した。

　ＡＫＢ４８の所属レコード会社で握手会を主催したキングレコードはこの日、事件のあった当日の警備体制を文書で説明した。それによると、制服警備員、会場整理スタッフあわせて約１００人が警備にあたり、ファンには握手前に両手を広げてもらうチェックを行っていたという。

　同社は「このたびの卑劣な犯人の行為に怒りを覚えるとともに、全国のＡＫＢ４８ファンの方々にご心配、ご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げます」としている。