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<中国機接近>「予測不能」な中国軍 防衛省、危機感強める

毎日新聞 5月25日(日)22時10分配信

 24日に起きた中国軍機による自衛隊機への異常接近に、日本政府は抗議の姿勢を明確に打ち出した。重大な事態を招きかねない「予測不能」な中国軍の行動に、防衛省・自衛隊は危機感を強める。沖縄県・尖閣諸島の領有権問題などを巡り、東シナ海での日中の緊張は高まりそうだ。【斎藤良太、本多健】

【図】日本の防空識別圏と中国の防空識別圏

 防衛関係者らは、異常接近を受けた自衛隊機が中露海軍の合同演習を監視する目的で飛行していたことに注目する。演習は日本と中国の防空識別圏が重なる海域で行われていた。防衛省幹部は「外交問題となっている海域での演習は、日本を強く意識していたはずだ」と指摘。自衛隊機に最接近したときの距離が30メートルだったことについては「常識ではありえない距離。挑発の意図がうかがえる」と話す。自衛隊幹部は「突然、予想外の行動に出るところはいかにも中国軍らしい」と感想を語った。

 自衛隊幹部らが警戒感を抱くのは、2012年9月に日本が尖閣諸島を国有化して以降、中国側がたびたび「軍事的常識」では考えにくい行動に出ていることだ。13年1月には、海軍フリゲート艦が海自護衛艦などに射撃用の火器管制レーダーを照射し、衝撃を与えた。

 空で起きるトラブルは、瞬時の判断が事態を大きく左右する。海上より深刻化する可能性が高いともいえる。その認識を共有する日中の防衛当局は、緊急事態に対応するホットラインの構築を検討してきた。しかし近年の緊張の高まりから検討は中断。突発的事態を瀬戸際で回避する仕組みは整っていない。

 一方で中国海軍は4月、日米を含む21カ国の軍事的行動基準を改定する合意に参加した。合意事項には「安全な航行間隔の維持や現場での相互連絡の徹底」などを含む。法的拘束力はないが、空軍を含む包括的な連絡システムへと発展することが期待された。

 今回の異常接近は、こうした協調の動きにも逆行するとの声が出ている。「米ソ冷戦期にさえ、不測の事態を避ける連絡の仕組みがあった。中国軍にはリスク管理という発想が乏しいのか」と自衛隊幹部は首をかしげる。別の幹部は「異常接近を受けた自衛隊機は電波傍受などに目的を特化した航空機で、どこでどんな任務についているかが公にされることはまずない。政府があえてトラブルを公表したのは、中国機の行動がいかに異常にみえるかを考慮してのことだろう」と語った。【本多健、斎藤良太】

最終更新:5月26日(月)1時36分

毎日新聞

 

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