1か月「SNS断ち」してわかったうれしい効果

いまや睡眠中以外は、スマホやPCを見ていない時間のほうが少ないわたしたちの生活。なかでもFacebookやLINEといったSNSの広がりは、つながる楽しさを教えてくれた一方で、ストレスを感じることも増えています

そんな「つながり疲れ」に悩んでしまったら? 書籍『デジタルデトックスのすすめ 「つながり疲れ」を感じたら読む本』の著者であり、兄弟サイト「ライフハッカー[日本版]」の編集長でもある米田智彦さんにお話をうかがいました。


時には、「いいこと」ばかりのSNSが息苦しくなる

――著書のなかでは、SNSによる「つながり疲れ」は特に女性に深刻、とありました。それはなぜなんでしょう。

ネット依存症」の専門医の先生にうかがった話ですが、以前はプログラマーや、ゲーム依存症の若年層が、依存症の患者の中心だったそうです。それが、ここ数年でスマホが広がってからは、SNSがきっかけで心身の調子を崩す人が増えてきた。同調性、協調性があって空気を読む、というのは日本を含めた東アジア人の特徴なんですが、特に女性はコミュニケーション能力が高いぶん、SNSにハマりやすいのだそうです。

――女性は、SNSの何に「疲れる」のでしょうか。

SNS、特にFacebookはいいことしかアップしないでしょう? だからオンライン上ではみんながイケていて楽しそうに見える。SNSと距離感を持って、ほどよく発信できている人はいいのです。でも、他人のリア充ぶりにコンプレックスを感じて落ち込んだり、お互いに監視し合うムードになったりと、SNSに振り回されている人も多いのかなと感じます。

――何気ない書き込みから人間関係がこじれる、といった話もSNSではよく聞きます。

これは脳の働きも研究している心理学の教授にうかがったことですが、人類史上これだけ書き言葉が氾濫している時代はないと。書き言葉は、なかったことにできないし、人によって受け取り方が違うので、誤解される可能性もある。何気なく書いた「今日は疲れた」という言葉から、「私と一緒にいたからでは?」などと気を悪くする人がいるかもしれない。それで人間関係がこじれるのでは? と心配するだけでも、ストレスはたまります。

つながりたくて始めたはずのSNS。なのに、気づけば周囲の書き込みに「いいね!」を義務的に押していたり、「既読スルー」が気になったりと、振り回されるようになったら要注意かも。次は、そんな状態から抜け出すために米田さんが提案している「デジタルデトックス」についてうかがってみました。


感動をひとりでかみしめる時間も大切

1か月「SNS断ち」してわかったうれしい効果


――米田さんは、デジタルからいったん距離を置く「デジタルデトックス」をすすめられているわけですが、ご自身はどんなふうに「デトックス(毒出し)」したのでしょうか。

当時は毎日12時間近くネット接続している生活でしたが、思い切って1か月間SNS断ちをしました。メールは1日朝夕2回のみ。電話は使えるようにして、あとは仕事で使うFacebookのメッセンジャーアプリだけを残し、SNSのアプリは全部削除。最初のうちはSNS経由で仕事の連絡が来ているかもしれないと心配になりましたが、用がある人は電話やメールをくれますし、むしろ気持ちがラクになりました

――デトックスして考え方は変わりましたか?

たとえば、素晴らしい光景、感動する場面に出会ったとき、それを投稿して誰かとシェアしなくてもいいんじゃないか、という気持ちになりました。ひとりでかみしめる時間も大切。コミュニケーションツールを否定する気はありませんが、実際に人に会ったり五感を使ったり、という価値をもっと見直すべきだなと。


スマホを置いて旅に出よう!
――では、カフェグローブの読者におすすめのデジタルデトックスの方法は?

そうですね、僕がみなさんにおすすめするとしたら、「スマホを置いて週末旅に出よう」でしょうか。

――切るのではなくて、置いて旅に出る......。それはハードルが高そうです。

スマホがないと、連絡が来ているんじゃないか、地図アプリなしに目的地にたどりつかないんじゃないかと不安になると思います。でも、意外と連絡なんて来ないし、道に迷ったら人に聞けばいいんです。入る店も事前に調べるんじゃなく、タクシーの運転手さんにおいしい店を聞けばいい。偶然性を楽しむ旅もいいものです。スマホがなくても大丈夫、と自信がつけば、デジタルとの距離感もわかり、SNSとも上手に関われるようになると思いますよ。

「常時つながっている」というデジタルの快適さや安心感にあえて「NO」とい言うことで、いま目の前にある人やものに集中する。下調べをせずに、ハプニングも含めて楽しんでみる。そんな時間を持つことで、自分にとって本当に必要なものが見えてくるかもしれません。

米田智彦(よねだ・ともひこ)

編集者、ディレクター、文筆家。「ライフハッカー[日本版]」編集長。2011年、約1年間にわたり定住所を持たずに旅するように暮らす生活実験「ノマド・トーキョー」を敢行。著書に『僕らの時代のライフデザイン 自由でしなやかな働き方・暮らし方』(ダイヤモンド社)、『デジタルデトックスのすすめ「つながり疲れ」を感じたら読む本』(PHP研究所)等がある。

デジタルデトックスのすすめ 「つながり疲れ」を感じたら読む本
著者:米田智彦
出版社:PHP研究所
価格:1,404円(税込)

lonely girl rides on the train via Shutterstock
Woman with umbrella via Shutterstock

(取材・文/ミヤモトヒロミcafeglobe

カテゴリー:その他

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