情報端末は、手のひらで使うスマートフォン(スマホ)から、メガネ型や腕時計型など身に着けるウエアラブル機器へと進化し始めている。近い未来、人体とより密接な装置となり、五感や筋力など人間の能力を大きく引き上げる可能性を秘めるという。人間と機械の関わり方はどのように変化していくのか。米グーグルの日本事業を統括した村上憲郎氏に未来予想図を聞いた。
メガネ型の情報端末やスマートウォッチなど身に着けるウエアラブル端末に注目が高まっています。
村上:グーグル(日本法人)の会長を務めると、インターネットに接続した情報端末を首の後ろに埋め込まれるので、世の中の情報が自然に集まってきます。というのは冗談ですが、いずれ、情報端末を人体に埋め込む時代がやってくるでしょう。
ウエアラブル端末は常に身体に接触しているので、しばらくは、装着者のバイタルサイン(生体情報)を収集する機器として発達するでしょう。健康状態を把握するのに利用する機器ですね。
常時インターネットに接続している機器で、人と接触しているものを“ウエアラブル”と定義するならば、ネット接続したクルマ「コネクティッド・カー」もウエアラブル機器と解釈できます。将来的には、あらゆる家庭機器をネットでつないだスマートハウスも、ウエアラブルの範疇に入ってくると思われます。
サイボーグ化で強化される人体
ウエアラブルが進化すると次はどのような技術に発展していくのでしょうか。
村上:ウエアラブルの次は情報端末を身体に埋め込む「インプランタブル」技術に進むでしょう。サイボーグ化の技術ですね。ロボットとサイボーグの違いを知っていますか。ロボットは人間が持つある機能を機械化して、人間の代わりに働く装置です。
一方、サイボーグは生身の人体を機械化する技術。米グーグルはこの分野に興味を示しています。その証拠に米国の発明家、レイ・カーツワイル氏が2年前にグーグルに入社してサイボーグの研究をしています。
グーグルグラスはグーグルコンタクトレンズに進化し、最後はグーグル目玉になるのではないでしょうか。つまり、目玉の形状をした情報端末を、本物の目と入れ替える人が現れるということです。