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核のごみ居座る六ケ所村 再処理工場未完成、プール満杯 核燃サイクル施設

(05/25 10:47、05/25 11:08 更新)

(上)再処理工場の中央制御室。ほとんどの工程が遠隔操作で行われる(下)ガラス越しに見た、核のごみの一時貯蔵施設。直径約50センチのオレンジ色のフタの下に縦に並べる形で9本ずつガラス固化体が保管されている=いずれも22日、青森県六ケ所村

(上)再処理工場の中央制御室。ほとんどの工程が遠隔操作で行われる(下)ガラス越しに見た、核のごみの一時貯蔵施設。直径約50センチのオレンジ色のフタの下に縦に並べる形で9本ずつガラス固化体が保管されている=いずれも22日、青森県六ケ所村

 原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理工場や「核のごみ」高レベル放射性廃棄物の一時的な貯蔵庫…。今月、青森県六ケ所村の日本原燃の「核燃料サイクル」施設群に取材で入った。国は4月、再処理を推進し、核のごみ処分で国が前面に立つと明記したエネルギー基本計画を決めた。しかし再処理工場は完成が20回も延期されて今も動かず、核のごみの最終処分地も見つからない。国策のサイクルがいっこうに回らない中で、使用済み燃料や核のごみは六ケ所村にたまる一方だ。

 函館市の南東約100キロ。原野の中に高さ150メートルの排気筒がそびえ、窓のない無機質な建物が並ぶ。敷地面積は札幌・モエレ沼公園の4倍、740ヘクタールある。

 「許可した場所以外はカメラを向けないでください」。案内する担当者が念を押す。核兵器の原料にもなるプルトニウムを扱うだけにほとんどの施設が撮影禁止で見学も不可だ。監視カメラが至るところにある。

 ■まるで軍事要塞

 中核施設の再処理工場について説明を受ける。当初は1997年完成予定だった。現在の予定は今年の10月。建設費は当初の3倍の2兆2千億円に膨らんだ。

 むき出しにした使用済み燃料の切断や溶融など作業工程の大半は遠隔操作で行う。搬送は地下のトンネルを使う。南北約1キロ、東西800メートルの敷地の地下に北海道新幹線札幌―東京間より長い総延長1300キロのトンネルや配管が張り巡らされているという。まるで巨大な軍事要塞(ようさい)のようだ。

 2006年に実物の使用済み燃料を使う試運転を始めた。今年1月には原子力規制委員会に稼働に向けた審査を申請。日本原燃の赤坂猛理事(60)は「技術的には完成している」と強調するが、規制委の審査をクリアできるかは不透明だ。

 ■眠る「使用済み」

 核燃サイクルの行き詰まりを象徴するのが、再処理工場に隣接する使用済み燃料プールだ。横27メートル、縦11メートル、深さ12メートルのプールが三つ。北海道電力泊原発(後志管内泊村)のプールの3倍の3千トン、国内最大の貯蔵容量を誇るが既にその98%が埋まっている。

 使用済み燃料は99年から受け入れ始めた。再処理工場が動かないのでプールから取り出せない。使用済み燃料は各地の原発のプールで1年、再処理工場のプールで3年の計4年冷却し再処理する予定だったが、今は「平均して13年ぐらい寝ている」(赤坂理事)。

 ■最終地決まらず

 海外で再処理され返還された核のごみも六ケ所村に集まる。放射能の強い廃液をガラスと混ぜ固めたガラス固化体1442本が一時貯蔵庫で保管され、このほか132本を受け入れ済みだ。国は、核のごみを「青森県以外の場所」(資源エネルギー庁幹部)で地下300メートルより深くに埋める方針だ。処分技術の研究は宗谷管内幌延町で行われているが、実際に処分する場所はまだ全国どこにもない。(報道センター 関口裕士)

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