<AKB48襲撃>けがの2人縫合手術 意識はしっかり
毎日新聞 5月26日(月)1時1分配信
◇AKB48襲撃
数百人のファンたちが詰めかけたAKB48の握手会会場に悲鳴が響き渡った。岩手県滝沢市砂込の岩手産業文化センター「アピオ」。握手の列に並んでいた男が突然ノコギリを振り回し、メンバーら3人が病院に運ばれた。「こんな事件が起こって悲しい」。楽しいはずのイベントが暗転し、ファンはメンバーらの回復を祈った。【浅野孝仁、春増翔太、二村祐士朗、石灘早紀】
会場にいたファンらによると、メンバーは横に並べた10張りのテントに分散。テント内では縦向きに置いた長机(長さ約3メートル)を挟む形でメンバーが立ち、握手に応じていた。スタッフ計約100人が警備にあたり、メンバーの近くにはスタッフが2人程度いたという。
ファンは目当てのメンバーがいるテントの前にそれぞれ並んでいた。各テントの外にはスタッフ1人が立ち、テントに入る前に両手を広げさせて危険物を持っている人がいないかチェックしていたが、バッグの中などは調べなかったという。
事件が起きたのは向かって左から6列目のテントで、けがをした川栄李奈(かわえいりな)さん(19)と入山杏奈(いりやまあんな)さん(18)らメンバー5人が入っていた。左隣の列に並んでいた滝沢市巣子の会社員、松本裕太郎さん(24)は「6列目のテントの中から女性の声で『キャー』『やめて』という声が聞こえた。その直後、一斉にテントが閉じられ、騒然となった」と振り返った。
岩手県内に住む高校3年の女子生徒(17)は「AKBが大好きで握手会や公演に行っている。自分の住んでいる岩手でこのような事件が起こってしまい悲しい。けがをしたメンバーやスタッフが心配。早く回復してほしい」と願った。
メンバー2人が運び込まれた盛岡市内の病院で取材に応じた湯浅洋・AKB48劇場支配人(51)によると、2人は切り傷の縫合手術を受けた。しっかりと会話でき、手術直前には「握手会はどうなるんだろう」と心配していたという。湯浅支配人は「ファンに心配をかけて申し訳ない」と話した。
一方、スタッフらに取り押さえられ、殺人未遂容疑で逮捕された青森県十和田市三本木の無職、梅田悟容疑者(24)は岩手県警盛岡西署の調べで、「やったのか」との質問に「はい」と答え、容疑を認めたという。
母親によると、一家は梅田容疑者と母親、その兄の3人暮らし。梅田容疑者は三沢市内の高校へ進学した後、通信制の高校に移り、卒業後は十和田市内や大阪府内でアルバイトなどを続けていた。昨年12月、十和田市内のアルバイトを辞めた後は無職で、ひきこもりのような状態が続いた時期もあったという。
梅田容疑者は24日早朝に散歩に出かけ、いったん帰宅した後、再び出かけたまま帰ってこなかったという。母親が携帯電話に何度も電話したが、出なかった。
母親は「大変なことをした。なぜこんなことになったのか。(被害者に)どう謝っていいのかわからない」と声を落とした。梅田容疑者がAKB48のファンかどうかは分からないという。
最終更新:5月26日(月)1時54分