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静岡茶、しぼむ市場 県内一茶、今年も大幅減産か

(2014/5/25 08:20)

 県内の一番茶生産はほぼ終了した。今年の生産量は、過去最低だった前年をやや上回る1万2千トン前後にとどまる見通しだ。2年連続の大幅減産になれば取引価格が高くなりそうなものだが、買い手に品薄感はなく、取引も盛り上がりを欠いた。「消費を増やすか、生産を減らすかだ」とぼやく茶業関係者。静岡茶を取り巻く市場の縮小がはっきりしてきた。
 取引が終盤に差し掛かった5月中旬の静岡茶市場(静岡市葵区)。「生産が少ない上に、去年よりいいお茶ができて割安なのに、ここまで売れないのか」。同区の生産者は、なかなか買い手がつかない見本茶の盆を前にため息をついた。
 緑茶は、生葉を産地の茶工場で蒸してもんだ「荒茶」という流通形態に製茶してから取引される。県内産荒茶の約1割を取り扱う同市場の一番茶の荒茶1キロ当たりの平均単価(累計)は、前年より10%以上安い2100円台で終局した。竹沢製茶(同区)の取引担当者は「消費者が『新茶』にそれほどこだわらなくなった。静岡以外の産地が力を付け、価格競争は激しくなっている」とみている。
 製茶問屋など買い手は、顧客から注文を受けた価格帯の必要量のみ仕入れる買い方を徹底した。消費税増税前の駆け込み需要の反動で4月の荷動きが鈍かったことも問屋の心理を冷え込ませた。
 ただ、問屋も手をこまねいているばかりではない。茗広茶業(同区)の長瀬隆社長は「新茶期しか手に入らない品質のものは思い切って買った」と反転攻勢の機をうかがう。石川四方蔵商店(同区)の石川周次専務は「従来の顧客の注文が少ない今年こそ新規開拓のチャンスととらえ、全国に営業を掛けたい」と腕まくりする。
 JA静岡経済連は「産地や茶加工場によって生産量、取引価格の差が大きかった」と分析する。特に終盤は取引価格が低迷し、高値相場が期待できる八十八夜(今年は5月2日)向けに出荷できた早場所産地と、相場が下がってから盛期を迎えた遅場所産地で明暗が分かれた。
 県内産の二番茶は6月初旬に生産が始まる見通し。軟調に終わった一番茶相場を受け、JA静岡市の職員は「中山間地では採算が合わず、二番茶をやめる工場があるかもしれない」と懸念する。

生産やめる農家急増 中山間地
 今シーズンの県内一番茶取引は、中山間地など生育が遅い産地ほど安値での取引を強いられた。グリーンティー大川茶農業協同組合(静岡市葵区)の内野督勝組合長(66)は「肥料代などを賄うために工賃を削っている。生産者は完全にタダ働きだ」と悲鳴を上げる。
 傾斜地の茶畑が多い中山間地では、機械化などによるコスト削減が難しい。2010年の凍霜害以降、採算性の低下や高齢化で茶畑を手放す農家が急増。農業生産法人「ネクト」(同区)は2年前から、清沢地区の共同工場2カ所の荒茶製造を段階的に引き継ぎ、自社工場の稼働率を向上させた。石原克則販売部長は「ことしは、これまで個人で製茶していた農家から、生葉の持ち込みがあった」と話した。

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