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【秘密保護法 言わねばならないこと】

(23)国際原則から逸脱 元米政府高官 モートン・ハルペリン氏

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 私はジョンソン政権からオバマ政権まで、米政府の高官やアドバイザーとして日米関係に関わってきた。これまで秘密を保護する法律が日本にないことを理由に、米政府が日本との協議や情報の共有に及び腰になったという事実はない。米軍関係者には日本との軍事的な協力を高めたいと思っている人はいると思うが、そういう人は日本の憲法への十分な理解に欠けている。

 南アフリカは日本と同じように一つの政党が大きな力を持っている。しかし、政府が提案した秘密を保護する法律は二、三年議論を重ね、修正して成立した。私が策定に関わり、昨年六月、南アで公表した国の安全保障と国民の「知る権利」に関する国際原則(ツワネ原則)について、南アの高官たちは話し合いの場に参加し、私たちと議論した。できあがった法律は完璧ではなかったが、プロセス自体は民主社会がつくったものとして適切だった。

 しかし、日本政府はきちんとした手続きを踏まず、国会で急いで特定秘密保護法を制定させた。ツワネ原則は国の安全保障の秘密を保持することと国民の知る権利のバランスを考えたもので、秘密になる情報の明確化や内部告発者の保護などを求めている。日本の秘密保護法は多くの点でこの原則を逸脱している。

 ツワネ原則は、いろんな民主国家で実際に行われているものを踏まえた。国際的な裁判所の判断も含まれている。拘束力のある国際法ではないが、民主的な政府の国であれば原則からの逸脱は許されない。

 <モートン・ハルペリン> 1938年生まれ。米政治学者。沖縄返還時の核密約に関与。クリントン政権で大統領特別補佐官を務めた。

 

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