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政治
【歴史戦 第2部 慰安婦問題の原点(5)前半】「日本だけが悪」 周到な演出…平成4年「アジア連帯会議」
「元慰安婦に(シナリオ通りに)言わせるのは大変なのよね」
日本からの参加者がこう話すのを耳にしていた舘は、あの部屋で見たのは「元慰安婦女性たちの振り付けだ」と確信した。
この日の午前中の会議は紛糾を極めた。各国の代表が発表に立った際のことだった。
「私たちは韓国の女性と違って、優しくて従順なので日本の兵隊さんにかわいがってもらい、遠足にも一緒にいきました。だから韓国の強い姿勢とは違う」
台湾代表がこう主張し、韓国側が要求する個人補償を求めない考えを表明すると、激しいヤジが飛んだ。声を荒らげて怒る人、議長席に詰め寄る人などで会場は騒然となった。
続いて、インドに住むタイ人女性が「日本軍さえたたけばいいのか。インドに来た英国兵はもっと悪いことをしたのに」と泣きながら訴えると、日本語の怒鳴り声が会場に響いた。
「黙りなさい。余計なことをいうな!」
舘はこのときの様子を「日本だけが悪いというストーリーを作り上げていた」と述懐する。
会議では、慰安婦問題のためのアジア連帯を結成し、今後の連帯行動を進めることが決まった。さらに、日本に対し(1)歴史認識を改める(2)謝罪する(3)元慰安婦に賠償金を支払う(4)再発防止のための教育を行う-などを求めることで一致したという。
日本からの参加者は帰国後、日本政府に事実の調査と個人補償を要請する活動を展開した。舘は、このときの会議の決議が「河野談話の基となったことを疑う余地はない」と断言する。(敬称略、肩書は当時)
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