2014-05-24 鍛えてますから、夏
親のまなざしの重さ
今日は、ペアレントトレーニングの講演会へ行ってきた。
講師は、立正大学の中田洋二郎先生。
ペアレントトレーニングは……本で読んでいて、わかったつもりになっていたんだけど、実際のケースを解読しながら、詳細にやるべきことを説明されると、シンプルだけど、難しいなぁと。
講演で言われた、ひとつのポイントは「行動をどう見ていくか」。
最初に、「子どもに続けてほしい行動」、「減らしたい行動」、「止めたい行動」を書き出してみるんだけど、その行動はどういう状況で起きるのか、どういう原理で起きるのか、それはどういう意味なのか。見極めて、行動の意味を理解してから、さて、ほめるなり、止めるなり、無視するなり、罰するなり。やっていくんだけど、その勘所が難しいなぁと。評価違いをしてしまうケースなどを聞くと、うーーんと。
もうひとつのポイントは、「本当に“ほめる”ってことはなにか?」
「ペアトレは、良くほめることから」と言われるんだけど、どこをほめるのか。どうほめるのか。どのタイミングでほめるのか。直接言うのか、間接的に伝えるのか。NGなほめ方もあって、例えば「今日はいつもと違って上手にできたね」というのは×。「いつもはできてない」と責められたように聞こえるから。って難しいぃいい。分岐点が多くて、自分の選択をどう評価したらいいのやら。
あーー、うちの子の場合はどうなんでしょう。先生、私のそばについていて、笛吹いてください。私がNGなこと言ったら!
などと妄想をめぐらしつつ、実践するのはなかなか大変だよなと思った。親の言葉がけと態度で子どもが変わる。というのは、つまり、子どもらはお前次第だ! って言われてることで、怖くなったりもする。頭をつかって、表情を作って。淡々とやるのが基本だとしても、怒る時ってのは、「ゴラァアア、止めろ」と瞬間、キレる方が多いじゃない。しかも、毎日抑えに抑えていたら、怒りが爆発しちゃうでしょ。
止められないよね、親も人間だもん。
なんだが、講演を締めくくる最後の一言で、ホッとした。
「全部やろうとしたら、親がおかしくなる。だから、ひとつだけでもやってください。いつもできなくてもいいですから。ひとつできれば、他で鬼ババアになっても大丈夫です」
「家庭では、どういう風に子どもにかかわっていけるのか? 親次第で子どもは変わるよ!」
という内容の講演を聞くと、どこからか「こんな難しいこと、私はできない、無理無理」という尻込みする気持ちがわいてくる。やり方の難易度よりは、それを厳格に徹底的にやらねばならぬ。みたいな観念が言われてなくても湧いてきて、とてもできないなぁと嘆息。
自閉症スペクトラムの子らは一つの観念が入ると抜けにくいが、親にも、子どもに似た特性があるんだろうね。どうしてもウジウジした気持ちがわいてきてしまうんだけど。
今日は、さすが、子どもらの心を読んで、言葉かけ方を教える専門家だなと思った。
あんま、無理しなくてもいいらしいですよ、ペアトレも。
講演の中で出て、ひとつだけ、これなら、出来るなと思ったこと。
「おはよう」と言われたら目を見て「おはよう」と返す。その瞬間だけは必ず、子どもを見て応える。
「ただいま」と帰ってきたら、「おかえり」と声だけで済まさず、その子の顔を見て応える。
これも「ほめる」と同じなんだってのは驚いた。子どもの話を聞くのも、子どもの問いかけに答えるのも、「ほめる」と同じ効果がある。要は「あなたのことをしっかり見ている」というサインをうまく送るってことなんだろう。また、ほめるときは、ほめるだけ。ごちゃごちゃ後付けで言わずに、シンプルに。
子どもはひとつでもいいことがあると、そこを手掛かりにして、変わるし、伸びていくからね。それがなんなのか。見極めるのが難しいんだけど。でもね、「見てるよ!」ってサインぐらいは、明日からでも送れそうじゃないかなぁ。