【バンコク=京塚環】国軍のクーデターが起きたタイで、全権を掌握した「国家平和秩序評議会(NCPO)」は24日、上院廃止を発表した。下院はすでに解散しており、議会の機能がすべて失われた。NCPOは議会に代わり新憲法起草のための「国民会議」を設置する見通し。一方で国内統制も強め、軍の強権姿勢が鮮明になった。
首相権限を持つプラユットNCPO議長(陸軍司令官)のもと、前上院議員など400人からなる国民会議を創設。新憲法を制定し、総選挙への準備を進める。
国軍は治安維持を目的として統制を強めている。24日には有識者や地元紙記者など新たに37人に出頭を命令。タクシン元首相派の人物が多いとされ、出頭命令の対象者は計192人となった。
国軍によるとすでに120人超が応じたが、出頭を拒んでいるタクシン派のチャトゥロン前教育相ら元閣僚2人には、金融機関に対し銀行口座の凍結を命じた。出頭しない場合は最大2年間の拘束などを科すという。
NCPOは国民を混乱させる恐れがあるとして、司法機関や独立機関に対し、政治情勢に関する意見表明を禁じた。
地元メディアは、出頭命令の出ていないタクシン氏の長男が同日、北部のチェンマイ国際空港で拘束されたと報じた。ただ軍報道官はこの情報を否定した。
一方でクーデターへの反発も強まっている。戒厳令下の同国では5人以上の政治集会は禁止だが、バンコク中心部に近い戦勝記念塔付近では24日、約500人が集結。「クーデターは要らない」と書かれた横断幕を掲げ、兵士に抗議した。
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