明石海峡大橋、大渋滞52キロのなぜ…背景に「値下げ」「JCT構造」
神戸市と淡路島を結ぶ明石海峡大橋を含む神戸淡路鳴門自動車道でゴールデンウイーク(GW)中の今月4日、最長52キロの渋滞が発生し、大橋の通行量も前日の3日に平成10年の供用開始以来2番目となる約9万3千台を記録した。
大橋では普段、渋滞がほとんどみられないが、今回は通行料金の値下げやGWの日程、他の高速道路などとの接続構造が絡み合い、大渋滞につながったようだ。(三宅令、藤崎真生)
本州四国連絡高速道路によると、4日は上り線の舞子トンネル(神戸市垂水区)を先頭に、西淡三原インターチェンジ(IC、兵庫県南あわじ市)付近まで長い車列ができた。
神戸淡路鳴門道で50キロ以上の渋滞発生は3回目。21年3月に始まった高速道路の「休日上限千円」の割引制度実施中の同年5月5日が68キロ、割引制度と無料化実験の終了(23年6月)前の駆け込み利用とみられる同年5月4日が57キロとそれぞれ渋滞した。
また、大橋のGW中の交通量は、前年比4%増の約64万5千台。3日の通行量は前年ピーク(5月5日)より14%増加した。
■値下げ効果?
渋滞要因の一つとされるのは、通行料の値下げだ。
今年4月から大橋の自動料金収受システム(ETC)による通行料が値下げ。垂水IC−淡路IC(淡路市)間はETC利用の普通車は900円で、これまでに比べ710〜150円安くなった。過去2回の大渋滞も料金の変動時期に起きており、通行料は最大の関心事といえる。
さらに、大橋と本州の主要道をつなぐ垂水ジャンクション(JCT)の構造も渋滞を誘発。兵庫県警交通規制課によると、垂水JCTは、淡路島方面から本州に入る際、山陽自動車道方面と神戸・大阪方面、姫路方面、一般道それぞれに向かう道路と接続する。
最も通行量が多い神戸・大阪方面と姫路方面、一般道それぞれに向かう車線は左側のレーンとなり、通行量が増すと車が集中して渋滞につながるという。
■淡路島「一人勝ち」
加えて、兵庫県淡路県民局の担当者が「近畿のナンバープレートの車が目立った」と話すように、GWが前半と後半で二分されたことによる「近場志向」も影響。「淡路島名誉大使」となった桂文枝さんが淡路島をPRするCMが4月から放送され、淡路島への関心が高まったことも後押ししたようだ。
実際、GW期間中の淡路島の観光施設は軒並み人気を集め、国営明石海峡公園(淡路市)は前年比約1・7倍の約9万5800人が訪れ、同市の観光施設「あわじ花さじき」は4月の入場者数が約9万4千人で月別では10年春の開業以来、過去最高を記録した。
一方で、瀬戸中央自動車道など本州と四国間の通行量は前年比5%減。淡路島と徳島県を結ぶ大鳴門橋の通行量も2%減少した。淡路島へ向かった車だけが増えたことになり、今年のGWは車の通行量で見る限り、淡路島の「一人勝ち」と言えそうだ。