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■野中広務・元自民党幹事長

 今ほど、私の人生を通じて憲法が問題になった時期はない。それだけに憲法は十二分に検討されないといけない。憲法は解釈で決定すべきものではない。総理は自分の都合のいい答えを出す人を有識者として、懇談会を設けて答申を得た。総理が記者会見で説明した二つの図面は矛盾に満ちている。個別的自衛権でいける。安倍さんは「みなさんの子供や親を守らないといけない」「国民の命と暮らしを守る」と情緒的にいったが、攻撃したら攻撃される。過去の戦争は多くの犠牲者を出して負けた。来年は戦後70年。敵の攻撃を受けない、犠牲を出さないでやってきた。憲法に簡単に触れてもらいたくない。

 政権が、中国や韓国、北朝鮮の近くて遠い国との関係改善の先頭に立たないと日本の平和はない。想像以上に人口の減少、特に地方の減少が深刻になっている。そのときに集団的自衛権の行使容認で自衛隊という若い人たちが戦闘地に出て行って死ぬ。若い人たちが死ぬ。自衛隊志願者がいなくなる。そうなったら徴兵制が出てくる。戦争に参加したわずかな生き残りの私たちは、大変な思いをした。それ以上の犠牲者が出てくる可能性を考えてもらわないと困る。(TBSの番組収録で)