日米首脳会談:「尖閣に安保適用」…米大統領が明言

毎日新聞 2014年04月24日 13時17分(最終更新 04月24日 17時42分)

共同記者会見をする安倍首相(右)とオバマ米大統領=東京・元赤坂の迎賓館で2014年4月24日午後0時45分(代表撮影)
共同記者会見をする安倍首相(右)とオバマ米大統領=東京・元赤坂の迎賓館で2014年4月24日午後0時45分(代表撮影)

 安倍晋三首相は24日午前、国賓として来日中のオバマ米大統領と東京・元赤坂の迎賓館で会談した。首相は「自由、民主主義、基本的人権といった価値と戦略的利益を共有する日米同盟関係は、アジア太平洋地域の平和と安定の礎としてかけがえがない」と表明。両首脳は同地域で日米同盟が主導的役割を果たすことを確認した。オバマ氏は会談後の共同記者会見で、沖縄県・尖閣諸島が「日米安全保障条約5条の適用範囲にある」と米大統領として初めて明言した。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉については、両首脳は早期妥結に向けて同日午後も日米の閣僚級協議を継続することで一致した。

 日米安保条約5条は日本の施政下にある領域での武力攻撃に対し、米国の対日防衛義務を定めている。オバマ氏が尖閣への同条適用を明言したことは、海洋進出を強める中国をけん制する狙いがある。

 首相は会談で、オバマ政権のアジア太平洋地域への「リバランス(再均衡)」政策を評価した。オバマ氏は「日米の同盟関係は両国だけでなく、アジア太平洋地域全体の安全保障の基礎だ」と述べた。

 首相は安倍政権が掲げる「積極的平和主義」の一環として、集団的自衛権の行使容認に向けた取り組みを説明し、オバマ氏は「歓迎し、支持する」と表明した。両首脳は中国の海洋進出を念頭に「力による一方的な現状変更の試み、海洋権益の主張の試みに反対する」との立場を確認した。

 両首脳は、TPPの日米協議を続けるため、記者会見に合わせた共同声明の発表を見送った。共同声明には、尖閣に関する米側の防衛義務を明記する方向だ。

 共同声明では「東シナ海および南シナ海での緊張を高める最近の行動を踏まえ、地域間の信頼醸成の確立を強く働きかける」と中国へのけん制を強め、韓国、インド、オーストラリアに加え、東南アジア諸国連合(ASEAN)との連携を強化する方針も示す。

 日中関係を巡っては、オバマ氏は会見で「(対立が)エスカレートし続けるのは正しくない。信頼醸成措置を講じるべきだ」と述べ、首相に関係改善への努力を促した。

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