【堂廻目眩】世界のふしぎな奇書・実験小説まとめ【戸惑面喰】
ぼくがいままでに出会った奇書・実験小説を(独断と偏見で)まとめてみます。ふつうの読書に飽きた方は、ゆる~い気持ちでのぞいてみてください。【日本文学篇】もあわせてどうぞ。
更新日: 2014年01月11日
ryo_ideaさん
ぼくがいままでに出会った奇書・実験小説を(独断と偏見で)まとめてみます。ふつうの読書に飽きた方は、ゆる~い気持ちでのぞいてみてください。【日本文学篇】もあわせてどうぞ。
更新日: 2014年01月11日
ryo_ideaさん
■目次
1. 夢は第二の人生
2. まぼろしの生物誌
3. 非現実の王国で
4. 架空の本の物語
5. 文字のない小説
6. 文字のない詩
7. おどりくるう文字
8. おかしな本のかたち
9. 言葉あそびの快楽
10. 麻薬、魔術、汚物、
11. エロスは黒い神なのです
12. メタフィクションの極北
13. 突飛なるものの歴史
14. 意識の流れ
15. 奇書中の奇書
★関連まとめ
▼1. 夢は第二の人生
エルヴェ・ド・サン=ドニ侯爵は、19世紀フランスの中国学者。13歳のときに始めた夢日記から出発し、のちに夢研究の第一人者として名を馳せた。
『夢の操縦法』は、夢日記の自己分析を足がかりに、夢の操縦法について論じた著作。(精神分析学の)フロイトが探しもとめ、(シュルレアリスムの)ブルトンが称賛し、(フランス文学者の)澁澤龍彦が言及したという幻の稀覯本。
アンドレ・ブルトンは、フランスの詩人。1924年に「シュルレアリスム宣言」を発表し、シュルレアリスム(いわゆるシュール)の生みの親としてよく知られている。フィリップ・スーポー(詩人)との共同作業で、ものすごい速さで文章をかく「自動記述」と呼ばれる手法を開発した。
短篇集「溶ける魚」は、自動記述を取りいれた32の物語。ストーリーはあるようで、ないようで、ひたすら幻想的なイメージがあふれつづける。これを美しいと感じるかどうかは人それぞれ。
ちなみに、「溶ける魚」の序文として「シュルレアリスム宣言」が書かれた。
ジョリス=カルル・ユイスマンスは、フランスの小説家。デカダン派(世紀末の退廃的な文学運動)を代表する作家といわれる。
長篇小説『さかしま』は、「デカダンスの聖書」とも呼ばれる作品。主人公デ・ゼッサントは、俗悪な世界をのがれて田舎に引きこもり、部屋のなかに人口楽園を築きあげる。好みの書物、絵画、調度がそろえられ、あやしい熱帯植物のあいだを、甲羅に宝石を象嵌したカメが歩きまわり……。
ちなみに、主人公デ・ゼッサントは、ロベール・ド・モンテスキウ=フザンサックという人物をモデルにしている。
カール・グスタフ・ユングは、スイスの心理学者。精神分析学のフロイトとならび称され、ふたりは親交を結んだが、意見の相違によって距離を置くようになった。分析心理学(ユング心理学)の創始者として名高い。
ユングは、1914年ごろから精神状態が不安定になり、夢や幻想を書きつづった日記『黒の書』をつくった。のちに美しい挿絵がえがかれて『赤の書』が完成した。幻の稀覯書。
ながらく非公開だったが、近年になりようやく公刊された。日本語訳は、定価42,000円の豪華書として出版されている。
▼2. まぼろしの生物誌
ハラルト・シュテュンプケ(本名: ゲロルフ・シュタイナー)は、ドイツの動物学者。しかし、現在ではもっぱら『鼻行類』の著者として知られている。
『鼻行類』は、太平洋に浮かぶハイアイアイ群島に生息していた「鼻行類」と呼ばれる動物の研究記録。(鼻をつかって)歩いたり、獲物を捕らえたり、花に擬態することができるという。発見・生態・分類などなど、まじめな論文のように見えるが、すべてはシュテュンプケの空想。
類書に『アフターマン』『平行植物』など。
ドゥーガル・ディクソンは、スコットランドの著作家。生物学に通じていて、「5000万年後の動物はどうなっているか」「もし恐竜が生きていたら」といったテーマの作品を発表している。
代表作『アフターマン』は、「5000万年後の人類が消えた地球」の動物を予想した著作。生態的地位(ニッチ)の考えを駆使して、ユニークな動物たちをえがきだす。カラー図版多数で、ながめるだけでも楽しい本。
なお、1990年にテレビ番組化、1994年にNHK「みんなのうた」で歌になった。
500万年後の人類をえがいた『マンアフターマン』、2億年後の動物をえがいた『フューチャー・イズ・ワイルド』もどうぞ。
ドゥーガル・ディクソンは、スコットランドの著作家。生物学に通じていて、「5000万年後の動物はどうなっているか」「もし恐竜が生きていたら」といったテーマの作品を発表している。
『マンアフターマン』は、「500万年後の人類」を予想した著作。人類による自然破壊は止まらず、地球は過酷な環境になってしまう。しかし、ある者は進化し、ある者は退化し、またある者は遺伝子工学による人体改造で命をつないでいく……。人類とは思えないグロテスクな想像図が話題になった。
5000万年後の動物をえがいた『アフターマン』、2億年後の動物をえがいた『フューチャー・イズ・ワイルド』もどうぞ。
レオ・レオーニは、『スイミー』などで知られる国際的な絵本作家。『チコときんいろのつばさ』は、1964年にアメリカ図書館協会の最優秀作品に選ばれた。
『平行植物』は、「平行植物」と名付けられた架空の存在をたどる幻想博物誌。「塀の向こう側」をさまよう平行植物は、人が触れると崩壊してしまい、写真にも写ることがない。その不可知のすがたを、最新の研究をまじえて紹介する。
類書に、『アフターマン』『鼻行類』など。
ホルヘ・ルイス・ボルヘスは、アルゼンチンの作家。夢や無限をモチーフとした、まるで迷宮のような作品群で知られる。彼は市立図書館の司書をつとめたことがあり、伝説的な読書家としても名高い。
『幻獣辞典』は、友人のゲレロとともに共同執筆された。古今東西のおびただしい資料をもとに、120種の「空想の生物」がまとめられている。なかには、キャロルやカフカの創造した怪物なども。
「幻獣辞典」をうたう類書は多いけれど、もっとも信頼のおける著書のひとつ。
▼3. 非現実の王国で
ルイージ・セラフィーニは、イタリアの芸術家、建築家、デザイナー。もっぱら、奇書『コデックス・セラフィニアヌス』の著者として世界的に知られている。
『コデックス・セラフィニアヌス』は、平行世界の百科事典であり、架空の言語、奇妙な図版がこれでもかと収められている。デザイナーらしい、あふれんばかりの想像力を楽しむ本。
ヘンリー・ダーガーは、アメリカの芸術家。彼は感情障害のうたがいで施設に入れられたが、16歳のときに脱走。シカゴで掃除人として働きはじめた。人と関わることなく部屋に閉じこもり、誰にも見せずに「非現実の王国で」という物語をつくりつづけた。
大長篇小説『非現実の王国として知られる地における、ヴィヴィアン・ガールズの物語、子供奴隷の反乱に起因するグランデコ・アンジェリニアン戦争の嵐の物語』は、1万5,000ページ以上、300枚以上の挿絵からなる、おそらく「世界一長い小説」。
作品そのものは未出版。しかし、関連書籍、関連映画などは多数。
ミロラド・パヴィチは、セルビアの小説家。多数の著作を発表しているが、小説はわずかに5作品しかない。いずれも奇妙なアイデアが使われており、実験的な小説になっている。クロスワードを混ぜた『Landscape Painted With Tea』、100通りの結末がある『Unique Item』など。
『ハザール事典 ―― 夢の狩人たちの物語』は、「ハザール人についての事典」という形式の幻想小説。事典なので、どこからでも自由に読むことができる。なお、男性版と女性版がある。
▼4. 架空の本の物語
イタロ・カルヴィーノは、イタリアの国民的小説家。さまざまな作風を使い分けることから「文学の魔術師」と呼ばれる。
長篇小説『冬の夜ひとりの旅人が』は、「あなたはイタロ・カルヴィーノの新しい小説『冬の夜ひとりの旅人が』を読み始めようとしている」という出だしで始まるメタフィクション。しかし、あなたが手にしたのは乱丁本で、書店で交換してもらうと中身が違っていて、……というように、いつまでも続きを読むことが出来ない。
おなじような試みに、浅暮三文の短篇小説「カヴス・カヴス」(『実験小説 ぬ』所収)など。
スタニスワフ・レムは、ポーランドの小説家。20世紀最高のSF作家ともいわれる。代表作『ソラリス』は世界的な名声を得ており、映画化もされた。
短篇集『完全な真空』は、「存在しない、架空の本の書評集」という形式のメタフィクション。レムの架空の本の書評集「完全な真空」書評、ジョイスの言語遊戯を極限まで推しすすめた「ギガメシュ」書評、なにもないことを書くために否定を繰りかえす「とどのつまりは何も無し」書評など、おそるべき想像力の奔流。
おなじような試みに、クラフト・エヴィング商會の『らくだこぶ書房21世紀古書目録』など。
姉妹作ともいえる『虚数』もあわせてどうぞ。
スタニスワフ・レムは、ポーランドの小説家。20世紀最高のSF作家ともいわれる。代表作『ソラリス』は世界的な名声を得ており、映画化もされた。
短篇集『虚数』は、「存在しない、架空の本の序文集」という形式のメタフィクション。X線によるセックス写真集「ネクロビア」序文、バクテリアによる未来予知を論じた「エルンティク」序文、人間の手によらない文学の研究書「ビット文学の歴史」序文など。併録の、人智を越えたコンピュータによる講義録「GOLEM XIV」は、SFの金字塔のひとつ。
姉妹作ともいえる『完全な真空』もあわせてどうぞ。
ちなみに、ボルヘスの著作に『序文つき序文集』というものがある。
▼5. 文字のない小説
リンド・ウォードは、アメリカの版画家。敬虔なキリスト教の家に生まれ、休日は外で遊ぶことができず、しぜんと絵本に親しむようになる。のちに版画技法に関心をもち、プロの版画家となった。
ウォードは「文字のない小説」と出会い、自分自身も作品をつくるようになった。『狂人の太鼓』は、120枚の木版画でつづられた「文字のない小説」。100人がよめば100通りのストーリーがうまれる、想像力の物語。奴隷商人がアフリカから持ちかえった呪いの太鼓。彼の家族に、暗い影がしのびよる……。
絵だけで小説をつくる試みに、マックス・エルンストの「コラージュ・ロマン」(3部作)など。
マックス・エルンストは、20世紀を代表するドイツの画家。コラージュやフロッタージュなど、さまざまな技法をつかった幻想的な作品で知られる。ダダ、のちにシュルレアリスムに参加した。
彼は「コラージュ・ロマン」と呼ばれる、ほとんど絵だけの小説(?)を発表した。絵の下にみじかい詩のようなものが添えられているが、「惑乱、私の妹、百頭女」というふうに謎めいている。
『百頭女』『カルメル修道会に入ろうとしたある少女の夢』『慈善週間 または七大元素』の3部作で、すべて河出文庫で読める。
絵だけで小説をつくる試みに、リンド・ウォードの『狂人の太鼓』など。
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