息子がさ、壁に枕押し当てて「僕ここで寝るー」とか言ってヤモリみたいに壁に張りついてさ、人間生まれて三年も経つといっちょまえにボケたりするんだね。今日あいつ生まれてはじめてボケたんだよ。はじめて歩いた時より度肝抜かれたよ。
ね。驚くよね。びっくりドンキーよ。何がびっくりかって、たった三年しか生きてなくても人間には「笑いをとりたい!」という感覚が芽生えるんだってことよ。面白い奴だと思われたい! みたいなね。すごいよね。わたしゃびっくりしちゃってツイッターでつぶやいたりしてね、つぶやくだけでは済まずに翌朝LINEでオネーギンにまで報告してしまったんだよ。あ、オネーギンってわたしの姉のこと。おねえちゃんって呼ぶのが恥ずかしいからオネーギンね。
そしたらさ、何を思ったのかオネーギンが気色悪いポエムを送ってきたんだよ。
あっというまに大きくなっちゃうよ
ぼくのことちゃんと見ててくれないと
あっというまに大きくなっちゃうよ
ぼくは見てるよ ママを見てるよ
がんばってるママのこと
ぼくのためにごはんをつくってくれて
おせんたくしてくれて
みたいなね、この調子で延々続くんですよ。わたしはね、詩はかなり好きなほうです。でもなんか育児とポエムは食い合わせが最悪だと思うの。あくまで個人的な感想だけれども。
西野カナさんは会いたくて会いたくて震えるらしいですけどわたしはついつい怒りで震えちゃってね、オネーギンの嫌いな俳優の画像をたくさん送ってみたりもしたけど、どうしても腹の虫がおさまらなくて夕方「へんなポエムを読ませるんジャーナイヨ!」ってね、アルシンドニナッチャーウヨ!みたいなノリで電話してやりました。そしたらオネーギンが「はるなちゃんそういうの嫌われるからやめな」とかね、たしなめてくるわけ。
「はっきり言ってはるなちゃんマヂ性格悪いと思ぅ。。。」みたいな感じで、いやそうは言ってないけどそう聞こえるような口調でね、わたしを責めるわけ。
オネーギン曰く、こういうポエムに泣けるようなメジャーな感性が備わってないからわたしは友達が少ないんだって。ひどいよね。知ってるよ、確かにわたしは性格があんまりよくないよ。でも、だからといってポエムを押しつけるのは、それはもう暴力なんだよ、オネーギン。暴力反対!
もう許さん。オネーギン許すまじ。ということでわたしはね、復讐のポエムを書いた。オネーギンをギャフンと言わせるポエムを書いた。あれだろ? 韻を踏めばいいんだろ? つって。
「ハム食べる 君の頭に ハエとまる」とか書いたらいいんだろつって。「ダム見てる 罪の意識に 耐えかねる」みたいなね。そして送ってやったよオネーギンに。そしたらオネーギンったら「ハイハイ」だって。「ハイハイ泣ける泣ける」だって。なんか知らんけど完全にわたしの負けみたいな感じになってる! ショック!