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「よくぞ生きて収監」検察が異例の感謝

 4人が誤認逮捕されたパソコン(PC)遠隔操作事件で、弁護団に「自分が犯人」と認めた元IT関連会社社員片山祐輔被告(32)の第9回公判が22日、東京地裁(大野勝則裁判長)で開かれた。

 片山被告が自殺をしようと東京・高尾山などに行方をくらました19日、警察は身柄を見失っていた。佐藤弁護士は「警察は19日午前10時22分の電話を捕捉していた。電話がもう少し長ければ位置がつかめていたという」と明かした。

 佐藤弁護士は被告と連絡が取れなくなってから「警察が逮捕したんだろうと思っていた」。だが、逮捕されていないことが分かり「『警察、何やってんだ!』と思った」と振り返った。同日午後9時半ごろ、被告から「自殺する」と入電し、佐藤弁護士は思いとどまるように説得。20日早朝、弁護士事務所に戻った。

 この日の公判後、検察側から「よくぞ生きて収監させてもらった」と感謝される異例のひと幕もあった。

 佐藤弁護士は、保釈で真実が見えた点にも熱弁を振るった。「けがの功名。保釈がなければ私は無実の証明をし続けていた。河川敷にスマホを埋めなかったら、完全犯罪が成立していたかもしれない」。さらに「真犯人メール」を送ったスマホを探し出した警察に「敵ながら、あっぱれ!」と話し、涙した。

 この日は検察に「『自殺する』と言っているので『大事にしてほしい。亡くしたら損失なので』とお願いした」という。無実の証明から転換した目標は「社会が抱えている悪魔を白日の下にさらす」。大ヒット映画「アナと雪の女王」を挙げ「あの映画も自分の悪魔性と戦っている。(片山被告にも)ありのままの自分を見つけろ! 悪魔に勝て! と言いたい」と熱く語った。【三須一紀】

 [2014年5月23日9時41分 紙面から]

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