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カジノができれば、何屋が儲かる? IR推進法、3つのポイント

MONEYzine 5月23日(金)8時0分配信

■国民の大多数がカジノ法案にピンときていない? 

 はじめまして。FXを中心に、マネー系のメディアで取材・執筆活動をしている鹿内武蔵と申します。日本のカジノ誕生が現実的になりつつある今、これまで培ったマネー感をより多くの方に拡散したいという思いから、総合的にカジノを学べるメディアである東京カジノラボを立ち上げました。

 カジノはとてもフェアな数字のゲームで、プレイヤーが損益をコントロールすることが容易です。機会があれば、ぜひこちらのほうも解説させていただきたいと考えています。

 とはいえ、多くの国民にとっては、日本にカジノができることなんて、絵空事のように思えるかもしれません。ですが、国会議員の間では、十数年にわたって研究・議論されているテーマでもあるというのが実際のところ。地域経済の振興、財政の改善などが主たる目的で、安倍政権が掲げる成長戦略の一角ともなりうるものとして考えられているほどです。

 古くは石原慎太郎元東京都知事がカジノ構想をブチ上げたり、最近では橋下徹大阪市長が大阪・夢洲(ゆめしま)へのカジノ誘致構想を表明するなど、ニュースで取り上げられることがありました。しかし、多くの国民にとっては、いまいちピンとこなかったというのが本音なんじゃないでしょうか。

■いよいよ本格的審議開始! 

 ところが、いよいよ国会で本格的な審議が始まることとなりました。ニュースなどでも報じられている通り、6月22日まで続く今国会中に審議入りする見通しで、5月下旬がそのタイミングではないかと言われています。

 投資家として、この時流を先取りしない手はありません。そんな意味でも、ここではまず日本版カジノの“入門編”という位置づけを明確にし、これまで興味がなかった人にも伝わるように、カジノ法案の要点をまとめていきます。

 現在、カジノ法案の基礎となる考え方をきちんと知らないにもかかわらず、先入観や感情論から乱暴な主張をしている人が多く見受けられます。そんな不毛な議論に振り回されることなく、しっかりと日本版カジノの行く末を見通せるようになってもらいたい、それが私の願いです。

■駅前にカジノが乱立するわけではない

 さて、国会で審議されている法案の正式名称は「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」です。長すぎるためか、IR推進法と呼ばれることが多いのですが、これがいわゆるカジノ法案です。

 大ざっぱにいうと「複合観光施設(IR)区域において、特例的にカジノを認めよう」という内容です。以下では、同法案に記されている内容のポイントをかいつまみながら、世間的に思い違いされているであろう部分もあわせてまとめていきます。

ポイント1(バツ)繁華街にカジノ施設が建つ
〇IRにおいて“特例的に”認める

 新宿や渋谷、ミナミや那覇といった繁華街に、カジノという単独施設が建つことを認めよう、というわけではありません。そうではなく、IRにおいて特例的に認めるというのが、ポイントです。

 そのIRとは、Integrated Resortの略称で、日本語訳すれば「複合型リゾート」のこと。具体的には、ショッピングモール、レストラン、宿泊施設、会議場施設、劇場、映画、美術館、アミューズメントパーク等々と、なにもかにもある観光拠点・リゾート地を指します。

 これではピンと来ない人も、次の具体例を挙げればイメージがわくでしょうか。IRの姿としては、2010年にカジノがオープンしたシンガポールをモデルにするといわれています。そのシンガポールにおけるIRの象徴ともいえるのが、屋上に巨大な船が横たわったマリーナベイサンズです(ソフトバンクがSMAPを起用したCMで一躍有名になりました)。そうしたランドマークを持つ観光施設を作り、世界中から観光客を呼ぼうというわけです。

 繰り返しになりますが、ゲームセンターのような小さな箱モノをつくるのではなく、マリーナベイサンズのような世界に注目される観光施設をつくるという話なのです。

■新たな国営ギャンブルが誕生するわけではない

ポイント2(バツ)国がカジノを運営する
〇民設民営

 最大のポイントは、民設民営が前提であることです。国がカジノを運営するわけではありません。

 大まかな図式でいえば、まず地方自治体が国にIR区域を提案し、認定されてはじめてIRがスタート。そして区域指定を得た自治体は公募により民間事業者を選定民間業者は国から免許を得て施設内でカジノ運営ができる、といった流れになります。国がやることは「IR区域の指定」と「民間業者への許諾、監視」に限られるのです。

 例えば、これから起こる流れとして、東京都がお台場を、大阪府(市)が夢洲を、長崎県がハウステンボス周辺を等々、日本全国の自治体がIRの候補地を提案していくと予想されます。また民間業者の公募に対しては、世界中から名乗りが上がるでしょう。

 ラスベガス系のウィンリゾーツを代表とする老舗カジノ企業は、日本のカジノ解禁をまだかまだかと待ちわびています。その一方で、国内ではカジノ運営ノウハウを“習得中”のセガサミーHDやユニバーサルエンターテインメントといった企業も黙ってはいないでしょう。

 国民の間では存在感のなかった話題ですが、地方自治体をはじめ世界中の企業も、民説民営を前提としたカジノ法案に注目し、そして参入への準備を着々と進めているわけです。

■賭博行為が完全に解禁されるわけではない

ポイント3(バツ)賭博行為は刑法で禁じられているはずだ
○その問題をクリアしようという議論

 日本では刑法185、186条で賭博行為が禁じられていますが、そうした刑法上の問題をどのようにクリアしましょうか? といった検討をしていきます。

 例えば宝くじや、競馬などの公営競技は、それぞれで業法(特定の業種に関する法律)を定めることにより、賭博を合法化しています。これらの前例にならうのか、あるいは他の手段を用いるのか。そこをしっかりと議論しよう、というわけです。

 以上が、カジノ法案の大まかな内容と、思い違いされがちなポイントです。これで同法案の「きほん」がご理解いただけたでしょう。

■真のビジネスチャンスはカジノ周辺にあり! 

 ところで、1848年ごろ、アメリカのカリフォルニアで砂金が発見されたことをきっかけに「ゴールドラッシュ」が起こり、世界中から何十万人もの人が一攫千金を夢見て集まってきました。

 このゴールドラッシュにおいて、ある共通点を持った三組四名の人物が大金持ちとなったのですが、その共通点が何かをご存じでしょうか? 

 それは「自ら金を探すのではなく、採掘者たち相手の商売を行った」ということです。

・必需品となるシャベルとバケツを(買い占めて)販売したサミュエル・ブラナン・輸送と送金のシステムを作ったヘンリー・ウェルズとウィリアム・ファーゴ・ジーンズ(Gパン)を開発、販売したリーバイ・ストラウス これらのエピソードは「本流ではなく、その周辺にビジネスチャンスがある」という教訓を示唆するものです。

 では、日本版カジノでは、誰が勝ち組になるのか? すでに、ゼネコン、観光、交通、デベロッパー、設備機器、金融、サービスなどで「カジノ関連銘柄」の名前が挙がり、実際にカジノ法案の動向を織り込みながら値動きしています。こうしたカジノとの直接的関係が強い企業の中から成功者が生まれるのか? それとも、まだ見ぬ価値を生み出す企業が、成功者となるのか? だとすれば、まだ見ぬ価値とは、どんなものか? 各企業によるカジノをめぐる金脈探しは、実に目が離せないレースになっているといえるでしょう。

 投資格言をひけば「人の行く裏道に道あり花の山」というものがあります。少数派が勝つのが相場であるということを念頭に置きながら、日本版カジノの周辺を観察すると良いでしょう。

最終更新:5月23日(金)12時20分

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