広島原爆資料館:被害より伝わる展示法に 映像駆使し再現
毎日新聞 2014年05月22日 21時51分(最終更新 05月22日 23時42分)
広島市は22日、改装工事をしている原爆資料館(同市中区)の展示更新の具体案を発表した。原爆投下直後の惨状や後々まで続く放射線被害、犠牲者の苦しみや残された家族の悲しみなど原爆被害の全容がより伝わる展示法を重視。写真や資料などの展示物を増やし、コンピューターグラフィックス(CG)の映像やタッチパネルを駆使して若い世代にも理解しやすい展示を目指す。
一方、被爆直後の惨状を示した「被爆再現人形」は撤去が正式に決定。撤去反対の署名運動があったが、新たな展示内容を話し合う被爆者や有識者の検討会議の結論を受け、保存して企画展示などで活用するという。
原爆資料館によると、具体的には、被爆前後の広島市中心部の様子を示したジオラマ模型に替え、直径5メートルの円状の立体模型を設置。被爆前後の爆心地から半径2.5キロの街の航空写真を映像化し、この模型に投影する。被爆前の姿では、川に舟が行き交う様子などを再現する。
また、写真の他、被爆者の遺品など実物展示の数を増やし、遺品には遺影を添え、状況などをより詳しく説明する。リニューアルによって現在後半部にある被爆の実相を伝える展示を前半部分に配置することで、平均19分だった観覧時間が30分程度になる見込みという。
資料館の改装工事は今年3月に始まり、全てが終了するのは2018年の予定。【加藤小夜】