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» 2014年05月23日 09時12分 UPDATE

「美味しんぼ騒動」背景に漫画とネットの親和性 「騒ぎすぎ」「国民の根本的な不安反映」 (1/3)

福島第1原発を取材した主人公が鼻血を出すなどの描写が物議をかもしている「美味しんぼ」。今回の問題の背景と漫画表現のあり方に関して、専門家の見解を聞いた。

[産経新聞]
産経新聞

冷静な議論のきっかけに

 東京電力福島第1原発を訪問した主人公が鼻血を出すなどの描写が、議論を呼んだ人気漫画「美味(おい)しんぼ・福島の真実編」(小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載)が19日発売号で完結した。福島県をはじめとする自治体や閣僚から批判が相次ぐなど、大きな波紋を広げた今回の問題。その背景と漫画表現のあり方に関して、専門家の見解を聞いた。(戸谷真美)

画像 「美味しんぼ」騒動で揺れる福島県。避難指示解除準備区域に指定の同県富岡町では先週15日、コメの実証栽培が始まった(撮影・大橋純人) 

 同作は4月28日発売号で、原発を見学した主人公が鼻血や疲労感を訴え、「福島では同じ症状の人が大勢いますよ」と井戸川克隆前福島県双葉町長が語る場面を描いた。続く5月12日発売号では、鼻血などの原因を「被ばくしたから」とする同氏の言葉や、福島大准教授の「福島を広域に除染して人が住めるようにするなんて、できない」という言葉が掲載された。

 これに対し、「風評被害を助長する」として同町や福島県が抗議文を公表したほか、石原伸晃環境相をはじめ閣僚が次々に批判。一方で井戸川氏も会見を開き、ネットで自身の鼻血を写した写真を公表するなどして反論した。

 今回の騒動について、『風評被害』などの著書があり、福島県の現地調査も行う関谷直也・東京大大学院情報学環総合防災情報研究センター特任准教授は「誤解を招く表現はあるが、騒ぎすぎという印象だ。報道なら相反する意見のバランスを取る必要があるが『美味しんぼ』は漫画。極端な表現も技法であり、許されないわけではない」と指摘する。

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