先輩が結婚する。
いいなあと思った。
そう長く付き合ってない彼だけど、すごく気があって、プロポーズをされたわけでもなく、もうすぐ入籍するらしい。
式は身内でこじんまりと。
いいなあと思った。
そういう、自分の人生を一気に変えてくれるような存在がいたら。
中学生のころから、ずっとアニメと漫画のキャラばっかり追いかけてきた。
結局、周りが結婚しても、残されたのはTOKYO-MXと私一人。
それで幸せだったし、アニメを見てない人は何を楽しみに生きてるの?と、本気で思っていた。
でも、先輩にすごく楽しそうに結婚の話をされて、その様子をずっと見ていて。
オタクがキャラの話を楽しそうにしているのとは違うものを感じた。
独りよがりではない、その何か。
帰ったら、フィギュアを全部売ろうと思う。
もしかしたら間違っているかもしれないけど、もう私は十分、自分の為にオタクだった。
もう少し、たった5分でも、人を想って話せる元オタクになろうと思う。
帰ったら、フィギュアを全部売ろうと思う。 漫画も、DVDも。 先輩のたった5分の話で、私の12年間は消えてしまうのだ。 もしかしたら間違っているかもしれないけど、もう私は十分、...