旅客船沈没:スマホいじりに夢中の大学生ボランティア

「経歴」だけが目的、何もしないボランティア
彭木港の20代ボランティアの一部、非常識な行動で非難浴びる

 「ここが行方不明者の家族のテントみたいだ。ああ、気の毒だね」「海でも見に行くか」

 今月21日午前11時ごろ、全羅南道珍島郡の彭木港で、ある災害救援ボランティア団体のスタッフのベストを着た大学生3人が、あちこちをのぞき込んでいた。大きな声で話をしていた3人は「あそこはうちよりも飯がうまいらしい」といって歩き出した。同じ日、別の災害救援ボランティア団体が運営する無料給食ブース。40代の女性ボランティア4人がせわしなく後片付けをしている中、所属団体のベストを着た20代の女子大生たちはテーブルから動かず、スマートフォン(多機能携帯電話端末)でゲームに没頭していた。

 旅客船「セウォル号」沈没事故の行方不明者の家族が滞在している珍島体育館や彭木港で、20代のボランティアの一部が不真面目な行動を取り、周囲から白い目で見られている。事故発生当初から現場を見守ってきた安山市(京畿道)ボランティアセンターの関係者は「履歴書や自己紹介書に書けば有利になるという理由だけでボランティアに来ている大学生たちがいる」と話した。インターネット上では「こんなときは珍島に行ってボランティアしよう。スペック(学歴や資格など)になるし、自分史の1ページになる」という書き込みも見られる。

 多くのボランティアは、このような非常識な行動に対し怒りをあらわにしている。ボランティア団体のテントで会った人は「1カ月の間、夜も眠れず苦しむ人たちがいるというのに、何もしようとしない。何のためにこんな遠い所まで来たのか」と話した。だが「1日、2日もすれば帰っていくから、黙って見ているしかない」という。

 珍島体育館や彭木港のボランティアの条件は「25歳以上」だけだ。全羅南道ボランティアセンターのイ・ソンテ局長は「いくら就職に役立つからといって、履歴書に経歴を書くためだけに惨事の現場に来るだけ来るというのはあってはならないことだ」と話した。

珍島=キム・ギョンピル記者 , キム・スンジェ記者
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