宮城のニュース
  • 記事を印刷

決意の田植え 仙台・東部地区で4年ぶりに再開

被災した水田で4年ぶりに始まった田植え=22日、仙台市若林区荒浜

 東日本大震災の津波で浸水した仙台市東部地区の農地1800ヘクタールのうち、農地の復旧が最も遅れていた水田約200ヘクタールでことし、4年ぶりの田植えが行われている。水田は養分を豊富に含んだ表土が津波で削り取られるなど難問山積だが、生産者は「手をこまねいてはいられない」と語り、営農再開に踏み切った。一部の区画では、作業の省力化やコストを削減するために直播農法を取り入れた。

 宮城県道塩釜亘理線の沿線に位置する若林区荒浜地区は、震災から3年を経てようやく田植えにこぎ着けた。このうち水田16ヘクタールを受け持つ「荒浜集落営農組合」は22日、組合員ら約10人が参加し、水を張った田んぼにひとめぼれの苗を植えた。
 水田は震災で最大50センチ地盤沈下した。今でも塩分濃度が高い地下水の影響を受けており、耕すたびに大小の石など震災がれきが顔をのぞかせる状態だ。昨年は、土壌回復の効果があるとされる大豆の栽培を試みたが、収穫量は見込みの3割にとどまった。
 組合の佐藤善一代表(66)は「前に進むしかない。時間はかかると思うが、代々受け継がれてきた農地を震災前の状態に回復させたい」と話す。
 宮城野区新浜地区でも、農業法人「新浜協業組合」が県道東側を中心とする水田62ヘクタールで稲の作付けを再開した。3割の区画では、鳥害を軽減するために種もみを鉄粉でコーティングして水田にまく直播農法を採用した。
 直播は、育苗に費やす労働力を軽減し、専用ハウスも不要。宮城では直播農法を導入する農家が5年前から年々増えている。平山尚組合長(74)は「まだスタートラインに立ったばかり。一つ一つの課題を克服し、被災地に田園風景を取り戻したい」と力を込めた。


2014年05月23日金曜日

Ads by Google

記事データベース
先頭に戻る