まだ活路が見出せない新聞社
佐々木: ニュースメディアを考えると、新聞が一番大きい存在です。そこが変わらないかぎり変わらないとは思うんです。新聞に詳しい長澤さんから見て、新聞に変化の萌芽みたいなものは見られますか。
――まず広告的にいうと、シニアメディアに位置づけられてしまっていますね。たとえば自動車会社は、年に一回企業広告を出すけど、車種広告は出さないというところもある。広告はかなり厳しいです。
宅配制度が生きているうちはまだ販売に支えられてというところもあります。ただ、たとえば日経新聞の場合は会社を辞めるととらなくなる人もいる。一方、一般紙は若い人が読んでないですから、かなり先は厳しいですよね。
電子新聞の課金なんかも10万、20万人を集めても、とても投資に対してのリターンはまだできていない。無料会員は集まっているけれども、そのIDを使ってどれだけ新聞社がビジネスができるんだというと、これからの課題。ヤフー、楽天のスピードとは違う。限界がやっぱりある。まだ活路が見出せないですねえ。
朝日新聞の木村社長と話していたときに、一番強いのはテレビ局を持っていることじゃないかという話になりました。そこがアメリカとの違いだと。おそらく、その融合のほうに行くんじゃないかという。その場合、記者なり新聞部門の統合というのはあるだろうという感じはしますね。テレビ局自身は上場していますから、それなりに合理性がないとできないですから。
瀬尾: もし僕が新聞社の経営者だったら、という生意気な話をさせてもらってもいいですか(笑)
佐々木: どうぞ、どうぞ。
著者=長澤秀行
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◎内容紹介◎
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