下山祐治、今村優莉
2014年5月23日11時29分
東京都心のオフィス街で、弁当の路上販売が転機を迎えている。昼時には行列ができるほど人気だが、食中毒などを心配する都が屋内での販売に切り替えるよう規制を見直す方針を打ち出したためだ。消費増税も重なり、路上のワンコイン弁当はどこへ行くのか。
東京・日本橋の企業が軒を連ねる路上に19日昼、弁当を積み上げた台車5台が2メートルほどの間隔で並び、近くの会社員らが次々と買い求めた。
「から揚げ」「サバの塩焼き」……。大半が税込み500円の「ワンコイン弁当」。ほぼ毎日買っているという会社員の男性(51)は「近くに安い飲食店はほとんどない。並ばずに買えるのもありがたい」と話す。
販売員の倉本健嗣さん(25)は、目黒区の弁当店で明け方に作った弁当をワゴン車で運び、衣装ケースの中に並べて売っている。500円玉1枚で買える値頃感も受けて定着。多いときは30分ほどで80食が売れる。10年以上販売を続けている市原猛さん(64)は「オフィス街で働く人たちの胃袋を満たしてきた」と話す。
路上で弁当を売る人は都条例で「行商」に分類され、保健所に届け出ると営業できる。昨年12月現在、都内では545人が登録されている。「ランチの需要と比べて飲食店の数が足りていない」(中央区保健所)という事情も重なり、飲食店やコンビニが少ない地域で特に重宝されてきた。
ところが、都は、弁当を売る場所を路上から屋内へ切り替えるよう促そうと、年度内にも条例を改正し、規制を見直す方針だ。
おすすめコンテンツ
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞社会部
PR比べてお得!