シノは、サングラスを外すと、そっと、シカマルの頬に手を添えた。

     シカマルが、驚いたように目を見開く。

     その顔を瞳に映したシノは、ほんのりと微笑って、囁いた。



     「褒美だ。心して受け取れ」




              *





     そうして口付けられたシカマルは、シノが信じてくれた事とキスの御褒美に、堪えきれない笑みを浮かべた。

     しかし、嬉しいのは嬉しいが、先程地獄の縁を見た事を考えると、どうも割に合わない気がしてならない。

     「それだけかよ?」

     駄目もとで言ってみると、どうやらシノはそれだけのつもりでは無かったらしい。

     「これだけだと思ったのか?」

     そう、逆に問い返されてしまった。

     シカマルが口を噤むと、シノは「そんなわけないだろう」と当然のように言った。

     「俺はそれ程淑やかな人間ではない。褒美と言ったからには、誠心誠意、最後までやるつもりだ。

      お前がキスだけが良いと言うならそれでも良いが…」


     「否!」

     シノの言葉に慌てて声を上げてしまい、シカマルははっと顔を赤らめた。

     しかし動じることなく続きの科白を待つシノに、シカマルは思いあぐねいた末、俯き加減になりながらぼそぼそと続けた。

     「…や、最後まで、お願いします……」

     恥ずかしさの余り、顔がかあああと熱くなる。

     それに対して涼しげな顔をしたシノは、シカマルの顔を上げさせると、

     「熱くなるのはまだ早いぞ」

     と言って、再度、口付けてきた。

     浅い口付けを何度も、何度も繰り返し、だんだんと深く、呼吸を奪うようなキスに移行していく。

     舌を絡める長いキスをした後、は、と口を離したシノは、それまで服の上から撫でていた手を、シカマルの服の下に潜り込ませた。

     腹部、脇、背中、胸と、慣れた手つきで撫ぜていく。

     シカマルは、背筋をなぞるシノの指にぞくぞくとして、堪らずシノを押し倒した。

     貪るように口付け、着物を乱し、はだけさせる。

     「は、ぁ…シカマル」

     やっと口を解放されて空気を吸えたシノが、シカマルの服を掴んで言った。

     「脱げ」

     浴衣でもなければボタンやチャックでもないシカマルの洋服は、他人が脱がせるには難しいのだ。

     「……いつも、俺がお前の服脱がせんの、どんなに大変か解ったろ」

     シカマルがニヤリとして言えば、シノは

     「いつも、俺は困難な脱衣を上手くやらせてやっている。だがお前にはそのスキルが無いだろう。だから自分で脱げ」

     と言ってのけた。

     シカマルが、言葉に詰まる。

     そして、多分それは本当なのだろうと思った。

     確かにいつも、苦労はするが何だかんだで上手く行く。あまり意識した事は無かったが、今思えばシノのリードがあったからなのだろう。

     シカマルは反論せずに、シノの言う通りにした。

     服を脱ぐついでに髪も解く。

     バサリと落ちてきた髪を、無造作に払った。

     シノはシカマルが脱ぐと、その首元から鎖骨、胸と、舌を這わせて行き、シカマルの一物への愛撫も始めた。

     ズボンの上から撫で、次には手を差し込んで直に触れる。

     ――――っ、」

     シノの手に、シカマルが息を詰めた。

     一瞬シカマルの顔を窺ったシノは、しかしすぐに頭を下げると、固くなり始めた物を取り出して舌を這わせ始める。

     手や舌を使い、時には銜えて、巧みにシカマルの欲を引き出していく。

     「は……ぁ…。シノ…」

     暫くそうやっていると、シカマルが吐息を漏らした。

     言外のもういいという合図にシノが止めると、シカマルは息を乱しながら、シノを引き寄せ、そっと寝かせた。

     上に被さってくるシカマル。

     シノは体の力を抜いて、シカマルの愛撫を受け入れる体勢を整えた。

     「シノ…」

     頬に触れ、唇を撫ぜて、シカマルが軽い口付けをしてくる。

     手や指は掠めるように肌に触れてきて、シノの体はビクビクと跳ねた。

     シカマルの指が、既に勃ち、敏感になっていた乳首に触れる。

     「………ん…っ」

     思わず声を漏らしたシノに、シカマルは微笑んだ。

     「やっぱここ、気持ち良いんだな」

     クリクリとそこを弄れば、シノの体は面白いように反応する。

     シカマルは首筋に舌を垂らすと、そのまま下へと向かって、その小さな突起を口に含んだ。

      「ンん
―――!」

     弱い部位を舐められ、吸われて、シノは大きく体を捩った。

     シーツを握り締め、耐えがたい快感を必死に耐える。

     脱ぎ散らかしぐしゃぐしゃになった着物が、足に絡まった。

     「シノ、お前、触ってねぇのにスゲー勃ってる」

     荒い呼吸を繰り返すシノに、シカマルはちょっと笑いながら言った。

     まだ一度も触れられていないにも関わらず、シノの下部は既に勃起して、先走りに濡れている。

     「ぅ…るさ……い……っ、あ!!」

     その部位に触れてみれば、シノはビクンと跳ねて背を反らし、声を上げた。

     「良い反応」

     「ぁ………ぁ…」

     触れた其処に指を這わせ、手で包んで愛撫する。

     吐息を乱し震えながら、それでも気持ちよさそうに喘ぐシノに、シカマルは体を起こした。

     指に先走りを拭い取り、シノの秘部にあてがう。

     シノはそれを感じ取ったようだったが、ただシーツを握り直しただけで何も言わなかった。

      それを了承と受け取ったシカマルは、傷を付けないようにゆっくりと、シノの中に挿し入れた。


     ―――っ、―――っ!」

     シノが口を押さえ、声にならない声を上げる。

     その様子を窺いながら、シカマルは入れた指を動かして解し続けた。

     先走りや、時には舌や唾液を使って、グチュグチュと広げていく。

     指三本が容易に抜き差しできるようになるまで慣らし終えると、シノが上体を起こして腕を回してきた。

      顔にかかって邪魔だった髪をシノが後ろに流してくれる。


     「いいか?」

     「………ん」

     顔はどちらも上気し、息も荒く、目は熱に潤んでいる。

     深く触れ合い、感じ合いたいと、互いが互いを求めて止まらなかった。

     「あ――――

     ―――くっ」

     シカマルを受け入れたシノが、シカマルを抱き締める。



     繋がりはとても熱く、温かく、心地良くて、安心する。

     それを失いたくないと思い、同時に、そう思ってはならないと思う。

     釘を打ち付け、束縛しようとする自分への嫌悪と、罪悪感はあった。



     不意に、ナルトの姿が頭に浮かぶ。

     人の手を掴んで離さない事に、微塵の揺らぎも無い男。

     少し、羨ましいと思う。

     ――――まあ、あれはただ、単純バカなだけなのだろうが。

     「……シノ?」

     フッと笑ったシノに、シカマルが気付いた。

     こんな時に他の男の事を考えていたと知ったら、さすがに怒るだろうか。

     そう思いながら、シノは「何でもない」と答え、肌を合わせ、胸を摺り合わせると、シカマルの唇にキスをして、口付けた。

     舌を絡ませ、深く深く口付ける。


     「ん……っ、ン…」


     自分は、淑やかな人間ではない。


     「ン………ふ…っ」

     欲しいものは手に入れたいし、好きなものは手元に置いておきたい。


     「………は……ぁ」


     悪いとは、思うけれど。


     「シカマル………」


     俺に惚れられたのが運の尽きと―――


     「好きだ」


     諦めろ。




     「………俺も」




     シカマルがシノに口付けて、そのまま布団に倒れ込む。

     足に絡まっていた着物を取り払い、ぐいと両脚を持ち上げた。

     「好きだぜ? 怒ると滅茶苦茶怖ぇけど。ヤってる時は可愛いからな」

     皮肉っぽい笑みを浮かべながらそう言うシカマルに、シノは愛想の無い顔で応えた。

     「飴と鞭…。人間関係を持続させる、方法の一つだ……」

     「………可愛げねーなぁ」

     シカマルはシノの応えに苦笑を漏らすと、シノに覆い被さるようにして、そっと、笑みを浮かべたまま口付けた。

     「ン……」

     シカマルの舌が口腔内を犯し、手が柔らかく躰を撫ぜ、指が表皮を這う。

     腰が動き、シカマルが自身を穿ち始めると、シノはその快感に堪らず声を上げた。

     「ん……く、ぁ…っ!」

     思わず逃げようとしてしまう体を、シカマルが押さえる。

     ―――っ、っつ!!」

     「シノ。さっきの、ちょっと訂正」

     「は……っ、な、に…」

     シカマルは一瞬動きを止め、シノの瞳をじっと見つめると、優しく、静かに囁いた。

     「大好きだよ。怖ぇトコも全部、愛してる」

     「っ、」

     シノが、仄かに顔を赤らめる。

     やっぱ可愛いなと、シカマルはその頬に軽く口付けて、再び動き始めた。

     「ぁあ……っ!」

     今度は休むことなく打ち付ける。押さえるシカマルの手を、シノが握り締めた。

     「ん、あ……、あぁ…あ……」

      「は………」

      「う……ぁ…、く
―――!」

      「シノ………っ…、」


     「あ、あ、あ、あっ!」

     「ぁ………く、」

     「ああっ! シカマルっ! やっ!」

     シカマルがシノのモノに触れると、シノは激しく首を振った。

     「ダメだ、シカマルっ、は…ぁあ……っ…んン――――!!」

     「シノ…」

     「や! ダメ! あっ! ああっ!」

      「……あ…っ、」 

      「ン…ぁあアアアア
―――っ!! もぉ、イ――――!!!」

     「は――――、シノっ!」

     ――――――っっ!!!」

      「ア
―――――!!」

     頂点に達し、一気にドッと溢れ出る。



     「……ぁ…」

     内に感じる、熱。

     はあ、はあ、と、自身の激しい息遣いが耳に響き、心臓が早鐘のように鼓動している。

     瞬きをすると、暑い夜に汗が滴り、頬を伝った。

     涙かもしれなかったが、シノには判らない。

     シカマルが、滲んだ視界に見える。

     シノは安心して、目を、閉じた。

     呼吸と鼓動が、少しずつ落ち着いてくる。

     すると少しずつ力も抜けていき、夢見心地な意識の中に、シノは落ちていった……。




     『もっと信じてやんなさいよ。シカマルは、アンタを裏切るなんて面倒な事、しやしないんだから!』

     花のように笑って、いのが言う。

     白いアスターの花言葉は、私を信じてください…だと言う。

     そして、青いアスターの花言葉は…。




     「…ん……」

     気が付くと、シノはシカマルの腕の中にいた。

     「気が付いたか?」

     「………」

     「一応、汗とかは拭いたんだけど。風呂入るだろ?」

     「………あぁ…」

     はっきりと見えたシカマルは、いつもと変わらず優しくて。

     いつもと変わらずに――――そこに居た。


     「シカマル……」


     青いアスターの花言葉は、信頼。


     「ん?」


     そして、信じているけど……心配…なのだ。


     「俺も、お前が大好きだ。愛している」

     「お……おぅ…」

     シノの淀みない告白に、シカマルの顔が赤くなる。

     しかしシノは気にする事なく、続けた。

     「だから…」

     「だ……から…?」

     シノはシカマルを真っ直ぐ見つめながら、言った。



     「だから……覚悟しておけ」



     「…………」

     「…………」

     「…………」

     「…………」

     「…………へ…?」


     目を点にするシカマル。

     だがシノは、言う事は言ったとばかりに体を起こすと、シカマルに絡みついて、何か言おうとする口を塞いだ。

     「………風呂には入るが、その前にもう一度だ」

     「は……? いや、でも…」

     「何だシカマル」

     戸惑うシカマルに、シノは目を細めると、静かな、静かな声で言った。

     俺の褒美が、受け取れないのか…?

     ザワリ、と、シカマルの背筋に冷たいものが走った。

     そしてゾワゾワと、足下から迫り上がってくる、畏怖の感覚。

     「い…いや……。ありがたく…いただかせて、イタダキマス…」

     シカマルは顔を引き吊らせながら言った。

     くれるなら、素直にもらっておいた方が身のためだ。

     なによりも。

     シカマルは、もうあんな地獄を垣間見るなど、何が何でも絶対に、御免だった。



                     



     翌朝。

     花開いたアスターの下、昨夜食されなかったご飯が並べられている。

     シカマルは自分が使った食器を洗い終えると、これから食事を始めるシノに尋ねた。

     「お前、ホントに朝からそれ全部食う気かよ」

     「昨晩、何も食べなかったからな。加えて激しい運動をしたから、腹はとても空いている」

     「あ……そぅ…」

     澄ました顔で箸を持ち、いただきますと手を合わせるシノに、シカマルが頬を染めて視線を逸らす。

     激しい運動というのは、アレの事だろう。

     「今日の任務は、アカデミーの仕事だったな」

     「あ? ああ…。ナルト達も一緒にな。何ならお前も行くか? 昨日言ってた、人間関係を持続させる方法ってのを、サイに教えてやれよ」

     シノの問いに答え、シカマルがソファーの方へ向かいながら何の気なしに思い付いた事を言ってみると、シノは「それはできない」と断言した。

      「何で」とちょっと驚いて訊いてみれば、シノは更に驚くべき返答を返してきた。


     「何故なら、あの教えはお前の母上から伝授してもらったものだからだ。友と言えど、そう易々と教えるわけにはいかない」

     「……はぁ?!」

     シカマルは、素っ頓狂な声を上げた。

     「何で母ちゃんがそんな事、お前に教えてんだよ!」

     慌てるシカマルを尻目に、シノは箸でナスの和え物を摘みながら、平然と答える。

     「お前は父上によく似ているからと言って、扱い方を教えてくれた。『飴と鞭。ただし、甘くするのは時々で良い』そうだ」

     「…………」

     シカマルは、唖然とした。

     チョウジには家事に細かい所を母親似と言われ、その母は、父親に似ているからと言って息子の情人に妙な入れ知恵をしてくれたというのだ。

     まあ…確かに……。

     恐妻家というか……そういう質は父親譲りなのかもしれない。

     母と父の子どもなのだから、そのどちらにも似ていておかしくはない。

     だが。

     しかし。


     (何か俺って、損な性格ばっか受け継いでねぇか…?)


     シカマルは、何だか酷く悲しくなって、大きな溜め息を吐き項垂れた。

     「シカマル、時間だろう。そろそろ仕事に行け」

     シカマルの気落ちに気付いているのかいないのか、シノがいつも通りの命令口調で言う。

     シカマルはもう言い返す気分にもならなくて、もう一度溜め息を吐くと、ソファーの上にある自分の中忍服を取った。

     昨日シノに突き付けられた中忍服は、寝室に行く前、シノの蟲を助け出した後で畳んで置いておいたのだ。

     口紅は、拭いても完全には落ちなかったが、よく見ても紅とは判らないだろう。

     そう思いながらシカマルが見ると、しかしそこには、紅どころか、痕跡すら消えていた。

     「あれ?」

     服を掴み、肩や首、背中の辺りをじっくり観察するも、やはり痕は無い。うっすらとも、赤い色は見えない。

     「紅なら、取っておいたぞ」

     シカマルがビックリしていると、キュウリの漬け物をかじっていたシノがボソリと言った。

     「いつの間に……。つーか、どうやって?」

     シノは朝までずっとシカマルと一緒に居たのだ。

     洗濯は愚か、触る時間すら無かったはずである。

      そう思って問えば、シノは、聞くまでも無いだろう、という顔をして言った。


     「無論、蟲を使ってだ」

     「…………」

     何と言うべきか。

     本当に、無論過ぎて言葉が見つからない。

     「あ〜…。…ありがとう…」

     シカマルは、取り敢えず礼を言った。

     袖を通そうとしたが、少し考えて、一応、内側やポケットの中を探ってみる。

     蟲が付いていない事を確認してから、シカマルは漸く中忍服をまとった。

     「見送りはいるか」

     シノが、ご飯茶碗片手に問う。

     「いいよ。メシの最中だろ」

     ご飯の途中で席を外して良いのは任務と緊急時だけ。

     シカマルに受け継がれた、母の教えである。

     それを聞いたシノは頷くと、「では、行ってこい」とその場で送り出してくれる。

     ははは、とシカマルは乾いた笑いを漏らした。

     「シカマル」

     「ん?」

     シカマルが背中を丸めて部屋を出て行こうとした時、シノがその背中に声を掛けてきた。

     振り返ると、シノはシカマルを真っ直ぐ見据えていて、

     「無事に帰ってこい。晩飯は俺が用意しておく」

     と言った。

     「………」

     死ぬな。怪我するな。浮気するな。無事とは、そういう事だろう。

     打たれた釘はいまだ健在で、きっとこれからも打たれ続けるんだろうなと、シカマルは漠然と思った。

     ふと、笑みが浮かぶ。

     心配されるのは、面倒で、有り難くて―――――嬉しい。

     「おう」



     必ず、君の下に帰ってくるから。

     どうか、信じていてください。



     「……じゃ、メンドクセーけど、行ってくる」





     白いアスターの花びらが、扉の閉まる音と共に、笑ったように、小さく揺れた。















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