福井悠介 外尾誠
2014年5月23日02時18分
「日本版海兵隊」を創設する準備が急ピッチで進んでいる。陸上自衛隊の水陸機動団だ。上陸機能を備えた部隊は長年、国是の「専守防衛」と相いれないとされてきた。機動団の中核を担う部隊を中心に22日、国内初となる陸海空3自衛隊合同の離島上陸・奪回訓練が公開された。自衛隊はどこに向かっているのか。
鹿児島県・奄美大島沖。海自の輸送艦「しもきた」から、エアクッション型揚陸艇(LCAC)2隻が水しぶきを上げて遠ざかる。続くのは、緑や黒に顔を塗った30人。機動団の核になる陸上自衛隊西部方面普通科連隊(長崎県佐世保市)の精鋭だ。重装備を身につけての水泳など、特殊な能力を訓練されている。陸上戦闘用の迷彩服の下はウエットスーツ。ブーツの代わりに、浜や磯に適したマリンシューズを履いている。
「洋上で最も大切なことは安全っ、安全っ、安全っ!」
確認の声を上げると、船外機のついた長さ5メートルの真っ黒なゴムボートに6人ずつ乗り込んだ。目指すは約10キロ先、敵に奪われたとの想定の無人島だ。体を伏せた隊員を乗せたボートがサンゴ礁の上を横一列にゆっくりと進む。小銃を片手にした隊員は砂浜に飛び降り亜熱帯の茂みに消えた。
機動団の創設は、政府が自衛隊のあり方を決める昨年末の防衛大綱に盛り込まれた。「島嶼(とうしょ)への侵攻があった場合、速やかに上陸・奪回・確保する」という。モデルは、イラクやアフガニスタンといった紛争地に海や空から真っ先に投入される米海兵隊だ。2018年度末までに設置する。
「つい10年前までは、海外派遣・派兵につながるということで、水陸両用作戦能力はタブーだった」。元自衛艦隊司令官の香田洋二氏は今年4月、参考人として出席した参院委員会で説明した。環境が変化したという。「島嶼防衛ということに限って、国民が容認したということだろう」
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