はあ…と息をついたシノは、心地良い布団に突っ伏したまま目を閉じた。                                                                 それまで傍若無人に振る舞っていた物が漸く引き抜かれ、安堵や寂しさやその他諸々の                                                       気持ちが入り乱れて、心の中までぐちゃぐちゃだと、ぼんやり思う。                                                                     だが、傍若無人と言っても痛みが伴うことは一度もなく、今回の行為は終始優しくて、                                                          キバにしては紳士的だった。                                                                                           それがキバの成長の証しであり、結婚に対する彼の誠意である事は、愛し合う中で伝わってきた。

 もう、傷つけたりしない。                                                                                              一生、死んでからも大切にする。                                                                                         そんな切実な想いが流れ込んできては、誰が拒めるだろうか。                                                                       まったく…と呟いて、疲労困憊した身体と精神を回復すべく、シノはズレた枕を引き戻した。

 しかし、そんな憩いも束の間。

 「そろそろだな」                                                                                                   とキバが言ったかと思えば、強引に抱き上げられた。                                                                             「?!」                                                                                                        お姫様抱っこもさることながら、それが余りにも軽々と持ち上げられたため、驚きを隠せない。                                                     身長はまだ自分の方が高いはずなのに、すっぽり腕に収まった感じなのは、明らかに体格負けしているからだ。                                          「………」                                                                                                       僅かに眉を寄せたシノだったが、何か言うとボロが出そうなので、口惜しくも沈黙した。                                                         そんなシノにキバは子供っぽい笑顔を向けて、意気揚々と言う。                                                                       「いいもん見せてやるぜ」                                                                                              そう言って連れて行ったのは、部屋に付随した露天風呂。                                                                          木戸を開けて目に飛び込んできた光景に、シノは思わず目を細めた。                                                                   「あ…。眩しいか?」                                                                                                「……否。平気だ」                                                                                                   そこには、竹林を前景に供え、夜空を支配する立派な満月が構えていた。                                                                既に虫達は眠りに就いたらしく、秋の鈴音もしんとやみ、静まり返っている。                                                                そんな中、キバは寒ぃ寒ぃとシノを抱えたまま露天風呂の中に入ると、喜々として説明を始めた。                                              

 「これな、この宿の名物『かぐやの月』ってーんだ。んで、ここはお月見にはもってこいの特等席。綺麗だろ?」                                            「ああ………綺麗だ」                                                                                                頷くだけでなく綺麗だと感想を漏らしたシノに、キバが満足そうににこにことする。                                                            「だが、よくこんな部屋が取れたな」                                                                                       暫し金色の満月に魅入っていたシノが、ふと問えば、キバは微妙な笑みを浮かべた。                                                          「いや…まあ……。お月見にはもってこいなんだけどさ。ちょっとしたいわく付きっつーか…噂があってな……」                                            「噂…?」                                                                                                      「ほら。かぐや姫って、結局月の使者に連れてかれちまうだろ?だから                                                                   『この部屋に泊まったカップルや家族は、離れ離れになる』って言われてんだって」                                                            「…………」                                                                                                     シノは沈黙し、じい〜っとキバを見つめた。                                                                                   新婚旅行のはずなのに、そんないわく付きの部屋では縁起が悪いだろう。                                                                 という非難と疑惑の念がひしひしと伝わってくる眼差しを受けて、キバは慌てて弁解する。                                                      「や、だからな。俺、月に誓ってやろうと思って」                                                                                「誓う…?」                                                                                                     「そうっ!」                                                                                                      そうそうと首を縦にぶんぶん振って、いきなりシノの肩を鷲掴み抱き寄せたかと思うと、                                                         キバは月を向かって吼えた。

 

 「俺は絶対、何があっても此奴と別れたりなんかしねぇ!死んでも誰にも渡さねぇ!                                                           月の使者だろうが何だろうが、来てみやがれ!!」

 

「………」                                                                                                      「……ってな?」

シノは、無理矢理押し当てられたたくましい胸元から、戯けた風なキバを見上げた。                                                            成長したかと思えば、こんな馬鹿げたマネをする。                                                                               精悍な顔付きが今は破顔して、無邪気な子供そのものだ。                                                                         「……まったく…」                                                                                                  シノは仕方のない奴だと密かに微笑を漏らしたが、すぐに無表情に戻って鋭く指摘する。                                                        「月の使者に喧嘩売ってどうする。それに、それではかぐや姫への当て付けだぞ」                                                            「うっ…」                                                                                                       シノの突っ込みに、キバがたじろぎ返答に窮する。                                                                               う〜…いや…そんなつもりは…あ〜、でも………。と、ぶつぶつ呟きだしたキバの様子に                                                        可笑しさが込み上げてきて、シノは堪えきれず声を押し殺して笑い出した。                                                               「な…何笑ってンだよ…!元はと言えばだなぁ、お前が意地の悪ぃこと言うからだろ!?俺は本気で…」                                               「わ…判って、いる…」                                                                                               抱いた肩が小刻みに震えだした事に気が付いてキバが脹れて怒鳴るも、シノはキバの胸に顔を埋めて笑い続ける。                                        そんなシノにキバは「あ〜、も〜、くそっ!」と自棄になり、震えるシノの肩をより強く抱き締めた。                                                   暫くして笑いが収まりシノが視線をあげれば、そこにはまだふて腐れたようなキバの顔があって、                                                   ふと瞳を細めて口の端を弛ませる。                                                                                      「……俺は本気だぞ……」                                                                                             「……ああ…」                                                                                                    ぼそりと、拗ねたように言うキバの瞳は、それでも真っ直ぐで。                                                                        シノはそっと、キバの肩に頭をもたれかけ、身体を預けて美しい月を仰いだ。                                                         

「……ついでだ。俺も誓ってやる」                                                                                         惜しげもなく、真摯に愛情を注いでくれる君に応えるために。

 

 「何があっても、ずっと……お前を愛してる」

 

 

 

 永久の愛を誓った二人は、月影のもとで、契りの接吻を交わし合った。 

 

 

                                      fin.

 

 

 

 

 

 

 あとがき

 

 めめ沢様から頂戴したリクエスト。                                                                                        『男前キバかシカ×可愛いシノで、裏で甘々』                                                                                  で、シカシノは基本的にいつも甘いので、キバシノの甘々を書かせて頂きました。                                                            ………甘々というか、イチャイチャエロエロになってしまいましたが…。                                                                   頑張って、キバを男前に仕上げたつもりです。                                                                                 子供のキバだとどうしても可愛くて仕方がないので、大人設定。                                                                       しかも新婚旅行。                                                                                                   多分、キバは大人になったら滅茶苦茶カッコよくなるはずだと。                                                                        そして、無邪気でもなく野性的でもない、真摯なキバにトキメいてしまえと。                                                                 ふっと見せる真面目でひたむきな顔は男前かな…と。                                                                             シノの反則が微笑みなら、キバの反則は眼差しです。                                                                             え〜…いかがでしたでしょうか?                                                                                          お気に召して頂ければ、幸いでございます…。                                                                                 リクエスト、ありがとうございましたm(--)m

 

 

 ちなみに。

 甘々な感じを若干壊すおまけはこちら。                                                                                     余韻を大事にされる方は、後ほど読む事をお勧めします。

 

 

 

 

 

 

 

 



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