(前回の続きである)
気分障害におけるアーユルヴェーダ医学
Ayurvedic medicine in mood disorders
アーユルヴェーダ医学はインドの古代の癒しシステムであるが、世界中で行われるようになってきている。アーユルヴェーダは「長寿」を意味する。アーユルヴェーダの理論は、個人における3つのドーシャ(doshas)の構成要素のバランスに基づく。3つのドーシャは、ヴァータ(vata)、ピッタ(pitta)、カッパ(kappa)であるが、これらは、火、水、空気、大地、空間という5つのエレメントから生じるとされる。アーユルヴェーダでは健康や疾患はドーシャのバランスに依存すると信じられている。内因性、外因性の双方の要因が、例えば、無秩序な食事、好ましくない習慣、健康的な生活を送るためのルールを無視する、季節の異常、運動不足、体と心の誤用が、身体のバランスの欠如につながるとされる。アーユルヴェーダ医学では、3つドーシャのバランスの乱れに応じた数種の治療の選択肢がある(下表)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%A6%E3%83%AB%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%80
診断は包括的な個人歴に基づきなされる。詳細な身体検査、脈拍などのバイタルサイン、関連する臨床検査が行われる。アシュワガンダ(Ashwagandha)は、ハーブと組み合わせせて(例えば、Amrit kalashやMentatがあり)、そして、抗うつ薬もうつ病患者に使用ができるとされる(アーユルヴェーダでは東洋医学に西洋医学が組み合わされて実施されるシステムである)。
アーユルヴェーダ医学での治療法は、複数のハーブを含み、食生活やライフスタイルの変化など個別化された治療であるためランダム化比較試験を実施することは困難である。さらに、アーユルヴェーダのハーブの効果はマイルドであり効果が発現が遅いという傾向がある。さらに、アーユルヴェーダのハーブは、徐々に作用し効果が漸増していく傾向がある。気分障害に処方されるハーブの効果は一般的にこのような傾向がある。しかし、アーユルヴェーダのハーブの効果は、常にマイルドなものではない。ハーブは正確に調合されるため、ハーブ療法は複雑な多因子の誘因から生じる気分障害のケースにおいても身体と心のバランスの変化をもたらす程の強力な効果を有する。西洋の処方薬への耐性がない患者では、アーユルヴェーダによって好ましい介入を受けることができる。それらには、パンチャカルマ(panchakarma)による解毒が含まれている。ハーブ、またはハーブの混合物、Rasayanas(体を活性化し栄養を与えることを目的としたハーブの組み合わせからなるアーユルヴェーダの特別な方法)によって治療された大うつ病の小さな研究があるが、うつ症状のスコアの改善が示されている。ベルベリン(Berberine)はアーユルヴェーダや中国の伝統医学で使用されるアルカロイド系の植物であるが、うつ病を改善することが報告されている。産後うつ病を治療するためのアーユルヴェーダ医学の使用が議論されている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%99%E3%83%AA%E3%83%B3
気分障害におけるホメオパシー
Homeopathy in mood disorders
ホメオパシーは総合的なアプローチを使用する医療システムである。ホメオパシーは、疾患に似た症状を誘導することができる物質の微量使用(レメディ)によって自然治癒力を引出し疾患を治療することを意味する。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9B%E3%83%A1%E3%82%AA%E3%83%91%E3%82%B7%E3%83%BC
注; ただし、ホメオパシーが唱えている微量は、微量だと言っても、実際に計算すると、一辺の長さが119万1016光年の立方体にも匹敵するような銀河系の大きさをはるかに超えた規模の水の容積にたった1mlのレメディの元となる物質を希釈していることになり、その物質の存在は限りなくゼロに近く、そんな物質はレメディには含まれていないという指摘がある。ホメオパシーの効果の実態はプラセーボ効果だと思われる。
ホメオパシーが唱える癒しの自然の法則は、「同じものは同じものによって治癒される」という意味の、「Similia Similibus Curantur」として知られている。ホメオパシーは世界中で実施されている。英国のホメオパシー診療所を調査研究した結果では、ホメオパシー診療所に受診た84%の患者は、うつ病などのメンタルヘルスの問題を抱えており、健康を向上させる目的で受診していることが報告された。その研究では、273名の患者の全ておいて悪化は報告されておらず、25%の患者は従来の薬の使用が減少した。ホメオパシーで使用されるレメディは高希釈で安全であることが示されている(私には高希釈過ぎて、脱感作にすらならないと思えるのだが)。
うつ病におけるホメオパシーのレビューでは、個別化された処方、標準化されてはいるが複合体のようなホメオパシーの異なる種類などによって、結果の解釈が困難であると結論付けられている。ある研究では、ホメオパシーはうつ病や不安障害対してよく使用されていることが報告された。過敏性腸症候群(73.9%)、うつ病(63.6%)、不安(61.0%)で肯定的な結果が観察されている。しかし、何が効果を示したのかは不明である。精神医学におけるホメオパシーのRCTの系統的レビューでは(1431件のプールから25件の適格な研究をピックアップ)、線維筋痛症と慢性疲労症候群への効果が見出された。このレビューでは大うつ病へのホメオパシーのRCTは存在しなかった。
注; このホメオパシーと似たようなサイエントロジーを推進しようとしている団体があり、現在、反精神医学行動を展開し精神科医を攻撃している。CCHR(市民の人権擁護の会、Citizens Commission on Human Rights)である。CCHRの母体は宗教団体(サイエントロジー教会)である。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%82%E6%B0%91%E3%81%AE%E4%BA%BA%E6%A8%A9%E6%93%81%E8%AD%B7%E3%81%AE%E4%BC%9A
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%83%BC
注; このCCHRは多くの反精神医学のビデオを作成しており、現在の精神医学への攻撃を行っているが、NIMHのインセル博士が行っているような科学的な根拠に基づくような批判ではなく、精神医学への恨みと偏見に基づいた単なる攻撃でしかないと私には思える。しかし、CCHRが指摘している内容には一理ある。確かに、今の精神医学は薬物療法に頼り過ぎてしまっており、その結果、多剤大量処方となり、有害事象を生む原因となっていることには間違いないであろう。今後、精神医学をさらに発展充実させていくためには、我々精神科医は常日頃の自身の処方を省みて、必要性がないような無駄な処方をしていないか、非合理的な処方になっていないかを、毎日問い直していかねばならないであろう。向精神薬は両刃の剣なのである。多くの精神科医が最善の薬物療法は何かということを日々の実際の臨床で実践しているのではあるが、両刃の剣だという自覚がなく、安易に向精神薬の多剤大量処方をする医師(精神科や心療内科以外の他の科の医師も含めて)が存在するのも事実である。
なお、CCHRが作成したビデオや資料は下のURLから視聴することができる。
なお、CCHRが作成したビデオや資料は下のURLから視聴することができる。
気分障害への心-身体-精神アプローチ
Mind-body-spirit approaches in mood disorders
大うつ病への心-体-精神(Mind-body-spirit)のプラクティスの効果の報告が増えてきている。従来の抗うつ薬は、シナプスにおけるセロトニン、ノルエピネフリン、ドーパミンなどの神経伝達物質のレベルを上昇させることが知られている。一方、心・体・精神アプローチも、抗うつ薬と同様のメカニズムを介して作用し、心理療法として行うことができる。心理療法によって誘発される神経伝達物質の変化は、抗うつ薬によって引き起こされた変化と同様である。心・体・精神へのプラクティスとしては、ヨガ、瞑想、運動、鍼などがある。
ヨガ
Yoga
ヨガは、効果の解釈が難しいという方法論的な弱点を有するが、うつ病へのプラスの効果が報告されている。可視化方法(visualization)とヨガのリラクゼーション(ヨガのポーズと呼吸法を30分間)との比較では、ヨガのグループの参加者は、気分が改善し、よりエネルギッシュになったことが示唆された。クンダリーニ(Kundalini)というヨガのテクニックはうつ病に有効であることが見出されている。別の研究では、ハタ(Hatha)というヨガに参加した113名の精神科入院患者のうつ病の症状の大幅な改善が報告されている。不安、抑うつ、敵意、疲労、混乱などが改善しており、ヨガはうつ病に対してはかなりの効果があることが示唆されている。
別の研究では、アイアンガー(Iyengar)というヨガに参加した軽度のうつ病患者(28名)は、対照群よりもうつ症状スコアの有意な減少を示した。治療抵抗性うつ病では、アイアンガーヨガの効果を発揮するには長期的なプラクティスを必要とする。他のヨガのプラクティス(Shavasana、Sudarshan Kiryaなど)は、高齢者や、軽度~重度のうつ病に有効である。Sudarshan Kiryaの神経生理学的モデルからも、うつ病への有用性が議論されている。その他のヨガでは、LifeForceヨガもうつ病に有効であることが見出されている。Sudarshan Kiryaは、神経可塑性の指標となる血清の脳由来神経栄養因子BDNFのレベルを増加させることが示されている(注; 血清コルチゾールの低下やオキシトシンの放出の増加なども示されている)。
瞑想
Meditation
瞑想は健康上の問題がない人々にも世界中で使用されている内省的な方法である。Manochaらは、仕事上のストレス、不安、気分への瞑想の効果(178名、8週間)をRCTにて評価したが、その瞑想方法はメンタル・サイレンス瞑想法(mental silence meditation approach)であり、アクティブな「リラクゼーション」やウェイト・リスト・コントロール(wait-list control)と比較された。リラクゼーション群やウェイト・リスト群と比べて、瞑想群では有意な改善が示された。他の研究でも、Sahagaヨガとして知られているメンタル・サイレンス瞑想法は仕事上のストレスやうつ病に対処するための安全で効果的な戦略であることが示されている。なお、ヨガも瞑想と同様に、うつ症状を減少させるだけでなく健康度を高めることが報告されている。
Eisendrathらは、治療抵抗性うつ病への認知療法としてのマインドフルネス瞑想(8週間)の効果を報告した。マインドフルネス瞑想の焦点は、反芻思考(rumination)を減少させ、自己慈悲感(self-compassion)を高め、受容を増し、回避を減少させることにある。関連テクニックであるレイキ(Reiki)は、「宇宙の源からレイキのエネルギーのチャンネルを開き瞑想をしている者を別の人類の状態へと導く瞑想である」とされている。Bowdenらは大学生におけるレイキ(5週間)の効果を評価したが、大幅にうつ病や不安の症状を減少させたことを見出した(レイキはどこかの怪しげな新興宗教の儀式のようにも思えるが、本当に効果があるのだろうか)。
エクササイズ(運動)
Exercise
注; このブログでも精神疾患への運動の効果に関しては既に紹介しており、その内容も参考にしてほしい。
定期的な運動は心身双方の健康を維持する上で重要である。1回45分間、週に5日の運動は中等度のうつ病患者の改善と関連していた。この運動の効果は年齢、性別、うつ病の重症度、運動の種類とは関係なく効果が見出された。うつ病への運動のプラスの効果は、脳内のセロトニン、ノルエピネフリン、エンドルフィンの増加に起因する。多くの研究によって、適度な有酸素運動は様々なうつ病のタイプに効果があることが支持されている。運動は、補助的な方法として、また、抑うつ症状への薬物療法や心理療法を増強する方法として、軽度~中等度のうつ病や不安に使用され良好な結果が得られている。ダンス療法も、音楽療法や運動のみと比べてうつ病を著明に改善させることが示されている。
バイオフィードバックは、包括的な健康と機能の向上を目的として、自分の体へフィードバックすることで、内部プロセスを制御し変更することを学習する原理に基づいている。バイオフィードバックは比較的安全であり非侵襲的であるが、ペースメーカーに悪影響を与える可能性がある。バイオフィードバックは軽度~中等度のうつ病の症状を大幅に改善することが報告されている。
鍼
Acupuncture
鍼治療は、身体や精神的な問題を治療するために広く使われている中国の伝統的な方法である。Yin TangやBai Huiとして、うつ病に鍼や電気針刺激の効果に関する生物学的メカニズムが調べられたが、鍼治療プロトコルが異なるため効果には一貫性がないと結論付けられた。治療抵抗性うつ病(30名、1回30分、週に1回または2回)への鍼治療の効果を調べたパイロット研究では、週に1回または2回の鍼治療の両群伴にうつ病スコアの有意な改善が認められた。鍼は治療抵抗性うつ病への有効な治療法かもしれない。鍼治療は安全で忍容性にも優れているが、軽度ではあるが副作用がある。すなわち、あざ、痛み、針刺入部位の出血である。他の研究でも、気分障害におけるヨガ、瞑想、運動、鍼治療の利点がサポートされている。 重度なの身体的、精神的な疾患を有する患者でも非薬物的なCAM療法は安全であることが示唆されている。
(このサイトに鍼灸の生物学的メカニズムが詳しく紹介されている)
統合的アプローチ
Integrative approach
総合的なアプローチを使用ている統合医療はうつ病の管理として推奨される。うつ病や他の気分障害への統合的な治療法を評価する多くの臨床試験が存在している。インターネットを使用したインターラクティブな統合的な精神医学的介入のニーズが調査されている。研究者は、統合的なWebベースのプログラムであるDeprexisを開発し、Deprexisでは、行動の活性化、認知再構成、マインドフルネス/受容のトレーニング、社会的スキルトレーニングが使用されている。396名のRCTでは、Deprexisは気分障害を有する患者のうつ症状やと社会的機能への有意なプラスの効果があることが見出された。現在では多くのWebベースのプログラムがあるが、うつ病やその他のメンタルヘルスの問題を克服するのために役立つことであろう。
注; 日本においてもうつ病に関する多くのサイトがあるが、中には怪しげなサイトもあり注意が必要である。全てが無料で閲覧・利用できるような、アウトリーチに徹したようなサイトが好ましい。
議論
Discussion
CAMは、気分障害や他の精神疾患への1次治療ではない。ただし、CAMのレベル1の証拠も出現し始めている。気分障害へのCAMを推薦する臨床シナリオには様々なものがある。
抗うつ薬に反応しないケース
ファーストラインの抗うつ薬に耐えられない副作用があるケース
有効な治療法がない状態にあるケース
標準的な治療や補完的な戦略に抵抗性であるケース
薬物療法が必要であるが副作用が生じ、CAMによって副作用が軽減できるようなケース
リスクファクターの影響を緩和できるようなケース
サービスやオプションの完全性を追求したようなケース
標準的な治療へのアクセスがないというケース
現代の薬物療法には不快感を抱いているようなケース
CAMの方がより快適だと思っているようなケース
患者は、薬物療法の費用を払える余裕がないようなケース
うつ病に関連するような複数で複雑な共存疾患があるようなケース
気分障害は、生物学、心理的、社会的、環境的要因などの様々な病因が関与している。他の精神疾患や身体疾患の共存は気分障害の治療をさらに複雑にする。標準的な薬物療法や心理療法では、うつ病の患者では以下のような成果しかもたらせない。30%が寛解、30%が部分寛解、残りは治療抵抗性である。大うつ病の患者の30%~40%は、CAMによる恩恵を受けるものと思われる。しかし、米国精神医学会タスクフォースの報告書では、大うつ病性障害へのCAMに関しては、より厳格で、かつ、大規模な研究が必要であるとされている。さらに、CAMの各タイプに応じて適切にバッテリー化された比較試験にて個別に評価されなければならない。このレビューでは、大うつ病への効果が有望視されているいくつかのCAMについて紹介したが、さらなる調査研究が必要である。全世界では120以上のCAM療法が使用されているが、科学的には研究されてはおらず、気分障害の治療における役割は限定されており、さらなる研究が必要である。
臨床にてCAMを使用するためのガイドラインが開発されている。このガイドラインでは、患者の病歴を完全に把握し、身体所見の把握を完了し、臨床検査を行い、正確な診断を行い、治療計画を開発する上での薬剤の見直しを実施し、などが強調されている。患者から収集されたすべての情報は、カルテに記載される必要がある。WebベースのCAMプログラムは、うつ病や気分障害の患者に対してガイドラインで示されている処理が増えていった際に役に立つことがある。統合医療とCAMが、気分障害における従来の治療のパラダイムをシフトさせることができるかどうかはまだまだ議論されねばならない。
推奨事項
Recommendations
うつ病やその他の気分障害のためのCAMの種類は増加してきており、薬を評価する際の臨床試験と同様な形での科学的な厳密さを持ってテストされ始めている。これらの厳しい条件をクリアしたCAMの有効性の確かな証拠が明らかにされてきている。栄養補助食品、植物、栄養素が軽度~中等度の気分障害における第一選択の治療法として単独で使用できるといういくつかのエビデンスがある。しかし、重度のうつ病、精神病性うつ病、ラピッドサイクラー型の双極性障害、治療抵抗性うつ病においては、抗うつ薬、気分安定剤、非定型抗精神病薬が必要である。CAMによって有害事象が減少するだけでなく、さらに、再発予防としても従来の治療法の補完になる可能性がある。
肝疾患とうつ病が共存するようなケースでは、S-アデノシルメチオニンによってうつ病が改善するだけでなく、肝臓を保護し、肝機能を回復するという利点がある。レボドパは、パーキンソン病の治療によく使用されているが、中枢神経系におけるS-アデノシルメチオニンを枯渇させてしまうことでうつ病を惹起してしまうが、S-アデノシルメチオニンの補給によって改善することができる。メチルテトラ還元酵素(methyltetrahydrofolate reductase)遺伝子の多型(C / Cではなく、C / TとT / Tの対立遺伝子)は、ホモシステインの産生を増加させ、心血管疾患のリスクが増加する。S-アデノシルメチオニンや葉酸の低下はうつ病を惹起することがあるが、このケースでは抗うつ薬にはあまり反応しないが、S-アデノシルメチオニンと葉酸の補充には確実に反応する。
セントジョーンズワートは、男性と女性、双方のうつ病を緩和させるが、抗うつ薬に忍容性が乏しいような女性のケースに特に有用である。イワベンケイは、健康度合を向上させるだけでなく、軽度~中等度のうつ病にも推奨されるが、エストロゲン感受性の乳癌の家族歴や個人歴を有する女性には慎重に使用されねばならない。妊娠中の女性は大うつ病を発症する危険性が高いが、使用可能な全ての抗うつ薬は、胎児や新生児への有害事象を引き起こすリスクがある。しかし、ω3脂肪酸は、妊婦に対する抗うつ剤の有用な代替となり、有害事象も生じない。さらに、抗うつ薬や気分安定化剤への反応を増強することを考えると、EPA:DHAの比率が2:1であるω3脂肪酸(2~3 g /日)の補助的な使用は双極性障害にも推奨される。同様に、コリン、イノシトール、5 -ヒドロキシ-L-トリプトファン、N -アセチルシステイン、DHEAは、全ての双極性うつ病に対しては多かれ少なかれ有効であろう。
アーユルヴェーダとホメオパシー医学は、気分障害へのな大規模ランダム化比較試験が必要である。心・体・精神治療、特に定期的で長期的なヨガのプラクティスは、中等度~重度のうつ病患者ではその利点を維持できるため有益であろう。多くの研究によって、大うつ病への瞑想、運動、鍼治療の有効性が支持されている。統合医療は、総合的なアプローチを必要とする気分障害の治療を強化する目的で組み合わせて使用されなければならない。将来を見据えたような気分障害のためのCAMのランダム化比較試験が必要であろう。
(論文終わり)

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