クマ騒動:両陛下訪問の群馬・桐生で 警備関係者ら緊張

毎日新聞 2014年05月22日 22時08分(最終更新 05月22日 23時57分)

トロッコ列車乗車前に笑顔の天皇、皇后両陛下=22日午後1時59分、栃木県日光市のわたらせ渓谷鉄道通洞駅
トロッコ列車乗車前に笑顔の天皇、皇后両陛下=22日午後1時59分、栃木県日光市のわたらせ渓谷鉄道通洞駅

 天皇、皇后両陛下が私的な旅行で群馬県桐生市を訪れた22日、市内でクマの出没情報があり、警備関係者らが緊張に包まれた。

 午前9時ごろ、桐生市川内町の市立川内中学校から市役所に「クマを見た」と連絡があった。登校中の女子生徒が午前8時20分ごろ、山の方でガサガサと音がしたことに気づき、振り返るとクマのような動物がいたという。市職員が目撃場所を調査したところ、イノシシの足跡がはっきりと残っていた。

 市内では、13日に市役所敷地内にツキノワグマ1頭が出て桐生猟友会が射殺。21日には山に近い新里地区でもクマの目撃情報があった。県警警備2課によると、22日は県警全体を挙げて警備に当たった。桐生署は「あらゆることを想定し、万全の対策を取っていた」という。

 13日にクマ駆除のため出動した桐生猟友会の坂口一男会長は「天皇陛下が来て大勢の人が集まるような場所には、クマは怖がって近寄らない。だから安心して今日を迎えられた」と話す。

 両陛下は、足尾銅山の鉱毒で破壊された自然が回復した様子を見たいとの意向で、わたらせ渓谷鉄道の通洞駅(栃木県日光市)から水沼駅(桐生市黒保根町水沼)までトロッコ列車に乗車し、車窓からの景色を楽しんだ。水沼駅やJR桐生駅では集まった大勢の住民に手を振り、笑顔を見せた。【山本有紀、角田直哉】

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