ソニー:16年3月期に営業利益4000億円目指す-リストラ徹底
5月22日(ブルームバーグ):経営再建中のソニー は、今期(2015年3月期)にテレビ事業を11期ぶりの黒字に転換させるなどして、来期には社として営業利益4000億円規模を狙う。
「テレビ事業は分社化により固定費削減を徹底し、2014年度に黒字化できる」と平井一夫社長が22日の経営方針説明会で述べた。発表資料によると、エレクトロニクスの販売会社で来期までに前期比約20%の費用を削減するほか、本社間接部門で約30%の費用削減を行う。
同業のパナソニックやシャープが前期に黒字転換したのに対し、ソニーは赤字転落。平井社長は12年の就任時からテレビやデジタルカメラなどを生産するエレクトロニクス事業の再生を優先課題に掲げてきたが、テレビ事業は前期で10期連続の赤字を計上し、累積で7900億円の損失となった。
「来期に4000億円の営業利益というのは信じられない」とミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊池真最高経営責任者は電話インタビューで述べた。「何がそんなに伸びるのか分からない。強気な数字を正当化するために販売台数やコストの見通しをつくったのが見え見えだ」という。
同社は14日、今期について連結純損益500億円の赤字の見通しを発表したばかり。これは過去7年間で6度目の最終赤字になる。営業利益は1400億円を見込んでいる。同業のパナソニック、シャープは今期、純利益ベースで2期連続の黒字を予想している。
構造改革をやり切る平井社長は「2014年度は構造改革をやり切り、チャレンジを可能にする財務体質にすることを徹底的にする」と述べた。「これをやり切った時にソニーの新しい道が開けていくことを確信している」という。
平井氏はテレビ事業の「売却を考えていない」とした一方で「資本提携の話があった場合、それを否定することでもない」と述べた。赤字だったパソコン事業は売却を2月に発表し、7月をめどに日本産業パートナーズに譲渡する予定で、事業収束費用を含め800億円の営業赤字となる見通し。
エース経済研究所の安田秀樹アナリストは、営業利益4000億円について、エレクトロニクス事業の収支が「均衡すれば達成するのはそれほど難しくない。大赤字のエレクトロニクスを改善できるかどうか」に懸っているという。「今のリストラでは固定費は減るが売り上げも減るので、いつまでたってもリストラが終わらない」として「新しい事業を育てないといけない」と述べた。
エンタメでも追加コスト削減エンタテインメント事業では、映画分野で16年3月末までに合計3億ドル(約305億円)の費用を削減し、テレビ番組の制作などを成長させる。平井社長は昨年11月、エンタテインメント事業で2億5000万ドルを2年間で削減する方針を打ち出していた。
今期の構造改革費用は1350億円となる見込みで、前期と合わせ2年間の累計で3000億円超となる。テレビ事業は7月に分社化される予定で、ソニーは高精細の4Kテレビに注力することで同商品群でのリードを広げ、前期に達成できなかった黒字化を実現させるとしている。今期の販売目標は前期に比べ18.5%多い1600万台。
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更新日時: 2014/05/22 19:33 JST