Financial Times

アジアが以前のような場所でなくなった理由

2014.05.23(金)  Financial Times

(2014年5月22日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

フィリピンの中期成長見通しは中国よりいいかもしれない。北京からクアラルンプールに至るまで、チーズの需要は鉄鉱石よりも大きい。ネール・ガンジー一族はインドに対する支配権を失った。混乱するアジア世界でほぼ唯一見覚えのあることは、将軍たちが再びタイを掌握していることだ。

 これほど巨大で多様な地域について語れる限りで言えば、アジアは流動的だ。何年もの間、かなり予測可能なパターンに落ち着いていた後で、変化の歯車がギシギシと音を立てている。2008年の金融危機以降、変わらないものがいくつかあった。

 中国は急成長し、地域の成長エンジンになっていた。西側諸国の印刷機によってもたらされた低利資金と低金利は、多くの国が借り入れを増やし、伸びない輸出に取って代わるために必要だった内需を刺激することを可能にした。ミャンマーのような数少ない例外はあるものの、国内政治はかなり安定していた。

 ところが今、こうしたことは何一つ当てはまらない。アジア地域は新たな段階に入りつつある。

西側の低金利政策に乗って好況に沸いた時代の終わり

 金融危機の研究でキャリアを築いたハーバード大学のカーメン・ラインハート教授は、「史上最長の資本移動の大鉱脈」――このおかげで2008年から2013年にかけて新興アジアの多くの国が好景気に沸いた――は終わったと言う。

 高い利回りを求めて資本を西側から追い出した、こうした「プッシュ」要因は反転しつつある。そして、新興アジアからの資本の撤退は、それを埋め合わせるアジアの輸出品に対する需要増加を伴うことはないという。

 多額の過剰債務に阻まれて、西側の回復は精彩を欠いたものになるとラインハート教授は指摘する。驚くべきことに、西側諸国の中には2018年以降まで2008年以前の生産水準に戻らないところが出てくる。そのため、多くのアジア諸国の生活水準と西側の生活水準との収斂は加速する。だが、このことは、これが概ね貿易なき回復になることも意味している。

 アジア諸国の中には、大変な目に遭うところが出てくるだろう。大半の国は、その不足が前回のアジア金融危機の主因となった外貨準備をたくさん持っている。だが、雷が同じ場所に2度落ちることは滅多にない。

 長年の低金利政策の結果である民間債務の増加から新た…
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