以前、あるテレビ番組に脳科学者の茂木健一郎さんが出演していて、隣にいた20代の女性タレントに「あなたは自分が40歳になった時、結婚して子供がいるのと独身でいる事、どちらが幸せだと思う?」と問いかけていた。
その質問に対し女性タレントは、視聴者を意識しているのか少し遠慮がちに「うーん。でもやっぱり…結婚して子供がいる方が幸せかなぁと思いますね」と答えた。当時私もそう思い、ひとりでテレビに向かって頷いていた。
それに対し、茂木先生は「ほとんどの人がそう考えてしまうのだけど、本当は結婚していても独身でも、どちらも"幸せ"は同じなんですよ」と言った。「40歳の時に結婚して子供がいる方が幸せ」と思ってしまうのは脳の勝手な"思い込み"であり、本当はどちらも幸せに変わりはないのだと。
脳科学者が放ったその言葉には説得力があり、私は思わず「あぁ茂木先生…あなたに一生ついて行きたい」と、彼に惚れ惚れしてしまったものだ。
これは《フォーカシングイリュージョン》というもので、「条件を満たさないと私は幸せになれない」という幻想を抱いてしまうというもの。「正社員にならないと…」「大卒じゃなきゃ…」「○○大学じゃないと…」「年収○○万円はないと…」「結婚しないと…」「子どもがいないと…」など。
【スポンサード リンク】
私が30代前半で婚活に励むも上手くいかず、自己否定まっしぐらだった時、似たような環境に絶望している誰かの悩みの相談をネットで見た事がある。それに対して回答者は「あなたは、その思い込みから開放されない限り何も変わらない。思い込みは人を不幸にする」と言っていた事も印象深い。
思い込みと言っても「自分は出来る!」とポジティブに思い込む場合もあるけれど、ここで言っている"思い込み"は、もちろんネガティブなものを指している。
今時そんなことを言う人は少ないと思うけれど「女の幸せは結婚」なんて事を世間が言えば、ある程度の年齢を超えてもまだ結婚していない人は「このままでは幸せになれない」と思い込んでしまう事もある。
その時に「結婚できなくても自分の幸せを見つけよう」と、違う道を歩む勇気のある人は本当に幸せになれるのだろうけれど、思い込みに縛りつけられ、自らそれを解こうとしない人はきっと永遠に不幸なままだ。
思い込みは結婚だけでなく、進学だったり就職だったり、理想とする性格だったり、自分の子供に対する望みだったり様々ある。それら自分の希望や理想、一般的・世間的に"良い"とされているもの等、努力しても手に入れられなかった時に前向きな諦めが出来て、柔軟に違う道を模索し始められる人の方が幸せの間口は断然広い。
しかもそういう人は幸せの間口が広いだけでなく、過去の自分の言動を後悔する事も無ければ、自分を嫌いになる事も、他人と比べる事も無く、むしろ「あの時代があって良かった」とさえ思えるから、思い込みに縛られない事は素敵だ。
私も以前は結婚に対する思い込みがあり、34歳までに結婚相手を探さなければ、35歳を超えたらもう婚活市場では相手にされないだろうと焦っていた。36歳になった今は諦めと疲れと、結婚向きでない性格を自覚し、結婚願望はほぼ無い。
現在はパートナーが欲しいと思いつつ、誰かと出会って良い関係になれたとしても、私の事が嫌になっていずれ去っていくのだろうなという"思い込み"があり、一歩踏み出せずにいる。その思い込みは経験によるもので、解く事はなかなか出来そうに無いし、そんな思いも含めて「めんどくさい」とも感じている。
幸い1人も好きなので、今は1人で生きる幸せを求めつつ、またいつか出会いに目を向けられる日が来たらいいなと思う。
読んでいただきありがとうございました。