00年山梨2人殺害 「死刑被告は現場に不在」 受刑者陳述書






 我が国の司法判断など全く信用してはならないのです。
 検察は “仲間” であり、検察・警察の判断を追認することが刑事司法の威信を護ることにつながるからです。
 そして刑事司法の威信を護ることは愚劣な自民党政権にとって重要事案だった。欧米先進国であれば問題 とならない公務員のビラ配布も、自民党に敵対する政党を利するものは、我が国では有罪としなければなら ないからです。
 過去どれほどの冤罪が明らかになったことか。しかし裁判官が謝罪したのは、菅谷利和さんのケースのみ である。その他は悉く、そんな事件など知りませんとでも言うように、頬かむりして済ませてきた。
 先日の東電OL殺害事件でも明らかであろう。無実の外国人を殺人犯にでっち上げたにもかかわらず、司法は 全く謝罪はしていない。「被告が犯行に及んだことは十分に証明されており、合理的な疑いを生じない」とまで 断定した高木俊夫は隠れて表に出てこない。



朝日新聞デジタル 2012年12月11日(火)15時16分配信
被告の死刑確定へ 山梨キャンプ場殺人 最高裁上告棄却
 山梨県都留市のキャンプ場で2003年、男性3人の遺体が見つかった事件の上告審判決で、最高裁第三小法廷 (田原睦夫裁判長)は11日、2人の殺害と1人の傷害致死の罪などに問われた元建設会社社長、阿佐吉広被告 (63)の上告を棄却した。一、二審の死刑判決が確定する。
 上告審では、一審で「被告が2人を殺した」などと述べた男性受刑者=共犯として懲役9年確定=が「実は被告は 現場におらず、殺したのは元暴力団組長(死亡)だった」とする「新証言」を陳述書として提出。通常は1度で終わる弁論 が、結審後に再び開かれる異例の展開になっていた。
 検察側も改めて受刑者から聴取し、「警察官や検察官、裁判官には正直に話してきた」とする供述調書を提出。 「陳述書は、被告の関係者から働きかけを受けて書かれており、内容は事実に反する」と反論した。



毎日新聞 2011年12月19日(月)2時31分配信
<00年山梨2人殺害>「死刑被告、現場に不在」 証言覆す
 00年に山梨県内のキャンプ場で2人が殺害された事件などで殺人罪などに問われ、1、2審で死刑を言い渡された 元建設会社社長、阿佐吉広被告(62)の上告審で、共犯者とされる男性受刑者(55)=懲役9年確定=が「被告は 殺害現場にいなかった」とする陳述書を記し、弁護団が新証拠として最高裁に提出したことが分かった。阿佐被告は 殺人について一貫して無罪を主張。最高裁第3小法廷(田原睦夫裁判長)は20日に弁論を開くが、「共犯者」が証言 を覆したことで、その判断が注目される。
 1、2審判決によると、阿佐被告経営の「朝日建設」(山梨県都留市、03年倒産)で働く作業員3人は 00年5月14日、飲酒し自動車で当て逃げ事故を起こした。阿佐被告は「会社をつぶす気か」などと 怒鳴り、社内で3人を暴行。このうち2人が反抗し、うち1人はナイフを持ち出し同社従業員だった 元暴力団組長(02年病死)と受刑者に切りつけた。このため阿佐被告は元暴力団組長らと共謀、2人を 都留市にある同社管理のキャンプ場にワゴン車で連れ出し、車内で首を絞めて殺害したとされる。
 阿佐被告は97年3月ごろにも反抗的な態度を取った別の作業員を木刀で暴行し肺炎で死なせ(傷害 致死)、遺体は会社の車に隠し、00年の事件後、元暴力団組長に依頼し3人の遺体をキャンプ場に 埋めたとされる。
 3遺体は、00年の事件で被害者2人をワゴン車に閉じ込め逮捕監禁罪に問われた別の元従業員(40) の供述に基づく警察の捜索で、03年に見つかった。
 阿佐被告は97年の暴行を認め(死亡との因果関係は否認)、00年の事件は2人への暴行を認め つつ「キャンプ場に行っていない。殺害の指示もしていないし動機もない」と殺人罪を否認している。
 被告の殺害を裏付ける物証はなかったが、受刑者▽キャンプ場管理人だった男性(68)▽逮捕監禁 罪に問われた元従業員▽その共犯の元作業員(42)−−の計4人が「被告がキャンプ場に来た」など と証言。受刑者はワゴン車内で被害者の体を押さえたとされ、被告や被害者らの位置関係なども詳述 していた。
 だが、受刑者は今回の陳述書で(1)キャンプ場で阿佐被告を見ていない(2)元暴力団組長が車内 で被害者1人の上に乗り、手で輪を作って(首を絞めて)いるのがバックミラー越しに見えた(3) 元暴力団組長が別の1人の上に移動した際、被害者が暴れたので「足を押さえろ」と言われた−−と 記している。
 受刑者は陳述書と同様の内容の手紙を毎日新聞記者に送付。証言を翻した理由について明確な説明 はしていない。
 キャンプ場の元管理人も控訴審開始前、弁護人に「社長はキャンプ場に来なかった」と説明。 弁護側は元管理人の証人尋問を請求したが高裁は却下した。
 一方、逮捕監禁罪に問われた2人は当初、殺人容疑で逮捕され、最終的に執行猶予付きの有罪が確定。 このうち元従業員の男性は取材に「うそは言っていない。被告がキャンプ場に来て被害者にまたがって いるのも見た」と説明。元作業員の男性も「裁判で言った通りです」と話している。
〈関連〉
毎日新聞 2011年12月19日(月)2時31分配信
<2人殺害新証言>「真犯人」は別に 「共犯」受刑者陳述書
 03年に山梨県内のキャンプ場で3人の遺体が見つかり、うち2人が00年に殺害されていた事件で、 「殺害を実行した主犯」として1、2審で死刑判決を受けた「朝日建設」(同県都留市)元社長、阿佐 吉広被告(62)を「真犯人ではない」とする陳述書が、「共犯」とされる男性受刑者(55)から 最高裁に提出された。阿佐被告は死刑を維持した東京高裁判決(08年4月)の後、東京拘置所で面会 した記者に「勝手なあらすじを作って、その通りに話を持っていく」と捜査への不信を述べていた。
 「最初は『社長が(殺害現場の)キャンプ場に来た』なんて、みんな一言も言っていないんですよ」。 08年8月、同拘置所で阿佐被告は記者にそう語り、捜査への不信と共に死刑判決への不満をぶちまけた。 「私が死刑になったところで大したことない人間ですけど、やってないことで死刑になるなんて、あって はならない」
 面会に先立ち08年6月、記者に宛てた手紙にも「ただ、ひたすら、なんでもかんでも検事の言う 通り肯定する理不尽な裁判。真実の発見を何ひとつ導き出そうとする意欲もない裁判」と記していた。
 一方、これまでの供述を転じる新証言の陳述書を提出した「共犯者」の受刑者は今月8日付で記者に 手紙を郵送。「(同僚だった)元暴力団組長(02年病死、手紙では実名)が2人を殺害した後、 『先に帰れ』と言われ、私と元作業員(逮捕監禁罪の共犯者、手紙では実名)は先に帰りました」など と記述し、陳述書と同様、阿佐被告とは別に「真犯人」がいると明記していた。被告弁護側は1審で、 受刑者について「自己の刑事責任を軽減すべく被告になすりつけている」と主張していた。
 キャンプ場に通じる橋の上で「阿佐被告を目撃した」と1審・甲府地裁公判で証言した元管理人の 男性(68)は昨年2月、兵庫県内で取材に応じ「裁判ではうそを言った」と、後悔を口にした。「やり きれんなあ。わしの言葉で、こう(阿佐被告が死刑判決に)なってもうたんや」
 事件前月、阿佐被告からキャンプ場の管理人を任された。殺害された1人は長年の友人で大阪・西成 から一緒に山梨に来た。捜査当局から「阿佐被告が殺害した」と聞かされたという。「わしの連れ (友人)が殺されとるわけ。それで逆上して、検事が『橋の上で(被告と)会ったようにしてくれ』 と言うから、その時は感情的になっとったもんやから『はい。わかりました』と。けど、会って ないんですわ」
 07年5月、弁護人に同様の説明をし、弁護側は東京高裁に供述調書として提出したが、高裁判決は 「にわかに信用できない」と信用性を否定。弁護側は高裁に証人尋問も請求したが、却下された。
 阿佐被告を巡ってはアリバイなどでも争いがある。弁護側は、事件当日は母の日で、被告は同日、 被害者2人を?責(暴行)した後、長女と次女、長女の友人を連れて市内の花屋に行き、夜は自宅に いたと主張した。だが、1、2審判決は「殺害現場にいた」とする共犯者の証言などを根拠に、被告 のアリバイの成立を否定した。
 また、動機について1審・甲府地裁判決(06年10月)は「被告の短絡的な性格に照らすと、怒り が高じて殺意に転化した」と認定。2審・東京高裁判決(08年4月)は「警察に駆け込まれ(暴行 などの)被害事実を申告されることを恐れ殺害を決意したとしても不思議ではない」と指摘した。 ただし、被害者2人のうち1人が持ち出したナイフで刺されたのは、元暴力団組長と受刑者の2人で、 阿佐被告にけがはない。
 殺害現場には阿佐被告を除くと被害者2人、元暴力団組長、受刑者のほか、元従業員の男性(40) と元作業員の男性(42)がいた。2人は阿佐被告、受刑者とともに殺人容疑で逮捕されたが「関与 の度合いが低い」として殺人罪での起訴は見送られた。結局、被害者を会社からキャンプ場にワゴン 車で連れて行った逮捕監禁罪で執行猶予付きの有罪判決を受け、確定している。
〈関連〉
毎日新聞 2011年12月19日
都留・3遺体事件、元社長ら4人逮捕 自供なくても立件へ(2004年02月)
 都留市のキャンプ場から3遺体が見つかった事件は5日、横田大作さん(当時50歳)と多賀克善 さん(同51歳)に対する殺人容疑で、朝日建設(倒産)元社長、阿佐吉広容疑者(54)ら4人が 逮捕された。遺体発見から4カ月あまり。過酷な労働現場を舞台にした事件は、全面解決に向けて 動き出した。
 都留署捜査本部の調べに対し、阿佐容疑者は「(横田さんらが)反発したので、かっとなって やった」と暴行の事実を認めているが、殺害容疑は否認。しかし、後藤寿人(47)▽加藤広行 (32)▽高橋松幸(34)の3容疑者の供述は「元暴力団組長(02年病死)を含む5人で2人を 殺害した」と一致。
 捜査幹部は「(阿佐容疑者の)自供がなくても立件できると判断した」と話し、物証に乏しい中、 殺人容疑での4人逮捕に踏み切った。2人の首にはひもが巻かれており、捜査本部は今後、殺害時 の詳しい状況や役割について4人を追及する。
 一方、横田さんらは同社に雇われてから日が浅かった。同社では阿佐容疑者らによる労働者への 暴力や給料未払いなどが日常化し、2人は強く反発していたという。捜査本部は、阿佐容疑者が 2人を反抗的とみていたことが、激しい暴行につながったとみている。
 この事件は、昨年夏、加藤容疑者の警察への通報によって発覚した。加藤容疑者は、重機で穴を 掘ったと証言し、昨年10月6、7日、証言通りの場所から3人の遺体を発見。しかし、殺害に ついては自身の関与を否定していた。
〈関連〉
毎日新聞 2011年12月19日
都留の労働者殺人:2審死刑判決 被告不在の言い渡し(2008年04月)
 「あまりにもおかしい。私は現場に行ってません」。判決文を読み上げる裁判長の言葉を遮る ように、被告は声を張り上げ退廷を命じられた。都留市のキャンプ場で03年10月、土木作業員 3人の遺体が見つかった事件の東京高裁・控訴審判決。殺人罪などに問われた住所不定、元朝日 建設社長、阿佐吉広被告(58)不在の中、1審・甲府地裁を支持する死刑判決が言い渡される 異例の事態となった。
 スーツ姿で入廷した阿佐被告は午前10時すぎ、裁判官に一礼して被告人席に座った。中川武隆 裁判長が「本件控訴を棄却する」と主文を読み上げると、阿佐被告は身じろぎせずじっと聞き 入っていたが、被告に不利な元社員らの証言を採用した部分に差し掛かると、「うそばっかり じゃないか」と声を荒らげ、退廷を命じられた。
 控訴審で、弁護側は「事件当日は娘らと買い物に出かけていた」と1審同様のアリバイを主張し、 「阿佐被告をキャンプ場で見たという1審の証言はうそ」とするキャンプ場の元管理人ら、アリ バイを証言する複数の証人尋問を申請。しかしいずれも却下され、この日も「元管理人の証人 尋問は事実認定に必要不可欠」として弁論の再開を申請したが、退けられた。
 中川裁判長は「(アリバイには)客観的な裏付けがなく、被告人の否認供述は不自然かつ不合理 で到底信用できない」とし、「阿佐被告が犯行現場にいた」とする元社員らの証言の信用性を 認めた1審判決を支持した。
 弁護側は即日上告した。






前ページへ戻る

冤罪事件等へ戻る

国民よ目を覚ませへ戻る

トップページへ戻る