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政治
【月刊正論】移民「毎年20万人」受け入れ構想の怪しさ
まず、内閣府の試算がどんな内容だったかを、ご紹介しよう。2015年から毎年20万人ずつ受け入れ、2030年以降には合計特殊出生率が「2・07」に回復していることを前提としている。かなり高めの設定だが、この2条件を達成すれば、日本の総人口は2060年に1億989万人、2110年には1億1404万人となり、ほぼ1億1千万人水準を維持できるというシナリオだ。
働き手たる20~74歳についても「新生産年齢人口」と呼んで推計を試みている。こちらは2012年の8973万人が、それぞれ6699万人、7227万人になるという。
「移民さえ受け入れれば、日本は労働力不足に悩むことがなくなる」との意識を国民に植え付けるのが狙いなのだろう。こうして具体的な数字で語られると、移民も「有力な選択肢」になり得ると思えてくる。
しかし、移民は本当に日本を救うのだろうか。耳に入ってくるのは「人口が何人減るから、外国人を何人入れて穴埋めしよう」という帳尻合わせの議論ばかりだ。政府からは、大量受け入れに伴う社会の混乱や、日本人が負担しなければならなくなるコストといった負の側面についての説明は聞こえてこない。
うまい話には落とし穴があるものだ。少し冷静に考えれば、「毎年20万人」というのは、かなり怪しく、危険ですらあることが分かる。
移民政策の怪しさを見ていく前に、整理しておきたい点がある。「移民」と「外国人労働者」の違いだ。両者を混同し、問題の本質から大きくずれた議論が実に多い。
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