PC遠隔操作:片山被告 起訴内容全て認める 地裁公判で

毎日新聞 2014年05月22日 10時44分(最終更新 05月22日 14時42分)

片山祐輔被告=武市公孝撮影
片山祐輔被告=武市公孝撮影

 ◇「多くの人をだまし、裏切った」

 パソコン(PC)の遠隔操作事件で、威力業務妨害罪などに問われた元IT関連会社社員、片山祐輔被告(32)は22日、東京地裁(大野勝則裁判長)の公判で「全部事実です」と述べ、4人が誤認逮捕された事件を含む全ての起訴内容を一転して認めた。逮捕時から一貫して全面無罪を主張してきたことを「本当に申し訳ありませんでした。今まで多くの人をだましていました。謝罪したいです」と述べた。【島田信幸、山本将克】

 片山被告は午前10時、20日午前に保釈を取り消されて再収容された時と同じ白黒ボーダーのポロシャツとジーンズ姿で入廷。傍聴席に何度か顔を向け、刑務官に挟まれる形で着席した。時折視線を動かし、落ち着かない様子で弁護側、検察側のやりとりを聞いた。

 大野裁判長から起訴内容について「事実であるのかそうでないのか尋ねます」と問われると、起訴内容を認めた。主任弁護人の佐藤博史弁護士は謝罪の意思を確認。被告は「脅迫の対象にした方々、だましてきた人たち、無実を信じて支援してくれた方々、すべてを裏切りました」と述べた。

 弁護側もこれまで「被告には遠隔操作ウイルスを作る能力がない」などと無罪を主張していたが、この日の公判で撤回した。「被告は誤認逮捕の被害を感じることができていない」として、誤認逮捕の被害者についても証人尋問したい考えを示した。一方、「被告の行動は説明がつかない」として今後、精神鑑定の請求も検討する。

 22日の公判は当初、有罪立証のための証人尋問が予定されていたが、被告が16日に報道関係者らに「真犯人」を名乗るメールを送っていたことが発覚。20日には被告が全事件への関与を認めたことが明らかとなり、地裁は起訴内容の認否の確認に手続きを変更した。被告はこの日の公判で、発覚した際の心境を検察側から問われ、「三つの選択肢があった。しらを切る、すべて認める、死んでしまう。1分で『死ぬ』という結論を出したが、死にきれなかった」と話した。

 被告は2月の初公判で「徹頭徹尾、事実無根」と起訴内容を否認した。公判ではこれまで計12人の証人尋問が実施され、3月5日に保釈が認められたが、「真犯人」メールの送信が発覚したため地裁が20日に保釈取り消しを決定。被告は東京拘置所に再収容された。

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