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警察と容疑者、全面対決 札幌・北区ボンベ爆発事件

(05/22 11:10、05/22 11:16 更新)

 札幌市北区の警察宿舎でカセットこんろ用ガスボンベが爆発した事件で21日、主婦名須川(なすかわ)早苗容疑者(51)が起訴された。1〜4月に北区で相次いだ5件のボンベ事件に関与したとみる札幌北署捜査本部は同日、別の事件でも現住建造物等放火容疑などで再逮捕に踏み切った。防犯カメラの映像など間接証拠を積み重ねる捜査側に対し、同容疑者は一貫して容疑を否認。弁護側も「そもそも動機がない」と冤罪(えんざい)を主張し、全面対決の様相が続いている。

■動機

 「(北署に対して)特に何も思っていない」。名須川容疑者は9日、札幌簡裁で開かれた勾留理由開示の法廷でこう断言した。

 札幌市北区では1〜4月、警察宿舎の事件を含む計5件のボンベ爆発事件が発生。捜査本部は同一犯による連続事件とみており、動機として「恨み」を挙げる。北海道文化放送(UHB)や北海道新聞社に届いた犯人を名乗る人物からの爆発予告の手紙にも、北署への強い憎しみの言葉がつづられていた。

 捜査本部は、名須川容疑者が昨年12月から今年3月にかけて別の事件で北署の取り調べを受けたことから、「北署に恨みがある」(捜査関係者)とみる。だが同容疑者の弁護人は20日の記者会見で「その程度のことで爆弾を仕掛けるほど恨むなら、警察署に相当多くの人が爆発物を仕掛けてもおかしくない。警察に恨みはない」と強調。同容疑者には動機がないとする。

■押収品

 捜査本部は、爆発予告の手紙について、名須川容疑者宅から押収したアルファベットのゴム印や片仮名を型抜きしたテンプレート定規が使われたとみる。だが、いずれも市場に広く流通しており、弁護側は「もともと会社で使っていた」などと同容疑者が説明していることを挙げ、「手紙は書いていない」と完全否定の構えだ。

 同容疑者の自宅から見つかった一連の事件内容が書かれたメモも「犯行計画について書かれており、犯人しか知り得ない情報だ」とする捜査側に対し、弁護側は「メモに書かれた事件の日時や場所、ボンベの数は、新聞やテレビの報道で知った内容。事件を推理するために作った」と主張。真っ向から対立している。

■知識

 さらに、ボンベを爆発させるための「知識」をめぐっても両者の主張は平行線をたどる。

 弁護側は「容疑者はインターネットに接触できる環境にない。激発物を作るための情報は入手できず、その能力はない」と強調。捜査本部は「単純な仕組みで、誰でも簡単に爆発させられる」(捜査幹部)として、名須川容疑者の犯行は十分に可能とみている。

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