イグアナガール

しょうがない夢追い女子学生の日記。

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赤毛のアンの台詞を読み返して考える「愛されること」の本質

 人間に生まれたからには、一度は誰かに愛されてみたい。そりゃ私だって、人間だもの。そんなことが頭に浮かんだ夜は、 モーニング娘。 『わがまま 気のまま 愛のジョーク』 をヘビロテです。


あ~い~さ~れ~た~~~~~い


「愛とは、誰かのおかげで自分を愛せるようになること」

 芥川賞作家・平野啓一郎氏が、このようなことを書かれているのを読みました。

「愛とは誰かのことを好きになることだ」。この定義自体はもちろん間違っていませんが、今僕が付け加えたいのは、愛とはむしろ「他者のおかげで自分を愛することができるようになることだ」と、そういうふうに考えてみたいと思います。

あの人の前でなら自分は思いっきりリラックスして、素直になれて、いろんなことをさらけ出せる。他の人の前では決してできない。

出典) 「愛とは、誰かのおかげで自分を愛せるようになること」 芥川賞作家・平野啓一郎氏が説く”自己愛”の正体 | ログミー[o_O]

 誰かが存在してくれることによって、自分の中に自らの人生を肯定する根拠ができ、人を愛することが出来る。なるほど、その通りだろうなと思いました。では『愛される』の場合はどうなるのか、主語と目的語を入れ替えてみましょう。

「愛されるとは、自分の存在を通じて誰かが自身を愛すようになること」

 小さい頃から何度も読んできた、赤毛のアンの本の中に似たような台詞があったことを思い出しました。シリーズの2巻目『アンの青春』の第7章で、大学進学をあきらめ地元で教師をしているアンが、医師になることを決めたギルバートと人生の目的について語る場面です。

"I'd love to make them have a pleasanter time because of me . . . to have some little joy or happy thought that would never have existed if I hadn't been born."

「私の存在によって、周囲の人に、より楽しい時間を過ごしてもらいたいの。もし私が生まれなかったら、決して存在しなかったであろう何らかのささやかな喜びや幸せを感じてほしいの」


 これに対して、アンについてこのような描写があります。

After she had passed through a life with a smile or a word thrown across it like a gleam of sunshine the owner of that life saw it, for the time being at least, as hopeful and lovely and of good report.

ささやかな陽の光のように、アンが微笑みかけ言葉をかけながら通りすぎると、少なくともその時だけでも、その人は自らの人生が希望に満ち、美しい、評判のいいものに思うのだ。*1

 孤児で愛されることを知らず、ずっと愛されたいと願っていた子どもが、大人に成長して人生の意義をこのように語っていて、愛されることの定義そのもののように思えます。


 あぁ……街角やSNSで、人々の幸福な姿を見てあ~い~さ~れ~た~~~~~いとか言ってる場合じゃないですね。
 愛されたいなら、誰かを楽しませて幸せを感じさせてみなさいよ、人の心を希望や自己肯定感で満たしてみなさいよ!そんな叱咤激励にも思えます。


久しぶりに赤毛のアンが通読したくなりました

ANNE OF GREEN GABLES (with the true illustrations)

ANNE OF GREEN GABLES (with the true illustrations)

原書『ANNE OF GREEN GABLES』の、モンゴメリが本を出した当時のデザインのもの。正直めちゃくちゃ欲しいです。

Anne of Green Gables (Anne of Green Gables Novels)

Anne of Green Gables (Anne of Green Gables Novels)

映画版『赤毛のアン』の主役を演じたミーガン=フォローズさんが朗読した赤毛のアンのカセットテープ。もはやお宝っぽい。

赤毛のアン (集英社文庫)

赤毛のアン (集英社文庫)

アンの青春 (集英社文庫)

アンの青春 (集英社文庫)

アンの愛情 (集英社文庫 モ 8-3)

アンの愛情 (集英社文庫 モ 8-3)

 赤毛のアンは様々な方が邦訳を出版されていますが、個人的には松本侑子さんの訳が好きです。
 巻末の解説だけでも結構な内容なので、一冊読み終わってから、それぞれの注釈に基づいて解説を読むのをおすすめします。シェイクスピアなどの引用句が本文にいかに巧みに織り込まれているかが分かります。
 高校時代に新訳が出たことで、アンの好きな友人とこの本を片手に議論してたのもいい思い出です。

*1:原作はすでに インターネット上 でも読めますし、日本語の赤毛のアンシリーズの名言の一部を翻訳家の 松本侑子さんのHP で読むことが出来ます。訳す際にも参考にさせて頂きました。