柳谷政人
2014年5月22日09時10分
関西のタクシー業界が揺れている。過当競争の防止をめざす法改正で、4月から一定幅の運賃が義務化された。値上げを強いられる格安タクシー会社は相次いで国を提訴したが、近く運輸局から運賃変更命令が出る見込みだ。遠距離運賃のアップを先送りしたり、深夜・早朝割り増しの廃止を申請したりするなど、乗客つなぎ留めを図る動きも続く。
■納得いかぬ業者、国を提訴
20日、初乗り500円で営業する「壽(ことぶき)タクシー」(大阪府東大阪市)が、運賃変更命令を行わないよう求める訴訟を大阪地裁に起こした。浦木山峰壽(みねとし)社長は「価格は会社が決めるが、買うかどうかを決めるのは消費者。法の名の下で運賃を強制するのはおかしい」と憤る。
4月28日には同じワンコインの「ワンコインドーム」(大阪市西区、吉岡和仁社長)も提訴した。訴状では「公定幅運賃は違憲で、重大な損害を被る」「値上げでワンコインブランドが消滅し、利益が大幅に低下する」などとした。
「運賃を上げる理由が全くないのに」。5月1日、大阪市内で会見したエムケイ(京都市)の青木信明社長は強調した。大阪、神戸、滋賀などのMKグループと合同で大阪地裁に提訴した。現状から公定幅下限に運賃を変えると、10~27%の値上げだ。特に主戦場の京都は消費増税前と比べて3割増になる。「我々にも値上げの時期はあるが、いきなり3割も上げられない」と首をひねる。
MKはタクシー規制に反対する訴訟を10件起こし、負け知らずだ。「難しい訴訟だが、公定幅がなぜできたのかを訴訟でつまびらかにしたい」と話す。
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