大阪市が進めている小中学校の校長公募制度に市議会の反発が強まっている。不祥事が相次ぎ、公募・選考にかかわる今年度の費用の予算化を見送るべきだとする市議が少なくない。市議会各会派は26日予定の教育こども委員会で賛否の態度を明らかにする方向で協議しているが、可決のめどは立っていない。

 市は来年度着任する校長の公募・選考などの費用として約2800万円を補正予算案に盛り込み、市議会に提案している。公募制度は橋下徹市長の意向で実施された経緯があり、3月の出直し市長選さなかの市議会では、骨格予算に当初は盛り込まれたものの市議会が削除した。

 市議会(定数86)の過半数は44人。市長与党の「大阪維新の会市議団」は31人で、他党市議らの賛成が不可欠だが、今月13日の市議会一般質問では、自民(18人)の黒田當士(まさし)議員が「不祥事が後を絶たず信用を失っている。今年度の選考を見送るべきだ」と市側に詰め寄るなど反発が強まっている。処遇への不満を訴えて着任2カ月での辞職やセクハラ問題での辞職のほか、20日には、十分な説明がないまま休みが続いた校長の解任方針が決まった。

 議会側の反発に対し、橋下氏は「教員出身の校長も問題はある」と反論し、大森不二雄教育委員長(首都大学東京教授)も「外部人材は問題を積極的に見つけている」として、制度の継続を求める。ただ、橋下氏が座長を務めるプロジェクトチームは今月8日、公募採用について、1年ごとに適格性を審査する方針を打ち出した。問題がある場合は任期を打ち切ったり降任させやすくしたりする内容の「譲歩案」だ。公募・選考や研修には最低でも10カ月程度はかかり、市教委関係者は「予算化が認められなかったら、制度が実質的に止まってしまいかねない」と話す。(阪本輝昭)