Financial Times

ベトナムの暴動がグローバルな供給網に新たな打撃

2014.05.22(木)  Financial Times

(2014年5月21日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

ベトナム反中デモで危機に陥った米アジア戦略、分析

南シナ海で並走する中国海警局の公船とベトナム海上警察の巡視船〔AFPBB News

これを「アジアの春」と呼ぶといい。中国とベトナムは南シナ海で危険な対立状態に入っている。中国の船はフィリピンの船に日常的に嫌がらせを行っており、フィリピン政府は中国政府を国際司法機関に提訴している。

 タイでは、「ソフトクーデター」が行われているとの見方もある中で陸軍が戒厳令を敷いた。さらに、これに負けてはならじと北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記は核実験の実施をほのめかしている。

尖閣諸島がニュースにならなくなるほど複雑化する安保環境

 東シナ海に浮かぶ尖閣諸島――日本が支配しているが、中国はこれを釣魚島と呼んで領有権を主張している――がニュースで取り上げられなくなったという事実は、アジアの安全保障環境がいかに複雑なものになったかを示している。中国の艦船やジェット機が日本側の決意を試していたあの島々は、2013年の大半の期間において、この地域で最も火の付きやすい場所だと見なされていたからだ。

 地政学的な緊張は、各国の政府を刺激する一方で、製造拠点としてのアジア諸国(ここではミッキーマウスのTシャツから「iPad(アイパッド)」、アディダスのスニーカーに至るまで何でも作っている)を頼りにしている多国籍企業にも難問を突きつけている。

 ベトナムでは先週、係争中のパラセル(西沙)諸島の近くに中国が石油掘削施設を設けたことに抗議するデモが起こり、多くの工場が襲撃を受けた。ところが、襲撃される前に操業を停止する工場が相次いだために、世界のサプライチェーンに及ぶ影響はさらに大きくなった。

 アップルの「iPhone(アイフォーン)」やiPadを製造している台湾の電子製品メーカー、鴻海精密工業は、予防的な措置として生産ラインを3日間止めた。また、ナイキやアディダスにも製品を供給している世界最大のスポーツシューズメーカー、裕元工業も操業を停止した。

 サプライチェーンにストレスが加わるのは今回が初めてではない。2011年に巨大な地震と津波が日本の東北地方を襲った時には、多くの人命が失われたことへのショックが和らいだ後、人々はサプライチェーンの脆弱さを思い知ることとなった。一般にはあまり知られていない企業が被災し、重要な電子部品を供給できなくなったのだ。

 このシナリオは同じ年に、電子部品や自動車部品のハブになっているタイが50年ぶりの大洪水に見舞われた時にも繰り返された。パソコンメーカーはハードディスクドライブ(HDD)の調達に奔走し、ホンダなどの自動車メーカーは世界的な減産を余儀なくされた。

 こうした天災や人災の発生を受けて、企業はより柔軟な…
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